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下関市医師会北浦班 風力反対で市長に要望書提出

 下関市の安岡沖洋上風力発電の建設予定地から半径五㌔㍍内外で診療活動をおこなう下関市医師会北浦班(班長・口羽政徳氏、44医療機関)は、構成員である全医療機関が一致して、下関市長に風力発電反対表明を求める要望書の提出を決定。9日、代表6人が市役所を訪れ、「地域の子どもたちや住民の健康を預かっている医師会の使命に立って」風力発電反対の意志を伝え、市長に要望書を提出した。これに対して中尾市長は、事前に連絡を受けていたにもかかわらずこの日も姿をあらわさず、代理の坂本副市長が応対した。
 要望書の提出をおこなったのは、下関市の北西部、北は吉見・吉母地区、南は垢田地区、東は新下関地区までを含む範囲で診療活動をおこなっている、済生会病院や安岡病院、下関病院、また数多くの開業医など四四医療機関。初めに口羽班長より、以下の内容の要望書が読み上げられた。
   ○………○
 前田建設工業株式会社は、平成27年度に下関安岡沖の海上に、国内最大級の出力6万㌔㍗の洋上風力発電所の着工を計画している。しかし、風力発電は周辺の住民の健康、および周辺環境に多大なる弊害を与えることが世界中から報告されており、以下にのべる理由から下関市医師会北浦班は安岡沖洋上風力発電の建設に反対する。
 ①健康被害。風車から発生する音には、可聴域の騒音と、不可聴域の低周波音がある。騒音は直接不眠の原因となり、低周波音は、外因性自律神経失調症、あるいは風力発電機症候群として、人体に有害であることが世界中で立証されており、人家からわずか1・5㌔㍍の至近距離に建設された場合、住民への健康被害は多大なものとなり、地域住民の健康を預かる医師会北浦班としては看過できない。
 ②下関市の衰退。風車の建設による漁場の喪失は、水産都市下関市の没落を意味する。住居としての資産価値も減少し、健康被害もあいまって人口の流出が予測され、下関市がゴーストタウン化することは、諸外国の例を見るまでもなく十分予測できる。諸外国の洋上風力発電は、沖合10㌔㍍以上遠方に建設することが趨勢となっている。
 ③反対署名数。建設反対署名は7万筆にのぼっており、地元住民の同意はまったく得られていないと考えられる。
 以上、地元住民の健康を守る使命を有する医師会北浦班としては、明らかに人体に有害な風力発電の建設を認めるわけにはいかず、下関市長におかれては、市民を代表して風力発電建設に反対していただけるよう以下の要望事項を申し上げる。
 要望事項
 一、安岡沖洋上風力発電事業に反対する表明を下関市長に要望いたします。

 アセスの結果待たず反対表明を

 これに対して坂本副市長や砂原環境部長は、「環境アセスメントが終わった段階で市長は意見をのべることができる」と法律上の手続きをくり返すのみで、医師たちの真剣な訴えに耳を傾ける姿勢は見られなかった。 医師たちは「アセスメントが事業者に都合のいい報告書にならないかと危惧(ぐ)している」「市長は行政の上に立ち、市民のために政治をおこなう政治家なのだから、アセスの結果を待たなくても意見をのべるべきだ」「前田建設は、漁民が知らないうちに漁協のトップに1000万円を渡すというような体質の企業だ」と追及し、「医師会として前田建設工業の説明を聞いたが、耳に聞こえずデータに出ない低周波について、いくら予測値を示されたところで話にならない。健康被害は諸外国でも多く報告されている。そうした風力発電の問題点について、市民に周知徹底したうえで市としても判断してほしい」「風力発電はクリーンなイメージがあるが、実際には人の命を犠牲にして建つものといってよい。市民の健康を守るわれわれ医者は、結果として出たものを治すのが仕事だが、市の側は風力発電の健康被害という結果が出てしまう前に、想定できる危険性をあげてほしい。医師会の意見を十分にくんでもらいたい」と強く訴えた。
 今年に入って安岡沖洋上風力発電の建設をめぐり、中尾市長に反対の表明を求める陳情書・要望書を提出したのは、安岡自治連合会(5300世帯)、綾羅木地区15自治会(3400世帯)、安岡商工振興会、山口県保険医協会、山口県漁協ひびき支店の九割の組合員、山口県宅建協会下関支部。これほどの各界各層の市民の声を無視し続ける中尾市長に対して、その責任を追及する声は日増しに高まっている。

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