下関市立大学の学長選の行方に注目が集まっている。来年3月で川波洋一学長の任期が切れるため、11月に学内で学長選挙(意向投票)がおこなわれていたが、1カ月近くが経過してなお学長選考会議の経過や結果が公表されず、何が起こっているのだろうか? と波紋を呼んでいる。
同大学の学長選を巡っては、3年前の意向投票で川波氏29票、対抗馬となった候補者38票(幹部職員の票を除く教員票のみにすると17対38)のダブルスコアで対立候補が圧勝したにもかかわらず、その後の学長選考会議で結果が覆り、荻野理事長が引っ張ってきたとされる川波氏が学長に就任した経緯がある。
11月におこなわれた今回の意向投票では、投票権を有する同大学の専任教員、幹部職員およそ70人近くが投票した結果、ダブルスコアに近い差をつけられて現学長である川波氏が再び敗北し、教員票だけで見るなら前回をさらに上回る圧倒的な差が開き、対抗馬に得票が集まったと見られている。ただ、今のところ対抗馬の名前や票数の詳細について発表はなく、すべてが選考会議に委ねられたもとで水面下で進行している。
意向投票すなわち下関市立大学の教員や職員の判断にもとづいて新学長が決まるのか、はたまた学内で惨敗した人物が学長に就任するのか、おおいに注目されている。仮に前回のように意向投票に反した選考が為された場合、下関市立大学の「意向投票」とは飾り物にほかならないことを暴露することにもなる。また、学内で一度ならず二度にわたって「リーダーシップをとるにふさわしくない」と判断された者が大学の要職に就く可能性も秘めている。
学長選考会議を構成しているメンバーはいかなる理由で学長にふさわしいと判断したのか、意向投票の結果をどのように見なして選考したのか、その得票数の具体的数字とともに明快に説明することが求められている。下関市が全額出資し、運営交付金を毎年注いでいる大学として、透明性を担保することも求められている。
なお、市立大学の学長選考はかねてから、学内の意向投票が覆されることが問題になってきた。吉津学長が就任したさいは意向投票の結果が尊重されたものの、その学長選に敗れた荻野氏が当時の中尾市長(修士号取得のため荻野氏のもとで勉強していた)によって理事長に任命されるというビックリ人事がおこなわれ、現在に至っている。
荻野理事長の任期も3月で切れることから、こちらも後任に誰が就くのか、前田市長の判断に注目が集まっている。市政関係者のなかでは市長選後に「選挙応援の見返りで亀田博(市議、元市長、81歳)が理事長になる」とまことしやかに語られていたものの、亀田氏本人は本紙の取材に対して明確に否定している。そして、来年2月の市議選への出馬が決まり、他の現職市議よりも3カ月遅れの12月に自民党公認が下りたばかりである。