下関陸上競技場(下関市向洋町)が、6月14日にあった日本陸上競技連盟の公認継続検定で不合格になった問題で、下関市は年明けにも改修工事にとりかかる方針を明らかにし、28日開会の市議会9月定例会に補正予算案を提案している。この間の騒動に巻き込まれ、陸上競技場の存続を心配していた関係者らも改修が決まったことを喜んでいる。
7月9日、日本陸上競技連盟から「第二種公認陸上競技場の公認については保留(不合格)とする」との通知が届いたのを受け、下関市は今後の整備の方向性や財源の確保などの検討を進めてきた。来年6月27日までに、昨年12月に同連盟が出した指導事項に適合するよう改修を実施して検定合格を目指すとしている。
改修するのはトラックの1~8レーン、トラックの内側にある投てきなどのフィールド(Aゾーン、Bゾーン)、幅跳助走路、トラック外側のアウトフィールドなどで、サッカーコートなど芝生部分をのぞき、ほぼ全面となる。総事業費は現時点で約3億9500万円を見込み、九月補正予算案にはそのうち工事請負費など2億3700万円を盛り込んでいる。残り1億5800万円は来年度予算に回す。
なお、2010、2011年に国の補助を受けて3~8レーンを全面改修したさい、劣化の早いスーパーXを使ったことに陸上関係者のなかで疑問の声が上がっていたが、このたび耐久性にすぐれた複合ポリウレタン系舗装に変更する方針を示している。
「全国的にも珍しい、本当に恥ずかしい事態」と陸上関係者たちが指摘してきた下関陸上競技場の公認継続問題は、全県の中学生たちをも巻き込んだ騒動となり、市民の注目を集めてきた。とにもかくにも改修がなされることに関係者はほっとしているものの、5年前から指摘されてきた改修が、なぜ検定ぎりぎりまで持ちこされてきたのか、なぜこれほどあちこちで揉め事が起こったのかという点については、公共施設と向き合う基本姿勢ともかかわる問題であり、下関市として経緯と教訓を明らかにすることが求められている。