いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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下関の政治構造揺るがす選挙に 来年1月に迫る下関市議選

 下関市議選が来年1月に迫っている。盆明け以後、議員たちがいっせいにペコペコと挨拶回りを始めているものの、その周囲で「この人のために!」と熱心に応援する人人の姿が少ないのも特徴になっている。この間、市民のなかでは地元経済が疲弊しきっていることや、雇用がなく若者の流出に歯止めがかからないことなど、農漁業、製造業をはじめ産業の衰退が深刻な問題として語られ、その立て直しを求める世論は切実なものになっている。ところが市政を見てみると、江島市政にせよ、中尾市政にせよ、要するに安倍代議士やそれに付属する林芳正参議院議員などの代理市政であり、産業振興策は皆無なまま観光立国路線を先取りするような街作りやイベント趣味にばかり傾斜したり、市民には税金とりたてを厳しくしながら端から大型箱物事業に費やしたり、とても地方公共団体とはいいがたい状況が続いてきた。市議選を迎えるにあたって、何が争点になっているのか記者座談会をもって論議した。
 
 低投票率で議席確保狙う自民

  まず今回の市議選の立候補予定者の動きや、市民は選挙をどのように見ているのか出しあってみたい。
  定数34に対して、今のところ引退が明らかになっているのは自民党系では鵜原(清末)と異儀田(豊浦町)。公明党はベテラン3人組が年齢制限や汚れすぎといった理由で降板となった。それに対して、新人としては、「女性活躍」を掲げる安倍首相のお膝元ということで、安倍事務所が井川元市長の娘である井川のり子を丸抱えでとりくんでいる。民主党が初めて加藤県議の親戚で豊前田で飲食店を経営している酒本哲也を擁立するほか、一時期は極東建設で専務をしていた板谷正が再度新人としてチャレンジするようだ。その他にも、大阪維新の会の白木源治郎が彦島を拠点にして出馬するといわれており、吉田・王喜地区からは市役所OBの江村卓三が出馬するようだ。元職では桑原博が再起をはかっている。
  公明党の長秀龍が引退に追い込まれたことが企業などでは話題になっている。本人は有力な支援者にも「まだ出たい!」と泣きついていたが、散散あがいたうえでの降板となった。副議長になっていた時期の行儀の悪さはたいへん評判になっていたが、海響館前の立体駐車場売り飛ばし問題や市立大学の利権介入など、相当利害関係者とつながって「大活躍」していたことがよく問題にされていた。創価学会としてはこれ以上評判の悪い長秀龍を抱えることはできないという判断のようだ。前回選挙で公明のなかでトップ当選だった中村勝彦もアルコール中毒がひどいことが仇になって引退となった。末永昇は年齢制限で順当に引退した。
  長秀龍はみずから周囲に「影の議長」と吹聴するほど下関市議会のボスを気取っていた。関谷議長が率いる最大会派の安倍派・志誠会がだらしがないのもあるが、安倍政治の右腕として機能する公明党の存在を象徴していた。市民派議員を恫喝したりをくり返してきたが、最終的には本人が意に反して降板に追い込まれ、さぞかし悔しいことだろうと話題になっている。公明党は「寝業師」だったベテラン3人組が退くかわりに40代の新人を立てるようだ。
  「日共」は前回5人立候補して2人落ちた。近藤栄次郎も最下位で、下手をすると会派解消の危機だった。今回は現職3人に加えて檜垣徳雄を加えた4人に候補者を絞って、目下党内で支持者の奪い合いをしている。近藤栄次郎については前回選挙の後、選挙カーの公費助成で不正をやっていたことが暴露され、ずいぶんと批判が強い。有権者は忘れていない。「日共」集団も平然とこんな者を出してくるから、彦島の人たちは驚いている。公費助成で税金泥棒をしていたのは他にも自民党の平岡泰彦(唐戸)、副議長の木本暢一(豊田町)、亀田博(山の田)がいる。下関市議会のベテラン議員たちのなかでは「タクシー会社と契約したことにしておいて、選挙費用として請求したら丸儲け」というテクニックとして認知され、実際には自分の奥さんの車を使用したり、運転手も身内がやったり詐欺行為が当たり前になっていた。そんな人間が犯罪を問われることなく副議長までしている。
