「赤字」を叫んでいる学校なのに…。
財政赤字の解消を掲げて「改革」を進めている下関市の梅光学院について本紙は取材を重ねてきた。そのなかで昨年度、赤字で苦しいはずの梅光学院が年間500万円をこえる市の補助金を申請していなかった事実が判明した。
下関市内の私立中学校・高校には、生徒数などに応じて市が運営費補助金を交付している。制度の見直しがおこなわれ、昨年度から「私立学校教育振興補助金」に変更となったが、各学校が受けとる金額はほとんど変わりないようだ。
梅光学院中高校は毎年530万~550万円の補助金を受けとっていた。だが、平成28年度は補助金の申請を忘れたのか、あえて申請しなかったのか、このおよそ500万円の補助金を受けとった形跡がない。「赤字」の学校にとって500万円もの補助金はのどから手が出るほど欲しいに違いないのに、受けとっていないことがわかっている。
平成28年度といえば、その直前に中高のベテラン教員14人が、嫌気がさしたり、自主退職に追い込まれるなどしてやめ、法人本部の経理2人も同時に退職し、学校運営の混乱が始まったころである。梅光関係者たちはこの補助金を申請しなかったのは「事務の混乱が関係しているに違いない」と指摘している。
梅光の経営陣についた文科省OBの本間理事長や只木統轄本部長らは、「中高が毎年1億円の赤字を出している」「学生数確保と人件費比率の削減が必要だ」「改革が必要だ」といって、教職員のリストラを敢行した。しかし、本当に赤字で困っている経営者が、本来もらえる500万円もの補助金を忘れるものなのか、それとも500万円を忘れるくらい実は余裕な経営感覚なのか、問われる問題となっている。
現金資産30億円(当時)を有している梅光学院は、他の私立学校からうらやましがられるほど裕福な経営だと見なされてきた。「赤字だ」という一方で、経営陣が法人カードで不要なものまで購入しているとか、海外旅行に行っているなどの疑惑がとり沙汰されてきた。それらの真相も明らかになっていないが、500万円の補助金を忘れて学費を値上げされる親や子どもはたまったものではない。本当に赤字なのかどうかも疑問視されるところとなっている。