林議長、吉田副議長の公用タクシー券使用の実態について
下関市議会正副議長は、平成31年2月27日、林議長、吉田副議長が就任した。
平成31年3月分から令和元年8月分までの6カ月間の両氏の公用タクシー券の使用状況を調査した。紙面の都合上全てを示すことは無理なので、調査した6カ月分のうち令和元年4月~7月の4カ月分の使用状況を示すこととしたが、それが【別表5】である。
その内容は、回数と金額の多さ、唐戸、豊前田・細江、川棚から自宅までという偏った乗車区間、夜遅くの乗車時間、そしてもっとも重要な公務等を証する文書が極めて少ないこと等、戸澤、亀田前正副議長と変わらないというか、むしろそれ以上に市民が容認できない使用の実態であった。
林議長の使用の実態と問題点
使用回数と使用金額はいくらか。また、それは公務等にともなって使用されたのか。
林議長の6カ月間の使用実績を集計したものが【別表6】である。6カ月間で57回、42万2670円使用している。このうち公務等にともなって使用したことが確認できないものが、39回、27万6860円となっている。実に使用回数の約70%、使用金額の約65%が公務等の証明がなく、私的に使用されているのではないかと疑問を持たれる使用実態となっている。
この使用実績表で明らかなように、7月、8月分の使用回数が大幅に減少している。
本調査は平成31年4月中旬から始めたが、市議会事務局に対して、公用タクシー券を私用に使っているのではないかと、公私混同を問題にしてやりとりしたのは7月初めからである。
問題視されたこと、これにともなって市民から批判の声が上がったこと等によって、私用を疑われるような使い方はいけないと考えて減少したのかと林議長の良識を期待したが、実際は全く期待を裏切るものであった。7月、8月分を見る限りでは、残念ながら市民の声は全く無視されている。7、8月分の使用回数の減少は、公務等にともなう使用分が0と極端に減少しただけで、一番問題である公務等にともなわない使用、いわゆる私用を疑われる公用タクシー券の使用は昨年の7、8月とほとんど変わっていない。
なお、公用タクシー券が問題視されたので、公用タクシー券のかわりに議長車を使ったということになると、今度は議長車の使い方が問題になる。遅い時間まで議長車を使うと運転手の時間外手当が発生するなど、経費の節減、公務の効率化という観点から、公用タクシー券を使う以上に問題である。このようなことから議長車の使用状況も調査する必要がある。
この調査結果については、後刻報告する。
乗車区間、乗車時刻はどのようになっているか
乗車区間は唐戸、豊前田・細江、川棚の3地点から豊浦町の自宅までの乗車が多く、この3区間の乗車が全57回中55回と、ほぼすべてがこの区間の乗車である。
この3区間の乗車日、乗車時刻等を調査したものが【別表7】である。
この3区間の乗車回数55回、42万530円のうち、公務等の証明のないものが37回分、27万4720円となっている。
3区間のなかでも唐戸から湯玉の自宅までの乗車がとくに多く、33回、29万850円使用している。このうち20回分、17万6610円は公務等の証明がない。
唐戸、豊前田・細江、川棚温泉等から夜の10時、11時にタクシーに乗って自宅へ帰る。しかも、公務等の証明もないというのでは、市民の誰しもが、私的な飲みごとに出席して飲んで帰るのに公用タクシー券を使っている、市民の税金を使っていると思うのは当然である。
しかも全体で公務等の証明のないタクシー券使用の金額は、上述のとおり39回(月平均6、7回)、27万6860円(月平均4万6143円)という多額である(その内訳は唐戸、豊前田・細江、川棚の三地点から自宅までの乗車分が27万4720円。その他に唐戸~竹崎間の1030円、唐戸~今浦間の1110円があり、合計27万6860円)。
戸澤前議長の場合は、14カ月間で114回、82万2130円の公用タクシー券を使っており、そのうち69回分の49万2900円については公務等の証明ができないという使用実態であった。市民の方方から大きな反響があり、驚きや自己負担すべきという怒りの声、そして新たな情報等が調査チームにも多数寄せられた。
林議長と戸澤前議長の使用状況を比較したのが【別表8】である。
この表を見ても分かるとおり林議長は6カ月間の調査のため、使用回数、金額ともにその総額は戸澤前議長に比べると少ないが、1カ月当りの使用回数、金額、また公務等の証明のない使用回数、金額はいずれも戸澤前議長を上回る使用実態である。毎月分は多く使っている。
戸澤前議長の公用タクシー券使用の実態調査は、戸澤氏が議長を降りてからであった。
戸澤氏自身まさか議長時代の使用実態を調査されるとは思っていなかったはずである。
しかし、林議長の場合は、調査チームが調査していることを知ったうえでの使用実態である。そういう点では林議長は、公務等の証明もできないのに公用タクシー券を使用していることについて、市民に対して申し訳ないという気持ちもなく、また、何らの反省もなく意図的に使用していたということである。これは下関市議会の権威と信頼を失する行為である。