 B 選挙では新人が少ない。郡部の方では出馬制限がかかっているようで、安倍派が安定的に議席を稼いでいく構図が続いている。豊浦町は、林透、戸澤、濱岡、「日共」明石の四人以外に動きがない。豊北町は現職の「日共」江原と右翼もどきの吉田のみで、豊田町も木本暢一の一人だけ。他に出る者がいないから高をくくっている。菊川町もたいして力もないのに威張り癖だけ身についた松田が安泰を決め込んでいる。少し前まで、地域の世話役などもしている人物が出馬するという噂が広がっていた。本人もそのつもりで九月末で職場を退職したが、上から圧力がかかって消えてしまった。「人望はあるのに、なぜ出ないのか」「出馬したらひょっとしたら…」と語っている町民も多い。
  もっとも活発に動き回っているのが関谷議長で、外海七漁協の支援をとりつけたとか、理美容協会も応援するとか、あちこちの団体の応援をとりつけているようで、楽勝だといわれている。「市長選へのアピール」という見方をする人人もいる。井川も「下関版・女性活躍大臣」のような存在で安倍事務所が猛烈にプッシュしているとかだ。林真一郎は林派の合同ガスや新ホームが応援に回ったとかで本人自身が安心しきっているようだ。組織や企業選挙は活発な一方で、市民のなかではだれかを一生懸命応援しているという姿をあまり見かけない。
  選挙ともかかわって、この間もっとも話題になったのが豊浦町川棚で起こった婦女暴行事件だった。みんなが成り行きを注目してきたし、今の下関市議会なり、安倍派の思い上がりを象徴する出来事として受け止められてきた。しかし自民党県連が林透を公認し、本人たちは開き直って被害女性を訴えるという驚くべき行動に出ている。稲村グループから県議まで出そうと張り切っている。これは直接有権者の審判が下されることになる。

 議会棟は飼い猫サロン 名ばかりの二元代表制

 D 本池(下関市民の会、市議)さんが今回四年間の議会報告をつくったが、これを市民に届けると「こんなことをする議員はいない」という反応がどっと返ってきた。選挙のときだけ頭を下げて、後はなにをしているかわからないといわれ、ものすごく喜ばれている。一般質問のやりとりを記したものだが、四年間で様様な問題をとりあげてきたことがわかる。
 B 前回選挙で本池陣営は、「議員報酬を半額に」というスローガンを掲げたが、議員定数の問題一つ見てみても、「こんな議員はいなくていい。もっと減らしたらどうか」「税金がもったいない」という意見がすごく出される。自分たちばかり高給をとって市民のために働かないことに怒りは強い。市議会が市民の代表として意見をあげ、執行部をチェックしているとはだれも思っていないし、議決となると最後はみんな賛成でざっと立って、市民にとって不利益なことも次次可決していく。ほとんどの市民は二元代表制が機能しているとは思っていない。何人いても同じなら議会など存在意義はないという思いがうっ積している。そのなかで本池個人云云ではなくみなの代表として「33対1でもがんばれ!」「市民派で断固貫いてくれ!」と声がかけられている。
 E ある建設会社の若手社長が「私らは入れる議員が一人もいない」と怒っていた。建設関係のことを話しても響かないし、勉強もしないから、「メシの種で生活のために議員になっているような者ばかりだ」と話していた。会社には自民党市議のポスターが貼ってあったが、この前来たから張っているだけだという。公共工事の入札がおみくじみたいなもので、大手に発注される仕事は参加資格がしぼられていくのとは裏腹に、中小零細相手の業務は運頼みみたいになっている。制度が歪んでいるのを是正して欲しいと要求しても頼りになる議員が一人もいない実情を話していた。
