長崎県佐世保市で5月下旬から、自動車の電子キー(スマートキー)が反応しない不具合があいつぎ、同市内の自動車販売会社に約200件の相談が寄せられていることが物議を醸している。同様の現象は、沖縄県那覇市や神奈川県横須賀市など米軍艦船が駐留する都市であいついでいるため、米軍艦船や基地から発信される電波との因果関係が指摘されている。
電子キーは、キーを挿入しなくても、電波によってドアの開閉やエンジン始動ができるシステムで、キーと車体の両方に電波で情報をやりとりする送受信機が備わっている。ところが佐世保市では突然、これらの電子キーが作動しないトラブルが増え、佐世保市には「電子キーが佐世保港周辺で使えなくなっている。佐世保港に停泊している米軍の艦船が出した電波による障害ではないか」と自動車販売店から問い合わせがあいついだという。
利用者からの不具合の報告は、複数の自動車メーカーの販売店に、1週間で数十件から100件も寄せられており、過去にも米軍の空母や強い電波を発するイージス艦などが入港したさいに同様のトラブルが起きていたことや、米軍基地に近い地域で被害が多発していることを証言している。
専門家からは、強い電波を発する米軍艦船の交信用無線は、傍受を防ぐため周波数をランダムに変化させながら交信するため、その周波数帯が電子キーと重なったときにキーが作動しなくなる可能性が指摘されている。
国内の電波法では、行政的な手続きをしていない無線の利用を厳しく規制しているが、米軍の無線利用は日米地位協定によって規制の対象外となっている。