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税取立強化と議員の横領質す 下関9月市会・本池市議の一般質問  中尾市長顔ひきつらせ無言

 下関市では9月議会の一般質問が21日から始まっている。本池議員は初日の午後3時から一般質問に立ち、市民のなかで最大の問題となっている議員の不正請求問題、税金の取立強化・差押え問題について市の最高責任者である中尾市長の見解を問うた。傍聴席には20人を超える市民が押しかけ、中尾市長の動向を見守ったが、市長は一言も答えず、いじけた顔で反対を向いたりと無様な姿をさらすこととなった。吉川副市長も終始顔をしかめて下を向いたままだった。
 本池議員は初めに、「下関の経済の疲弊と市民生活の困難が急速に進んでいる。このなかで、冷酷な税金の差押えがおこなわれる一方で、議員は選挙カーの公費負担制度を利用して、納税者の血税をくすね、中尾市政は公約を破り、ハコモノ事業で使い果たそうとしていると、市民の怒りは尋常ではない」とのべて質問に入った。

 市議選における議員の不正請求問題

 【本池議員】先の市議選で、11人の方が、選挙カー、運転手、燃料について一括契約し、1人に45万円余り公費が支給されている。なかには自分の家族の車を使ったり、レンタカーを使ったり、車も運転手も自分の党派の仲間がおこなって一括契約していたという話も聞く。
 選管が総務省に問い合わせると「問題がない」と返事がきたということだが、それで終わりなら、次の選挙では安心してもっとたくさんの人が同じことをやるようになりかねない。市民が問題にしているのは一生懸命に納めた税金を議員がくすねているということだ。
 一括契約の11人のうち燃料代、運転手給与、車両代の公費負担額はいくら支払われているのか平均額を聞きたい。また一括契約以外の選挙カーの公費負担額の最高額、最低額、平均額はどれだけだったのか。また一括契約した方のうち、タクシー会社以外の車、タクシー会社以外の運転手だった方はどれだけおられるのか。人数と名前も教えてほしい。
 【楠選挙管理委員会事務局長】一括契約をした議員数は11名であり、支払額の最高が45万1500円、最低が44万8000円である。
 その他契約は候補者44名中26名で、平均21万3486円。最高額は23万7832円で、最低額は14万4134円。議員名は調査中で答えられない。
 【本池議員】私の場合、選挙カーの公費補助は燃料代だけだった。それも全額でなく、3分の2で7500円。軽自動車だが旧郡部を相当回ったのでたくさん走った方だと思う。だから大きな車でも、燃料代で3万円を超える方はあまりないと思う。車両代はレンタカー会社に聞くとワンボックスカーを7日間借りたとして10万円弱。運転手の給料は1日1万2000円として7日間で8万4000円。実費としては、合計で20万円ほどだ。45万円の一括契約にすると、25万円ほども余分な金が入ることになる。市民にとっては驚きだ。
 自分の選挙で、自分の家族の車を自分が借りたといって、税金から車両代を受けとるのは、市民の常識では公金横領だ。また自分の党派の車を使い、運転手も自分の党派の仲間だったら、一括契約では自分の党派仲間で40万円ほど丸もうけとなる。実費の2倍もの公費を受けとった議員11人が、条例では違反ではない、罰則もないというのだろうか。
 公立大学の専門家の先生に尋ねたところ、「総務省に伺いをたてて決めるのではなくて、地方自治体である下関で判断することである」「選挙に関する費用負担は公金、つまり税金により支払われることから、かかった費用は実費を負担するのが当然」であるといわれた。議会が決めた条例自体が欠陥であり、市民に選出され、市民の税金を扱う議員としては失格であり、責任をとらせることがなければ、議会はみな仲間だと見られると思う。公費を支出した執行部としてはどんなけじめをつけるのか質問する。
 【事務局長】処分については正式に選管で協議して決めることで、問題がないとは思っていない。あくまで国からの回答がそうであったというだけで、2人についてもこれから調査をしながら決めていく。問題がないということではない。10月末までには結論を出す。
 【本池議員】市民は実費以上の金は議員に渡っていると見ている。自分が違法行為の危ない目にあってまで、他人のため、タクシー会社のために25万円もの余分なお金をやる議員はいないと見られている。残念ながら議員の信用がないのが現在の議会の深刻な問題だ。実費以上のお金が議員の側に渡っていたのなら詐欺、公金横領だと思うし、タクシー会社に全額渡っていたのなら過剰な利得であり、選挙における買収、公職選挙法違反の疑いがあると思う。
 中尾市長は一方で血も涙もない税金差押えをしながら、議員の詐欺、公金横領、選挙違反を問われる問題で、公費支出をした側として厳格な調査と対応をすべきだと思うが、どういう見解を持っているのか中尾市長に質問したい。
 ▽中尾市長下を向いたまま答えず。
 【事務局長】市民感覚としてはいろんな意見もあると思うが、それを考えたうえで選管としても結論を出していきたい。
 【本池議員】この問題は、議会の信頼がかかる問題であり、議題にするように意見を上げた。関谷議長は総務委員会で論議しなさいといわれたが、総務委員会では「一般質問でしたらいい」ということでできなかった。一般質問では直前に議会事務局から、一般質問は議長に質問はできないのがルールだといわれた。したがって関谷議長に質問はできなくなったが、関谷議長みずからの意志と権限で、この問題をどう評価し、どう対応するのか、議会の場で見解をのべることを提案したい。
 【関谷議長】通告なしの質問だが、冒頭にいったように議員研修会のときに対応について申し上げている。本会議場においては議員が議長に質問することはできないので、ルールも踏まえて質問してほしい。