  別の建設会社でも経営者が問題にしていた。入札制度がおかしいと地元業者が困っていることを話すと「それはおかしい」といって市役所に行くのだが、逆に市の職員に丸め込まれて帰ってきて、「やっぱり社長が間違っている」といってくるそうだ。建設業界も入札制度で要望を出したりしているが、まともにとりあう議員がいない。「10年後、20年後の下関を見据えてどういう政策、政治をしていかないといけないか考えている議員がいないのだ」と話していた。
  選挙が近づくと、議員があっちでもこっちでも「この道路はわたしが実現した」「この政策はわたしの努力によって実った」等等、手柄話ばかり自己アピールする。王司では田中義一(自民党)が「わたしが頑張って信号が歩車分離帯になった」と宣伝したり、どこかの柱のペンキがはげてそれを塗ったとかを自慢している。他の議員たちを見ても「あの農道は僕がやった」「これは僕がやった」ばかりだが、「僕がやった」のではなく、それは市民の税金でやったことだ。サルベージの橋本みたいに10億円の市民会館をポンとプレゼントしたならまだしも、税金でまかなわれている事業を「僕がやった」といって恥とも思っていない。前田晋太郎(安倍事務所秘書上がり)も高杉東行終焉の地の整備を自分の手柄のように主張しているが、あれも白石正一郎の子孫のカンパに加えて税金によって整備したものだ。
  アベノミクスといっても日銀の量的緩和で官製相場をつくり出しているだけなのに、「僕がやった」と自慢しているのが親分の安倍晋三だ。海外へばらまいて得意気になっているが、あれもみな税金が原資だ。下関の子分どもまで「僕がやった」の精神構造をしっかり引き継いでいる。
  旧郡部の方は合併から10年で寂れ方がひどすぎる。議員たちは住民から相当に注文をつけられている。本池のリーフを読んですごく共感した住民が、「人から頼まれたことをするのが仕事になって、自分からなにかを変えていこうとか、よくしていこうということに頭を使わなくなっているのではないか」と別の議員に直接忠告したことを語っていた。
  豊田町の人たちに届けたときも、「うちの議員にもこんなのつくったらどうかといってみようか。しかしなにもしていないから、つくれないはずだ…」と話題になった。山奥の地域には「この道を広くします」と毎回いいに来るが、その後四年間は一度も来ない。選挙が近づくと思い出したように「この道を広くします」といいに来るという。合併前は各集落から1人町議が出ていたが住民や自治会長が認めないと立候補することはできないというのが議員と住民の力関係だった。ところが、市議会になって町から1人になり、努力しなくても当選できるので、本庁や上の方ばかり見るようになっている。農業振興や地域の過疎化など切実な問題を抱えているときに、たった1人の議員が役に立たないと、腹立たしい思いが語られていた。
  MCSの撤退もあったが、市内の産業が急速に衰退している。雇用がないから若者の市外への流出が止まらず、毎年2000人ずつ人口が減少している。市民のなかではこれをどう解決するか、地場産業を活性化させるかという意識が強くある。唐戸商店街でもひどい寂れようだし、ガントリークレーンの問題にしても下関港存亡の危機だ。土木建築業界でも入札制度が若干改善されたとはいえ、競争、競争で利益が出ない状況など、切実な問題が山積しているのに、本気でとりくむ議員が一人もいない。産業振興になんの関心もなく、せいぜい地域の夏祭りに来て威張っているだけだ。しまいには田中義一などは酔っ払って、子どもたちや地域の人人が見ている前で立ちションベンするものだから、自治会の人人はあきれている。「オマエ、立ちションベンするなよ!」とわざわざ注意される議員がいるのだから情けない。

