26日の本会議での採決濃厚
辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票をめぐり、審査の付託を受けている沖縄県議会米軍基地関係特別委員会(仲宗根悟委員長)は16日、県民投票条例案に対して与野党会派がそれぞれ修正案を提出したため、予定していた採決を見送った。委員会採決は24日に持ちこされ、条例案の採決は26日の最終本会議が濃厚となった。
初めに修正動議を出したのは県政野党の自民党・公明党会派で、修正案を説明した末松文信議員(自民党)は、「辺野古の埋め立ては、世界一危険であるといわれる普天間飛行場の移転先として、その建設用地が必要であることが前提である」とし、条例案の名称を「普天間飛行場の代替施設建設に伴う埋め立ての賛否等を問う県民投票条例」にすべきと主張。
さらに、条例案では「賛成」「反対」の2択としている選択肢に「やむを得ない」「どちらともいえない」を加えて4択にすること、また条例案にある「国が名護市辺野古に計画している」との文言を「普天間飛行場の代替施設建設に伴い、国が名護市辺野古の米軍基地で実施している一部埋立て」に修正することを提案した。
「普天間の危険除去のための辺野古移設」という安倍政府の立場を代弁するものとなったが、普天間基地返還は辺野古基地建設が計画されるまえの合意事項であり、仮に辺野古基地が完成しても普天間基地が返還される確証はなに一つ明確にされてない。そもそも基地負担の県内たらい回しを認めていない沖縄県は、辺野古の工事を「新基地建設」とする立場を貫いており、先の知事選において自民・公明陣営も「普天間の危険除去」を唱えながら「辺野古移設推進」のキャンペーンは展開しなかった。
県民投票は当初から「辺野古の埋め立て」の一点で賛否を問うことを明確な目的に掲げており、「普天間か、辺野古か」を問うものであったり、「どちらともいえない」などの選択肢を加えるなら実施する意味はないという論議のもとで署名活動がおこなわれてきた。署名活動をとりくんできた市民たちは「それなら自民党も公明党も、辺野古埋め立てを推進する理由を堂堂と県民に訴えて賛否を問うべきではないか。本当に“普天間の危険除去のため”であるなら、それを声を大にして賛成運動すればいいし、県民論議を活発化させるなかでその正当性を明らかにすればいい。それをやらずに曖昧な選択肢を加えて県民投票を骨抜きにしようとするのは姑息であり、それこそ県民に対する背信行為だ」と指摘している。
一方、オール沖縄を形成する県政与党会派は「知事は、県民投票の結果が判明したときは、速やかにこれを告示しなければならない」などの文言を加えるなどの修正案を提出した。両会派が修正案を持ち帰り調整したうえで、24日に質疑し、採決に移る。
「保留」5市の対応に注目集まる
県議会(定数48)の勢力は、与党が27人で過半数を占めており、本会議で条例案がほぼ原案通りに可決される公算は高い。可決後は6カ月以内に投票を実施することになる。
ただ、11日時点で、投開票の事務を担う県内41市町村のうち35市町村が協力に同意しているものの、自民党が首長ポストを握るうるま、浦添、宜野湾、豊見城、糸満、石垣の6市が「県議会での議論を見守る」などの理由で回答を保留している。豊見城市は14日の市長選でオール沖縄擁立の市長が当選したため姿勢が変わることは濃厚だが、残る5市の市長の対応に全県的な注目が集まっている。