公用タクシー券の私用疑惑問題を是正するどころか、疑惑拡大的な方向に進んでいる。
林議長の責任は、誰よりも重大である。
公用タクシー券の不適正使用、私用疑惑を是正しようとしない市議会事務局の責任も重大である。市議会事務局も市民感覚から大きくズレているようである。
支払い済みの公用タクシー代の処理について
戸澤前議長のところで述べたように、次の三段階に分けて考えるべきであろう。
ア 公務等で使用したと証明できないタクシー代27万6860円については、このまま放置することは許されない。市に返還すべきである。
イ 公務等で使用したと文書上はなっているが、市民感情として税金で支払うことに納得できないタクシー代については、今後精査して考える必要がある。たとえば、公務等にともなうものとなっていても、頻繁に夜の11時以降に唐戸や豊前田から帰宅するタクシー代を税金から支払うことに市民は納得できるだろうか。このようなことからもう少し内容を精査して考える必要があろう。
ウ 公務の証明があり、市民感情としても税金で支払うことに納得できるものについては、問題はないだろう。
以上のように考える。
林議長は公務等の証明もないままに、夜遅く唐戸などから自宅へ帰るのに公務用タクシー券を使用している。すなわち市民の税金で支払っている。そのようなことは誰が考えてもおかしいし、許されないことである。
林議長がこの問題にどのようにとりくみ、どのような処理をするのか。下関市議会議長としてのみずからの名誉と下関市議会の名誉のために、リーダーシップを発揮することができるのか。下関市議会議長としての見識、常識が問われている。どのような対応をとるのか、下関市民の注視の的になっているのはもちろん、他の市町からも注視されている。
林議長の上記の使用実態では、夜遅くまで唐戸などで飲んで自宅へ帰るのに市民の税金を使っていると多くの市民が思うのは当然である。このため本人から市民に対して丁寧な説明あるいは釈明があるものと考え、本人に取材を申し入れた。しかし、最終的には取材を拒否された。
これほどの問題を指摘されても、何らの説明もしないということは、下関市議会の現職議長として、市民に対して無責任といわざるをえない。公金の不正・不適正使用の問題である。沈黙ですまされる問題ではない。
吉田副議長の使用の実態と問題点
吉田副議長の6カ月間の使用実績とその使用内訳は、【別表9】で示すとおり使用回数14回、使用金額12万8900円となっている。問題は全14回の全てが公務等の証明のない、私用を疑われる使用となっていることである。
公務等の証明もないのに唐戸や豊前田、竹崎などから夜の10時以降に豊北町の自宅まで帰るために、1回1万2000円から1万3000円かかるタクシー代を、公用タクシー券で支払っている。副議長といっても年齢的には若手である。公用タクシー券、すなわち市民の税金をこのように使うことに心の痛みを感じないのだろうか。市民に対してすまないという気持ちはないのだろうか。公務等の証明がない使用なので、使用分すべてが問題であるが、とくに問題なのは3月22日使用分である。【別表9】に示すとおり、23時に川棚から乗車しているが、3人乗車となっている。川棚から二見の自宅に帰るのに田耕経由で大回りしたため、倍以上の9750円かかっている。誰かを送ったものと思われるが、市民のお金でよくこのようなことができるものである。まさか調査され、表沙汰にされるとは思っていなかったのだろうが、公用タクシー券の使用全てに公務等の証明がないことや、3月22日の使用の実態などを併せて考えると、多くの市民から倫理観の欠如を指摘されるのではないか。
また、このような使用を不適正だと指摘せず、公費支出した市議会事務局も問題である。これは適正な支出とはならないので支出手続きはできないと拒否すべきであった。それが議会事務局の正しい職務の進め方ではないのか。公務員としての責務ではないのか。
支払済みの公用タクシー代の処理については、これまで戸澤前議長や林議長のところで述べてきたように、公務等に関連して使用したと証明、確認ができないタクシー代は公費、税金で支払うことは許されない。私的な会合や付き合いで遅くなったからといって税金を使って帰宅することは許されない。したがって、公務等の証明、確認ができないにもかかわらず公費から支出された12万8900円については、市に返還すべきである。
吉田副議長が以前から道徳の重要性を説いたり、不適正、不適切な公金の支出は許さないという立派な態度で、市政を厳しく追及してきたことは市職員はじめ多くの市民が見てきたところである。みずからにかかる不適正な支払いについては早急に返還され、平素の言葉、態度に恥じない立派な対応をとられることを多くの市民は期待している。
今後も注視していきたい。
なお、この問題に対する吉田副議長の見解、釈明は次のとおりであった。
