新型コロナウイルスの蔓延によって不要不急の外出自粛が呼び掛けられ、各種産業や社会活動に甚大な影響が及んでいます。このなかで、長周新聞社が本社を置いている下関の街でも、とりわけ飲食店や地元商店が客足の少なさによって経営が困難な状況に追い込まれており、各々の店舗が少しでも事態を打開しようとテイクアウトや出前に取り組んだり、できる限りの努力をしている実情を目の当たりにしてきました。
飲食に限って見てみると、一つ一つの店があみ出したオリジナリティー溢れる料理の数々は、和・洋を問わず、また居酒屋であれ小料理屋であれ、ラーメンであれうどんであれ蕎麦であれ、この下関の街の食文化を彩ってきた大切な1ピースであり、それらがコロナ後になくなってしまっていた…残ったのは全国チェーンのみ…というのでは、あまりにも失ってしまうものの代償は大きいものがあります。スナックしかり、バーしかり、一つ一つの店舗でマスターたち、スタッフたちが積み上げてきたものが、音を立てて崩れ落ちていきそうな危機的な局面を迎えているなかで、これを支える力はどこにあるのか――ずっと考えてきました。
家賃の値下げや自粛営業への協力金の配布など、自治体や行政による金銭的な支援が必要であることはいうまでもありません。しかし、現状ではお上をあてにしていても事が動くのはいつも後手後手で、しかも見込めそうな支援金は雀の涙ほどではありませんか。従って、座して死(廃業)を待っているわけにはいかないとテイクアウトや出前が苦肉の策として始まっているのです。なんとしても前代未聞の苦境をしのぎたい、生活の糧を死守したいという切実な願いを込めて――。
目の前で我が街の食文化を支えてきた人たちがピンチに陥っている。我が街だけでなく全国津々浦々の飲食店も同じように苦しい状況に置かれている。否、飲食に限らず、社会の隅々でみずからの直面している困難に頭を抱え、支援を必要としている人々が無数にいる――。疫病というどうしようもない災いによって、誰しもが経験したことのない渦のなかに投げ込まれ、社会全体が心肺停止をしているかのような状態に陥っているのが現実です。
苦しいときはみんなで助け合うしかない。私たちはそのように考えます。政府対応がまるでなっていないことは既に皆さんもご承知の通りで、この国に暮らす者にとっては致命的なものがあります。コロナ後にいったいどんな世界が待ち受けているのか、現状では想像もつきません。ここで、政府が無能だからといって「仕方ない…」「廃業するしかない…」というあきらめの運命を私たちは選択しないといけないのでしょうか? 安倍政府の能力如何にみずからの運命を委ねなければならないのでしょうか? 待ちの姿勢で事が動かないのなら、そして誰かに運命を委ねて最悪の事態を迎えるくらいなら、それが政治であれなんであれ、みずからの力によって変えていくしかない、今できる現実的な困難を少しでも改善できるようにみんなで支え合い、発信し、生きていくための努力をするほかない。そう思うのです。
ついつい話が脇道にそれてしまいましたが、「飲食店を支える力はどこにあるのか」を考えた時、単純に27万市民の胃袋に依拠するよりほかないのではないかと考えた次第です。そこで今回、下関の街でテイクアウトや出前を新たに開始した飲食店の皆さんに声を掛けて、どこでどのように販売しているのか、店長からのお薦めメニューや一言コメント等を掲載・配信することにしました。コロナ禍ではありますが、馴染みのあの店やこの店が頑張っているなら、この街に暮らす皆さんが必ずや支えてくれると信じての企画です。懐に余裕のある方はぜひとも協力していただけないでしょうか。あの店の板さんやこの店の料理長さん、スタッフの皆さんたちが腕によりをかけてつくった料理を、コロナ禍だからこそご注文していただき、毎日とはいかないけれどみんなで支え合おうよ! を呼び掛けます。たまの贅沢なり、家族で美味しい食べ物をいただいて団欒するなり、少しでも和やかに過ごすことができれば、それが飲食店の皆さんにとっても本望かと思います。
まず第一弾としての店舗を列挙していきますが、「うちもやってるよ!」の情報があれば、飲食店の皆様はどしどし本紙編集部まで写真やメニュー表などのプロモーション情報をお寄せ下さい。掲載料などは一切いただきません。ホームページ上にて「下関 コロナ禍のテイクアウト情報! がんばるみんなを支えたい!」でカラー写真と共に随時更新していきます。このページが、例えば給食もなく子どももいない昼時にカップラーメンとおにぎりでしのいでいる学校の先生方(学校は出前需要が多いようです)、夜の飲みを辛抱しているサラリーマンの皆様、朝・昼・晩の食事作りにちょっぴり疲れていらっしゃるお母さん方など、必要とする方の目にとまるようなものになればと願っています。応援の意味も込めてSNS等で拡散していただければ、一つ一つの店舗の努力がより多くの方の目にとまることとなり、有意義な取り組みになるのではと考えています。
日頃より紙媒体及びネットにて記事をご愛読いただいている読者の皆様のなかには「オイ、長周新聞のやつ、ホットペッパーグルメにでもなったのかよ!」「あいつらテイクアウト情報ばっか載っけてんな!」と思われる方もいらっしゃるかも知れません。しかし、何卒ご理解下さい。ローカルな取り組みではありますが、下関の飲食店はこのようにして頑張っているぞ! を微力ながら発信し、頑張ってるなら応援してやるぞ! という力が少しでも動くことを願って、支え合いたいと思うのです。よろしくお願いいたします。 編集部一同
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