【上関】 県漁協東和町支店では最近、「正組合員証」なる証明書を発行することが決定された。増資拒否を続けている漁業者が多いため、出資金を払った漁師との差別化をはかる目的とみられているが、「あっても意味はなく、ほしくもない」と組合員からは失笑を買っている。
東和町支店の掲示板に張りだされた文書には、一部組合員より正組合員である資格を厳密にしてほしいとの要望があったため運営委員会で協議して発行するようになったと記されている。組合員各自には通達はなかったため、張りだされた文書を「発見」した漁業者から、「正組合員証とは聞いたこともないが、なんだろうか?」と話題が広がった。
漁業者によると、「持っていても持っていなくてもたいして意味はない。東和支店の中だけの話だし、身分証明書の代わりに銀行やお店で使えるわけでもない」ものだという。
逆に、「正組合員であります」と人に見せつけるのも恥ずかしい話で、「喜んでもらいにいく人はほとんどいないのではないか」、と語られている。この「正組合員証」、発行してもらうには1枚1000円もかかるといい、「漁協が赤字で手数料稼ぎの目的もあるのだろう」といわれている。
東和では、漁協と県漁協が合併問題でインチキばかりをやったため、脱退者が続出した。組合に残っていても、反発して漁協を通さず出荷する漁師も増えている。ただでさえ不漁と安値の時代に、「漁協の水揚げは激減しているだろう」と語られ、それを補う形で船台の使用料や、免税手続きなど各種の手数料が軒並み値上げされている。
漁業者の1人は、「合併の弊害は、今からどんどんでてくるはずだ。漁協の規律も、上がインチキをするものだから誰も従わなくなった。漁協の経営は、漁師がおり、水揚げがあってはじめてなりたつ。手数料や油代など漁師からしぼるばかりでは死んだも同じだ」と語っていた。