吉田 基本的に議長・副議長は議会を統理するものであるので、本会議や委員会など、一般の議員としての公務がない時でも決裁などもある。副議長が決裁しなければ議長に回らないわけで、市の内部規定でも決裁がなければ前に進まないので、本会議あるいは委員会がないときでも市役所に来ることが仕事だと思っている。
来るなかで、どこどこの部局がこの案件について説明をしたいので時間を下さいといってその話を聞いたり、あるいは私が議員として市民からいただいたお話を執行部、担当部局にこういったお話があるがどうかとお尋ねするのも議員としての仕事と思っている。
行きは車で連れてきていただくわけで、仕事をして帰りも家まで送っていただくというのは、議会事務局に確認したところ良識の範囲内ということで、当然のことではないかと思う。迎えに来て後は知りませんよというのでは、それはおかしいので、そういう取り扱いはしていませんという報告を受けているので、公務で使用していると認識している。
記者 3月22日(金)分についてはどう考えているのか。
吉田 これは、私の認識の甘かったところだ。川棚で知っている方方との会合があり、公用車で川棚まで送っていただいた。そこで(公用車に)お待ちいただくと遅くなったりする。働き方改革という面もあるので、「そういうときには帰りはタクシーチケットをお渡ししますので、運転手はあまり長い時間拘束させないようにして下さい」と最初に指導をいただいていたので、「今日はタクシーチケットをいただけたら、タクシーで帰りますから運転手さんは帰って結構です」ということで帰っていただいた。
会合が終わったあとに、たまたま豊北方面の方が2人おられたので、帰りをどうするか聞くと、母親を呼ぼうと思っているといわれたが、かなり遅い時間だったので、豊北の山の方から来るとシカやイノシシも出るし、高齢ということもあり、運転で負担をかけるのであれば、どうせ帰り道なので、川棚からだと、田耕はクスの森を通って大河内トンネルを通ると近く、私は滝部を回って帰ればいいので、一緒に乗って帰りませんかとお声かけをして乗って帰っていただいた。最初に割った金額のお金を預かったが、余りましたとお返しした。
後日事務局から、この日3人となっているが、これはどういうことだと聞かれたので説明すると、さすがにタクシーは議長車・副議長車の公用車のかわりなので、一般の方を乗せるというのは認められないといわれた。私も(副議長に)なったばかりなので認識が甘くて申し訳ございませんでしたということで、返金しましょうかというと、会計の処理もあるので、以後はしっかりと気をつけてくださいと注意を受けた。最初は返金をしようかと思っていたので、一緒に乗って帰った方にもその可能性についてお話はした。
合理的にこうしたらいいのではないかと思ったが、してはいけないということだった。定期監査もあるので、監査で指摘を受けて、返金してもらわなければ困るということであれば、私の利用方法が悪かったわけだから返金する。
この意見釈明を聞いて市民の皆様はどのように感じられたでしょうか。
最後に
市の公金は、私達市民のお金です。
いくら正・副議長といえども、市民のお金を使って、市民から「それは何のために使ったのか?」と聞かれて、明確に説明することが出来ないものに使うことは許されない。
それが公金を使う時の最小限の説明責任であり、その説明に対して市民がその支出の正当性、妥当性を評価、判断するものである。
ところが本件では、使ったタクシー代の半分以上が何のために使ったのか説明できず、分からないまま支払われている。
タクシー代支払いの手続きをした市議会事務局に「何のために使ったタクシー代か」と聞いても、「何のために使ったのかは分からないが、きっと正しく使われているはずだ」という回答しか得られない。「何のために使ったか分からないのなら、私用に使っているかもしれないではないか」と再度聞くと、「正副議長には、公金なので私用に使わないでほしいとお願いしている。本人もそのことは自覚しているという前提で、私用には使ってないと判断している」という回答である。市の公金をこのように適正な支払いであるかの確認をしないで支払ったのは、市の会計諸法規に違反しており、市職員の職務義務違反である。このことを指摘されてもそのまま何もしないで放置したら背任行為である。
何のために使ったタクシー代かよく分からないという金額も、わずかな金額ではない。調査した期間で、戸澤前議長が69回分の49万2900円、林議長が40回分の27万6860円という大金である。
そのうえ報告書で述べてきたように、その大部分が夜の11時、12時に豊前田や唐戸からの頻繁な乗車である。このような使用実態をみると、市民の誰しもが、連日のように夜遅くまで飲んで、家に帰るのに公用のタクシー券を使っている。税金を私用に使っていると思うのは当然であろう。
そのうえ新旧正副議長4人に聞いても、亀田前副議長以外の3人はタクシー券使用の正当性を主張するばかりで、納得できるような説明は全くない。むしろ、正副議長は市民への説明責任を果たせないものに使っても許されるのだと考えているのかとさえ感じる。(亀田前議長には、きちんと説明責任を果たす義務がある。)