 公務日数は年間50日 浮き世離れの議員報酬

  市議会というと年に4回定例会があるが、出席日数でいうと年間50日もない。たったそれだけで約1000万円の報酬を手にする。公務日数は50日だとしても実際に議員が出勤するのは10時からで、昼の12時に終わったりもする。それでも1日にカウントされる。せいぜい審議が長引いたとしても5時、6時くらいだ。自給にしたらすごい金額になる。しかも寝ている者が多い。話題になっている政務活動費は年間60万円確保されている。浮き世離れしたカネや利権を与えられて飼い慣らされて、執行部の提案にはすべて起立賛成で、否決することなどほとんどないのが下関市議会だ。賛否をとる前にすでに執行部とのあいだで話はついている。
  それに加えて「議員だけでは生活できない」といってだいたい副業を持っている。顧問料も1社につき2万~3万円が相場といわれている。関谷議長などは企業から顧問の依頼はたくさんくるし、「小浜(前議長)越えしたのではないか」といわれている。10社くらいあれば顧問料収入だけで月20万~30万円にはなる。議員歳費だけではない。
  選挙のときは「○○地域代表」というが、日頃やるのはどぶ板くらいで、実際は安倍派代表、林派代表として集団プレーに終始する。安倍・林の駒で議員たちが動き、中尾が安倍から任された仕事をやって、そろって賛成していくという基本的な構図がある。「日共」集団といっても公団や生活保護利権を分け与えられて完全な補完勢力になっているし、口の先で「反対!」といいながら市民運動破壊ばかりやってきた。満珠荘存続やあるかぽーと開発など、市民が立ち上がると必ず介入してきて、運動を分断したりねじ曲げていく連中だ。現状では唯一対抗しているのが市民の会・本池という格好だ。
  本池議員が市議会に入ってから4年たつが、その間委員会での発言の揚げ足をとって「嘘をいった」と騒いでみたり、「懲罰の対象にする」といって議長、副議長が直接恫喝を加えるなど、なにかと総掛かりで脅しを加えてきた。しかし、それに対して市民が実態を知って怒りの世論が盛り上がると、あっという間に力関係がひっくり返ってしまうという連続だった。本池個人で見なしたら大間違いで、その背後には多くの市民がついている。猿山のボス支配みたいなのは密室では有効かもしれないが、恫喝の手口などに光が当てられると脆い。市民世論として勝負することの大切さも浮き彫りになった。今の下関市政と対決しようと思ったら、議場で33対1なのは当たり前だ。
  二元代表制だから執行部と緊張関係を持って議論を戦わせて、市民の意見を突きつけるのが本来の議会だ。しかしきれいに丸め込まれ、新庁舎の最上階を与えられて飼い猫サロンにしている。よく本池議員が委員会で質問しようとすると、「執行部の方になんてことをいうのか」と委員長が制止したりする。執行部を追及したら議員が腹を立てる。我我議員はバカだから黙っておかないといけないと自主規制をかけ、異論を挟む議員の揚げ足をとって攻撃する。オール与党の一元代表制だ。それなら議会は必要ないということになるが、議会制民主主義など吹っ飛んで、異論は認めないという構造になっている。多種多様の異論を持ち寄るからこそ議会で、そのために定数も認められているのに、「言論の府」としての自覚すらない。

 安岡洋上風力が示す 市民運動に打開の展望

  市政そのものは中尾市政の印象がとぼしい。江島が降板せざるを得ないところまで追い詰められ、どさくさにまぎれて林派・唐戸魚市が市長ポストを得たが、中尾市政というより安倍代理市政だし、市政は相変わらず市場原理の略奪型だ。中尾市長になってから新庁舎をはじめとして総額200億円もの箱物計画がぶち上げられ、「建て替えない」といっていた新庁舎、消防署の海沿い移転、総合支所や勝山公民館の建て替え、幡生ヤードの教育センター建設と大型箱物事業が着着と進んでいる。新博物館も長府功山寺前の山口銀行の関連会社が所有していた土地を市が買い上げて、建設が始まっている。
