京都大学「名物」として知られる立て看板(タテカン)をめぐり、京都市から屋外広告物(景観)に関する条例に違反するとして行政指導を受けた京都大学が、公道に面した立て看板の規制・撤去を始めて約1カ月半が経過した。だが市や大学が規制を強めれば強めるほど、学生らはその裏をかく新たな看板を競い合って設置し、京大周辺はさながら「タテカン・コンテスト」の様相となっている。
大学当局は13日、「本学のみが(市条例から)特例的な扱いを求めうる根拠はなく、法令違反を犯さないよう」学生や教職員に求めるとともに、「違反が発生した場合には、今後とも大学が立て看板の撤去をおこなう」「法令違反行為を続ける者・団体に対しては、法的な措置を含め、厳正に対処する」との通告を出して神経を尖らせている。だが、規制によって撲滅するはずが、それが逆に学生らの創作意欲をかき立て、強制執行で撤去しても、さらにユニークなタテカンが出現する。タテカン熱はむしろ規制前よりも高まっているようだ。
京都大学の立て看板は、大学本部のある吉田キャンパス(京都市左京区)の百万遍通りから東大路通り、時計塔のある東一条通りの公道側の壁面に学生が手作りで設置してきたもので、伝統的な京大生の表現の場であるとともに、地域の「景観」そのものともいわれてきた。政治的なものからサークルや学部、学祭の宣伝まで内容は幅広いが、歴史的に東京大学のタテカンが体制志向・権力志向的なものが多いのに対し、京都大学では反体制・反権力志向の色合いが強く、京大の自由な学風を象徴する創造物として受け継がれてきた。「景観」を掲げた行政や大学当局の強硬な規制が炎上を呼びこみ、京大名物「タテカン」をいっそう熱いものにさせている。規制後に立てられたタテカンのユニークさが話題となり、世間の注目をあびている。