なお、亀田前副議長は、9月11日段階で、「私の場合、タクシーは何らかの会合に出席した帰りに使用したものだ。私としても疑念を抱かれるのは嫌なので、毎回事務局に何の会合に参加したのか報告していた。議会事務局で記録しているはずだと思う。公務の記録がないことが不思議だ。議会事務局に記録がなければ、私の記憶や予定表によるものになるので、公文書に比べると信頼性は薄くなるが、確認してみる」とのべていた。
しかし、10月18日にその回答を求めに行くと、「資料を出したのは議会事務局なので、回答は議会事務局がすることになっている」という返答が返ってきた。
市議会事務局に再度、確認したところ、亀田前副議長からそのような依頼はなく、議会事務局としてはこれまで回答してきたように「公務」の証明がないものは「用務」であり、用務のスケジュールまでは把握していないという説明しかできないとのことであった。
市議会事務局は「『公務』の証明がないものは『用務』である。『用務』とは正(副)議長が『正(副)議長として』他団体(JCなど)と会うことである」という説明をしたが、実態は『正(副)議長が人と会うこと』が「用務」となっている。従って、正副議長が人と会って会合、会食をし、タクシーを使用したら「用務」として公用タクシー券を使っているようである。また、タクシー券は必要になったとき、その都度渡すという説明であったが、使用目的が分からないのに渡すときに何も聞かずに渡したのか。実態が明らかになるにしたがって、これまでの説明に無理が生じ、論理が破たんしてきている。
新旧正副市議会議長4人及び市議会事務局は、市民のお金の使途、目的を、市民が納得できるよう説明する責任がある。上記のような回答では市民の疑念、怒りは増すばかりである。
特に、行政のプロとしての市議会事務局の事務的責任は重い。議会事務局は議員の言うことを聞くためだけにあるのではない。議会事務局の基本は、議員に法令等を守らせるのは当然のこととして、「市民ファースト」であるべきであって、決して「議員ファースト」であってはならないはずである。議員の言うことなら反市民的なことでもなんでも言うとおりにするであってはならないはずである。この件に限らず永年の悪弊的なものを急に変えるのは難しいかもしれない。議員に対して遠慮があるのかもしれない。しかし、議員がいくら言っても「出来ないものは出来ない」、「ダメなものはダメ」と言うべきである。それが事務局の仕事であるし、そのことが結局、議員を守ることにつながるのだから。
われわれ調査チームも市民からの声を受けて調査を始めたが、想像をはるかに超える使用実態であり、正副議長及び事務局の考え方と一般市民の考え方との間に大きなギャップがあることも分かった。
この調査報告を発表してから多くの意見が寄せられた。市議会は市政のチェック機関なのに、自らは公金をいいかげんに使っている。自分がルール破りをしている。こんなことで市政の監視、チェックができるはずがない。数年前の選挙費用の公費助成事件の時も、H議員(当時)は、2度にわたりタクシー会社との契約書を偽造して公金約90万円をうけとっている。受給は単なるうっかりミスではない。明白な意図を持った公金詐取といえるのに、詐取したお金を返しただけで何の科も受けず、その後副議長にまでなっている。下関市議会は一体どうなっているのか。各議員はこのような人物を副議長に選出して恥ずかしくないのか。下関市議会は議員も事務局も市民本位ではなく議員本位になっている。このような怒りの声とともに、特に多かったのは、タクシー券使用疑惑を決してこのままで済ませてはならない、自らが不適正な使用をした議長と、不適正をチェックすべきなのに支払い手続きをした市議会事務局が責任をもって対応すべきであるという意見であった。
市民の皆様と共に、まず、4人本人がどのような対応をとるか、自浄能力があるかを見守りたい。次に下関市議会として自浄能力があるかを見守りたい。そして、議会事務局が不適正な公金支出の責任を感じて、どのような処理、対応をするのかを見守りたい。
下関市議会議員に市民の声が届くのか。下関市議会に自浄能力があるのか。市民の信頼を取り戻すことが出来るのか。特に、林議長の責任は重大である。
万一、新旧正副議長4人にも、下関市議会としても自浄能力が果たせないようなら、大きな問題として世論に訴えなければならない。
私どもも公金のいいかげんな使い方は許さないという市民のご意見に応えるために、市民が納得できる対応がとられ、一応の解決がなされるまで、今後も機会あるごとに市民の皆様への報告を続けていきたいと考えている。
市政を正すことができるのは、市民一人一人の意見、怒りの声です。他人任せでは政治、行政は良くなりません。率直なご意見を待ちしています。
※市長、副市長の実態については、調査チームの取材が追いつき次第、連載にてアップし、下関市民の皆様に報告いたします。