  さらに市民のなかで問題にされてきたのが、JR西日本、山口銀行、下関市の3者で150億円かけておこなった駅前開発だ。5億円かけた梶栗駅、29億円をかけた長府駅に続いて、JR西日本と広成建設が受注する大型事業で、できあがってみると名店街からは地元商店が追い出されて、イズミ(本社・広島市)をはじめ市外の業者ばかりになった。川中・伊倉地区や新椋野地区などの郊外開発をした後に広島からイズミがやってきて郊外を抑えていったが、今度は「中心市街地活性化」といって、市中心部も外来資本が占拠してしまった。「ゆめモール」「ゆめシティ」「ゆめタウン」「ゆめマート」とこれだけイズミが市内に何カ所もあるような街は他にない。安倍事務所が引っ張ってきた外来資本がみな一等地をとっていったり、商圏を抑えたり、大型箱物を食い物にしていく。
  大企業は撤退し、中小企業はアベノミクスの影響や消費税増税も重なって、老舗が次次に倒れている。若者には職がなく、農村部には働き手もいなければ、TPP体制に向けた農業政策で、ますます農家は生活できなくなっている。産業振興の課題は待ったなしだ。しかし箱物や開発にあけくれて、下関のお金が働く者のところには回らず、山銀や大手企業のところばかりに回っていく。市民の方はむしろ税金の取り立て強化や保険料などの負担増、福祉の切り捨てなどでますます厳しくなっている。
 C 議会棟は新しくなって約1260平方㍍から約3700平方㍍へと3倍もの面積に広がった。市民サービス棟の最上階の3階分も占拠して、まるで議員サービス棟みたいになった。その立派な議場で寝ている議員が多すぎる。いびきをかいて傍聴席を驚かせる者までいる。下関市議会は全国稀なる発言制限の自主規制ルールがあるが、むしろ「寝た議員は1カ月給料なし」とかの特別ルールをつくった方がいいかもしれない。議会改革の先進地として全国から視察に訪れる議会関係者も多いそうなので、「居眠りする議員が多いからです…」と理由を説明すればいい。
  この間安倍政府が再登板して、下関の上層部も鼻息が荒くなっている。「福島原発は完全にコントロールされている」をはじめ、TPPでも選挙前には反対と公約してみたり、安倍自民党が嘘を平気でいうことに全国の人人は驚愕している。しかし、下関を見ると珍しくない。江島が「人工島計画を見直します!」といって当選し3日で破棄した姿や、中尾が「市庁舎は建て替えない」といって当選したら平気で覆して好き放題する姿が重なる。平然と嘘がつける政治の源流なのだと改めて思わされる。「公約を実現できず申し訳ない」というのではなく、「進化だ」といいかえるペテン師みたいなのが市長になって、「安倍先生! 安倍先生!」とおべんちゃらをやって認められるわけだ。
  第1次安倍内閣のときも、「私の内閣のときに消えた年金を1件残らず全部やります」といったが、そんなことも都合よく忘れている。責任がなくその時時で都合のいいことを適当にいう。TPPももともとはポスターまでつくって反対といっていた。今回でも外国人の献金をもらっていたが、安倍が野党党首のときは、民主党に「辞任を求める」といって攻撃していたが、自分の身内のことになると「撃ち方やめ」となった。人に対する基準と自分に対する基準が違う。市場原理主義というのはダブルスタンダードが基本だ。だから市大でも自分たちはトイレ工事利権の疑惑を隠蔽したままで、全然透明性はないくせに、教授たちには「研究室の窓にポスターを張ってはいけない」「透明性を求める」という。