 税金滞納、差し押さえ強化問題

 【本池議員】先日家庭を抱える39歳の労働者が、市民税を滞納したため給料を差押えされ、解除の相談に市役所の窓口に来たら、「不退去罪」として逮捕される事件があった。市民は中尾市長になって差押えがひどくなったと大変怒っている。県の納税関係者、県内各市の税務関係職員、北九州の市職員も驚いていた。下関の方式は、東京都庁に勉強に行って習ったと聞くが、よそではまだあまりやっていない先端の手法のようだ。
 給料や年金を差押えされたら生存権が脅かされるし、生命保険が差押えで解約された後に死亡して、家族が路頭に迷うことになったら、市として責任を感じるか感じないのか。
 退職職員の話では、以前は給料、年金などは差押えしてはならないとされていたし、出向いてじかに相談して決めていたそうだ。そのようなやり方に戻す意志はないのか。逮捕された方は暴言を吐いたり暴れたわけではなく、相談に乗ってもらうのを黙って待っていた。それを逮捕させたことについて、苦しいなかで税金を納めてくれる市民全体の信頼を回復するためには市長として謝罪すべきだと思うが、その意志はないのか。これは中尾市長に質問する。
 ▽中尾市長沈黙。財政部長が挙手。市税の収納率改善のとりくみについて専門的な用語を加えながら説明を開始。本池議員「市長に質問している」と発言。関谷議長「中尾市長が担当の部長に任せるといわれた」と制止。中尾市長は答えず。
 【本池議員】マイホームを建てたが、首切りにあって計画が狂い、ローンも固定資産税も払えなくなって、売却して解決しようとしている取引の場に、市役所があらわれて差し押さえ、競売で通常の売買より非常に安い値で売り飛ばされる話が頻発している。市役所は確実に回収できていいだろうが、市民の生活はどうでも良く、市役所のために市民が必要というのか。こんなことをしていたら若い世代はますます下関が嫌になって人口が流出し、市税収入は一段と減る。中尾市長の経営者視点は愚かだったということになると思うが、このようなやり方を改める意志はないのかどうか中尾市長に質問する。
 ▽中尾市長沈黙。財政部長が挙手。
 【本池議員】市税収入は毎年激減している。人口が減り、仕事が減り、雇用が減っているからだ。そのなかで乱暴な差押えをいくらやっても市税収入は減るばかりだ。貧乏になる市民から追い剥ぎのようなことをするのをやめ、下関の経済が回復し、市民の収入が増え、市税収入が増えるようにするのが、市役所が倒産するのを防ぐまともな経営者視点だ。中尾市長の経営者視点ではそうは考えられないのか。また冠水した土地への消防移転もだが、目先の食いつぶしをしてその先に破産するのが明らかなことをやるのは、中尾市長は自分では一年半後は市長ではないと考えているのか。
 ▽中尾市長沈黙。
 【本池議員】一つも答えないのは市民にとって不誠実きわまりない。そんなことでいいのか。答えないなら答えないといわれたらどうか。調べなくても自分の意志でいえることなので、ぜひお答えいただきたい。
 ▽中尾市長。イスごと反対を向いたりと、はぶてた様子。傍聴席の市民「答えないならその席に座っている意味がないではないか」。

