来年1月末の下関市議会議員選挙は、定数38人に対して60人前後の出馬がとりざたされている。江島市政と市議会は、安倍首相の誕生とともに、JR梶栗駅の建設とか、あるかぽーと開発や文化会館建て替えなど、暴走を始めた。市議選において、安倍天下の勘違いをして暴走する連中を懲らしめ、議会を刷新して江島市政を規制する力を発揮させようとの市民世論はひじょうに強まっている。
あるかぽーと開発でも・反対無視し突っ走り
問題となっているあるかぽーと開発問題をめぐって、9月20、25日の建設委員会では、反対派の委員が「これだけ賛成、反対が出ているのだから、市民にアンケートをとったらどうか」と出したが、小浜俊昭議長が「アンケート、アンケートというが、市民全員にどうとるのか」と横ヤリを入れ、野稲茂夫議員は「(アンケートするなら)議員はいらんではないか」「早くカタをつけよう」と気勢を上げた。門出眞治委員長は「あとは議案提出を待つのみ」と審議を一方的に打ち切り、早くて12月定例会に、あるかぽーと埋め立て地の売却議案を提出させる道を開いた。
6月定例議会の本会議で、高見俊幸議員が一般質問のなかで「下関市を良くする連絡協議会などが、1万人を対象にしたアンケートで、白紙撤回が46%で、公園が欲しいが63%、スーパーが来てほしいは5%しかない。市民の声が明確に示されていると思うが、この結果をどう受け止めているか」と質問。すると中野敏彦港湾局長が「アンケートをする予定はない」と拒絶し、江島市長は「もうそれ以上は答える必要はない」と答弁。小浜議長が「執行部に対しての質問で個人ではない。訂正せよ」などと、それ以上の答弁をさせなかった。
さらに高見議員の質問内容で、みなとまち開発(藤井清崇社長)が選ばれるにいたった不明朗な公募におよぶと、議場から定宗議員らが「もういうな」などとヤジを飛ばした。小浜議長はヤジで騒いだ議員を注意するのでなく、「もうちょっと簡明に」「はっきりいったやないですか」などと、追及した議員を威圧する。あるかぽーと開発の計画策定には、博多人工島の庭石やけやき等の不正にかかわったガナス総合研究所が入っており、公募で選ばれた側の神鋼グループ(現みなとまち開発)にも参加していたとの疑惑の核心にふれると、定宗議員などが「委員会ですんだことだ」と逆ギレのエキサイトとなった。
さらに小浜議長は「ちょっというておくが、自治法に基づいて決めた発言の内容とか勉強して発言してくれ」「議長権限で発言を停止する場合がある」と脅しをかける。議会というが、執行部に反対する意見と見ると、議長やサクラ議員が騒いで、つぶしにかかる。旧市出身の議員も、議場の外では「治りかけた傷をほじくられて飛び上がった」「それをつぶすのもいつものしかけ」など陰口をたたくだけ。
公開質問状も49人が無回答
「世界に誇る海峡を守る会」(7団体の共同代表)があるかぽーとへの大型商業施設誘致の是非を問い、5月に実施した下関市議会(小浜俊昭議長、104人)に対する公開質問状では、期日までに全議員数の半分に近い49人が回答をしなかった。「議員に市民が質問するなど横着」などといって、小浜議長の会派を中心に主要会派で「回答するな」の拘束がとられた。市民のなかでどっちが横着なのかと世論が高まり、期日を遅らせて「日共」の江原満寿男議員など3人が慌てて回答した。佐伯伸之・元副議長の菊政会は、会派拘束でしめつけるなどのボス支配をおこなったが、3人がたもとを分かつ新会派を立ち上げた。
最終的に回答した議員58人のうち、質問として①さらに慎重な論議がされるべきと考えるがどうかについては、「必要」が36人で回答者の62%となり、「必要なし」9人(16%)、無記入13人(24%)だった。②関門海峡の景観を損なうこと、大型商業施設の誘致については、「よい」8人(15%)、「よくない」24人(40%)、無記入26人(45%)だった。それが議場にはいると別の行動になり、市民1万人アンケートのスーパー誘致反対94%とは大違いとなる。