  オール与党体制という今の下関の政治構造の下で、考えられないような議会の腐敗がある。議会が住民の意見を代表して執行部をチェックするという二元代表制、議会制民主主義が崩壊して、議会がないに等しい状態だ。あてになる政党なり政治家がいないというのは国会も同じだが、だからといって選挙でなにも変わらないかというとそうではない。今広がっている安岡沖洋上風力の運動の経験を見ても、ゴミ袋値下げ10万人署名や学校の給食食器改善の運動など、これまでの経験を見ても、市民運動がもっとも力があるし、下から運動して議員らを突き上げたときに現実を動かすことができる。それは上関原発建設に反対している祝島もそうだし、沖縄でも翁長を縛ってやろうという県民世論が県知事選を揺り動かしている。
 F そもそも江島が下関で政治基盤を失ったのも市民運動の力だ。安倍代理で最後まで抱えたいという安倍事務所の願望も叶わなかった。参議院選では安倍采配でとり立てられたもののその政治基盤としては極めて脆弱だ。下関では4万票もとれなかったし、全県でも得票率からすると18%くらいだった。8割の有権者が支持していないことになる。わずか2割の有権者の得票で国会の3分の2の議席を奪ったのが自民党だが、選挙テクニックによってかつがつもっている地位に過ぎない。
  今回の市議選でも、安岡地区では風力反対の1000人デモまで来た確信がすごく強い。選挙で市長も締めあげるし、腐った議員を落とす運動なんだと意欲が出ている。風力反対で医者が陳情に行っても、自治会が行っても、漁師が行っても中尾は出てこないし、「これはみんなで締めあげないといけない」「次のデモは市庁舎をとり囲もうではないか」と盛り上がっている。そういう人人が「市民代表として本池を送り出すんだ」と本気になってとりくんでいる。下関の政治構造に対して、議員の頭数で勝負しているのではなく、市民の運動そのもので揺り動かすことができるというのは確信だ。
  それぞれ支持する候補者は違うが、支持するからには自分の推した議員がどういう議員活動をするのか問い詰めて、締めあげないといけない。今、国政を見てもそっくりな状況になっている。あてになる野党がどこにもなく、その隙間で自民党が国会の3分の2を独占していい気になっている。
 一見すると安倍独裁政治で、公明から連合、「日共」も安倍事務所にたてつくことは絶対にしない。「日共」集団はむしろ本池攻撃に熱心だ。安倍派が喜ぶことをして、点数を稼ぐのが彼らだ。しかし2割の得票で国会の3分の2を独占した自民党ではないが、その政治基盤は脆い。市民なり国民の8割といわなくても、2割を上回る3割が動き始めたときには選挙においてもひっくり返る。
  自民党のこの間の選挙テクニックは、裏通り選挙にして勝ち抜けていくという手法だ。みなが候補者に幻滅して投票に行かないようにして、組織票で勝っていく。山本繁太郎が県知事選のときに「投票率が上がったら大変だ」「50%をこえたら負けるから、40%台前半でいってほしい」といっていたが、有権者の支持を受けて選挙に勝つというものではまったくない。市議選も同じで、できるだけ市民に火をつけないようにしておいて、あとは安倍事務所が組織票を振り分けて当選させることを願望している。そういう選挙構図に対して、市民の運動をつくっていくたたかいとして、盛り上げていくことが必要だ。
  前回の選挙で本池陣営は裏方で働く人人の政治参加を呼びかけたが、もっと運動を力強いものにすべく市民の会の婦人たちも走り回っている。本池選挙でいえば、決して安泰ではないし切り崩そうとする力が強力に働いている。そういうなかで、市民運動の底力を見せつけないといけない。前回得票を確実に上回るものにして、揺るぎない力を示さないといけない。市民運動とつながった議員活動というのは全国でも例がなく、風力にしても「どうして下関はあれほど運動が盛り上がるのか?」という問い合わせも多い。下から広範な市民が立ち上がったときには、為政者が震え上がる。強烈な審判を叩きつける選挙にすることが重要だ。

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