 市民生活の困難とハコモノ行政について

 【本池議員】(今年に入って下関の経済の疲弊と市民生活の困難がますます深刻になっており、商店は客が来ず、タクシー客も病院の外来患者も減っていること、よそから来たお客さんもまるで津波が来た東北と変わらないといっている。このままでは下関はつぶれてしまう。市民経済をどう活気づけ、市民をどう守るのかが緊急の事態になっているとのべたうえで質問)。
 この間市の発注の事業の是正を求めて、土木建築、設計、電気工事、上下水道など各業界から相次いで陳情が上がっている。市は単価が低いほどよいということで、市内業者は赤字経営をよぎなくされ、若い人の技術継承もできず、いざ災害が起きたとき対応できず大変なことになるといわれている。市長は市内発注の件数を増やしたというが、建設現場は北九州や筑豊ナンバーの車ばかり目立っていると話題になっている。市役所の発注は安ければよく、市民は貧乏になっても市役所だけがもうかればよいと考えているようだ。わざわざ下関の仕事をなくし、市税を減らして市役所も倒産させるという考え方だと思う。そのような考え方は愚かであり、改める必要はないと考えるのか中尾市長に質問する。
 ▽中尾市長沈黙。
 【本池議員】中尾市長は4年前に始まった長期計画の後半計画の4年間で、市役所建て替えなどのハコモノ事業などで1000億円を予定している。ハコモノ予算は一切削らずに、税金の強引な差押えや、水道料金の値上げ、学校給食費の値上げ、福祉の切り捨てに力を入れている。「合併特例債が入るからつくらなければ損」といわれているが、地方自治専門の学者の方たちの学会では、この先そんなものが下りてくるわけがないというのが常識になっているそうだ。リーマン・ショック、東日本大震災があり、ヨーロッパ発の国債バブル崩壊の大金融危機が起ころうとしており、円高に加えて日本国債が格下げされ、国政レベルでも財政破綻と大増税が問題になるなど、世の中全体がすっかり変わっているなかで、それ以前につくられたハコモノ計画をノー天気に進めるのは時代錯誤もはなはだしく、無謀、無責任だと思う。
 にもかかわらず、あくまで市役所建て替えそのほかのハコモノ計画を進めて下関をつぶすのか、抜本的に改めて下関の経済の立て直しをはかるのか、中尾市長に質問する。
 ▽中尾市長沈黙。
 【本池議員】大学のある先生が、これから金融が破たんするのは間違いなく、また世界的な食糧危機が進むなかで、農漁業の復興、食糧生産を重視する時代になるといっておられた。下関の生産業、とくに水産業、沿岸漁業、農業を守るための施策を強化すべきであり、若者の就業に対する助成、大型店の買いたたきに対抗して、地元業者の適正価格による経営を打ち立てるための助成などする必要がある。市政の向きを転換する必要を中尾市長は認められるのか、否定されるのか質問する。
 ▽中尾市長沈黙。

 福祉行政、満珠荘について

 【本池議員】満珠荘は取り壊し、建て替えが進んでいる。市は当初、満珠荘の運営について5年間で6000万円を指定管理料として助成する用意をしていたそうだが、ある民間業者はその条件ではとても無理だと応募を断ったと聞いた。
 ところが今回の議案に出されているように、管理公社側が5年間で500万円の指定管理料でできるといって運営することになったといわれている。管理公社の職員はなにかの陰謀ではないかと非常な不安を語っている。管理公社の管理者は中尾市長の任命だと思うが、管理公社からの申し出という形で利用料金を断固として上げ、職員をアルバイトなどで働かせ、それでも失敗させるということだろうか。
 満珠荘を老人休養ホームとして再開するように求める署名は10万人に及んでいる。その署名に示された市民の力で満珠荘は存続させることができた。この署名は絶対に尊重されるべきであり、中尾市長の公約にもかつてあった、以前と同じ経営形態の老人休養ホームとして条例を復活させ、再開するべきだ。それまでは高齢者の入浴料金、宿泊料金は以前の料金に据え置くよう市が補助をして見直す意志はないのか中尾市長に質問する。
 ▽中尾市長沈黙。砂原福祉部長、「市長とも意志疎通をしている。同じ見解だ。満珠荘問題はすでに議会で議論ずみであり、前に向かって進むのみ」。 

 防災、消防移転、原発について

 【本池議員】消防移転は地盤改良工事が始まるようだが、なぜ市民の安全を守れないとわかっているところにあくまでつくろうとするのか、市民の目は一層厳しくなっている。とくに東日本大震災で防災については抜本的見直しに日本中の自治体が動いているのに、震災以前の計画をそのまま進めるのはなぜか。
 先日、大分県国東市議会が40㌔離れた上関原発の中止を求める意見書を決議した。国東半島では南海地震の津波対応が大問題になっているといわれていた。その海の先の下関はどうして津波は来ないといわれるのか。小月、長府は直結だし、市中心部の狭い海峡では津波は低くなるというのだろうか。消防はまだ建っていないのであり、まだ間に合うのだから見直して、現在地でやるべきだと思うが、市長の見解を質問する。
 ▽中尾市長沈黙。
 【本池議員】下関は上関原発からも四国の伊方原発からも、佐賀の玄海原発からも100㌔圏にある。福島事故では300㌔圏の岩手県一関市や東京都なども影響を受けた。上関原発も中止、伊方も玄海も廃炉を求めるべきだと思う。下関では伊方、玄海の対応が不可欠だ。国の対応を待つとよくいわれるが、それでは、下関市は地方自治体ではないのかと思わざるを得ない。現在どういう対応をしているのか。
 【本池議員】最後に議長に一言いいたい。今回市長が一度も答弁しないという、このような態度をとることは、あってはいけないことだ。議長の方からも答えるように促すようにしていただきたい。なにもなかったのが残念だ。
 副市長も2人もいてこの状態を、どう市民が受け止めるだろうか。大変いけないと思う。

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