昨年の新博物館計画にかんする議案では、市民の運動により廃案へと葬られた。100億円以上をかける疑惑の巨大プロジェクトで、江島市政が小泉改革にそって手がけたPFI事業。究極の官製談合として悪名高いものでもあり、公募期間をわずか8日間しかもうけず、どこの業者を選んだかも隠して議案を出した。年間の教育予算に匹敵する、巨額事業であるにもかかわらず、箱物だけで何を展示するかも決めていないデタラメなものだった。このため昨年1月の総務委員会では承認されなかった。ところが本会議をまえに、小浜俊昭議長をはじめ定宗正人議員や三菱重工出身の砂田正和議員、神鋼出身の菅原明議員たちがひっくり返しに動き、強行可決した。市当局は地元説明会も開かないまま、6月に特定目的会社(代表・プランハウス)とのあいだで仮契約を強行した。これに対して昨年9月に、市民から白紙撤回を求める署名2万1200人分が提出され、長府地区では住民や自治会が立ち上がり、8カ月まえの仮契約では可決したものを、昨年の9月定例議会本会議では全会一致で、ひっくり返さざるをえないところとなった。
年報酬1千万で飼犬に培養
なぜ議員は初当選からしばらくすれば市民に対して横着になり、江島市政の飼い犬のようになるのか。市民が怒っているのは、市民生活とはかけ離れた議員の報酬である。
昨年度調べの旧市でみると、一般議員で報酬と期末手当で900万円(平均)が支給される。そのほかに議長が170万円プラス、副議長は70万円が足され、5つの常任委と議会運営委の正副委員長(10人)は、それぞれ20万~40万円多く出される。正副委員長ポストが回ってくる大きな会派めがけて、議員は政策そっちのけで群れに入ろうとする。
さらに、年間50数日間ほどの本会議や委員会に出れば、1度も発言せずとも居眠りしていても、日額4000円が払われ政務調査費がつく。こうして一般議員で年間約1000万円の税金が払われる。議員を労働貴族として培養する政策がとられてきたのである。
さらには、民間企業や病院などから顧問料や役員報酬をとったり、家族をユウレイ社員にして給与をとるといった、たかりの裏家業も活発にさせていった。顧問料は1社当り月額5万円が相場で、大手建設会社から毎月10万円以上を受けとっている強者もいる。政治資金規正法や税務署が、チェックしていない怪しげなものもかなりあるといわれる。失業、半失業の建設労働者が、昼夜かけもちで汗水流して働いても、家族が養えず困っている世界とは別次元である。
さらに執行部からの議員待遇として、旅費や調査費などとさまざまな名目をつけて、金をばらまいている。自治法では議員報酬および歳末手当と費用弁済以外は認められていないため、議会会派を公益的団体に見たてて、交付金が受けとれるようにして分け与えているのである。5会派(当時)にふりわけられていた視察費、政務調査費は、年間2700万円にのぼる。議員1人当り年間でみると、旅費支給38万円、委員会視察費38万円、政務調査費36万円、海外視察(順番)が出されていた。
このほかべつに旅費日当、旅費宿泊費、海外視察費などが公費として出る。視察旅行や海外旅行には、鉄道なら1等運賃で、船賃なら最上級運賃が費用弁償として出される。ホテルに1泊すれば宿泊費および日当として、政令指定都市で2万1500円が支給され、地方都市でも1万7800円とVIPなみの待遇をさせている。かりに安宿に泊まって、おつりはポケットに収めてもとがめられないは慣例。視察報告を書かず職員につくらせたり、同僚議員の名前で旅費を使いこんでいたりと、視察中にパチンコに熱中していた議員など、出張旅費は疑惑のオンパレードとなってきた。名古屋市でのセクハラで「議員辞職勧告決議」となった金田直樹議員の例は氷山の一角で、議員の多くがすねの傷として、執行部や小浜議長に握られているとされる。
そして議員を3期以上つとめれば、年間で最低205万円の年金が保証される。当選回数とともに金額が上がり、10期目の小浜議長は年間300万円以上が保証されてきた。
市民のなかでは、江島市政の暴走とたたかって市民の生活を守るような議会への刷新を求めている。江島飼い犬議員を一掃し、市民派の議員を増やして議会を刷新すること、とりわけ議会では、脅迫し、買収し、籠絡していくしかけができており、それらに抗して市民代表の立場を貫く議員を求めている。いずれにしても議員を監督し、圧力をかける市民の大衆的な世論と運動が決定的である。