オスプレイも基地もいらぬ
沖縄県名護市の海岸に米軍垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが墜落した事故に対する「欠陥機オスプレイ撤去を求める緊急抗議集会」が22日、名護市の21世紀の森屋内運動場で開かれた。4200人の沖縄県民が参加し、オスプレイの墜落やその後の植民地的な米軍の横暴に対して抗議の声を上げた。主催はオール沖縄会議。同日には北部訓練場の返還式典もおこなわれたが、翁長沖縄県知事は式典への出席を拒否し、抗議集会に参加した。
集会では最初に沖縄選出の国会議員6人が次次と登壇し、約4000㌶の北部訓練場返還は、沖縄県民の負担軽減のためではなく米軍が使わなくなったから返還したに過ぎず、まやかしの返還であることを批判し、沖縄の上空をオスプレイが飛び回ることを絶対に許してはならないと訴えた。
名護市選出の親川県議会議員は沖縄県議会でオスプレイの墜落事故に抗議し、配備撤回や米軍普天間基地の県内移設断念、在沖米海兵隊の撤退などを求める決議と意見書を賛成多数で可決したと報告した。また、県議会の決議のなかでは「県民は感謝するべきだ」と発言したニコルソン4軍調整官の更迭も要求している。
ヘリパッドが建設されている高江の住民であり、ゲート前で抗議行動をおこなっている島ぐるみ会議の宜保昇氏は北部訓練場返還式典についてふれ、「4000㌶の基地を返すのだから感謝しろといわんばかりの式典に、翁長さんが参加しなくて本当によかった。あの基地はもともと沖縄県民の土地だ。沖縄県民は基地を提供した覚えはない。ヘリパッドが建設されたヤンバルの自然は二度と戻らない。政府の破壊行為に心から怒りを覚える。基地の全面返還が私たちの願いだ。基地がある限りたたかい続ける」と決意を込めて語った。
次に、翁長沖縄県知事が登壇すると会場からは割れんばかりの拍手と指笛の音が響き渡った。
翁長知事はオスプレイ墜落後の18日に事故現場を訪れ、この上空をオスプレイが飛ぶことのないようにしなければならないと決意したことを語った。また老朽化した普天間基地ではオスプレイに耐えられないことから辺野古新基地の建設が進められており、これを断念させるためにもオスプレイは絶対に配備を撤回させなければならないとのべた。
安慶田副知事が米軍に抗議したさいにニコルソン4軍調整官が「パイロットは陸上を避けて水上に降りた。パイロットの素晴らしさにメダルをあげるべきで、県民は感謝するべきだ」といいはなったことについて「これでは米軍の占領時代と一緒であり、このような米軍を“良き隣人”というわけにはいかない」と強くのべた。「日本政府は沖縄県民を日本国民と思っていない。日米地位協定のもとでは海上保安庁もまともに捜査できない。日本の主権はなく、これでは法治国家とはいえない。日米地位協定のもとでは日本の独立は神話である。日本政府の関係者にいくら抗議しても“米軍に伝えます”、それだけで一度も変わったためしがない」と強く批判した。そして「辺野古の新基地をつくらせないという公約実現のために不退転の決意で頑張っていく」とのべ、会場からは大きな拍手が沸き起こった。
事故現場でもある名護市の稲嶺市長はオスプレイが墜落した安部の海は安部区の人人にとっては日常生活を支える命の海であり、先祖から受け継いできた宝であることを語った。そしてその海に「オスプレイは落ちたのではなくパイロットが危険を避けて“降りた”のだ」とする米軍の主張に対して「笑わせるな」と憤りをのべた。また「政府はみな沖縄県民の声を聞かず、耳も顔も米軍の方を向いている。返還式典も、県民は誰も負担軽減になるなどと思ってもいないのに、まるで感謝しろといわんばかりだ。万事が万事こんな調子だが、われわれは翁長知事を先頭に頑張っていかないといけない」と語った。そして「絶対に負けない方法をわれわれうちなんちゅは知っている。それはあきらめないことだ。米軍がどんな扱いをしようともわれわれは引かない。あきらめない。今日からまた頑張ろう」と力強く語り、会場からは「頑張ろう!」の声が響いた。
その後、オスプレイの撤去、普天間基地の閉鎖・撤去、辺野古新基地建設の断念を求める集会アピールを採択した。
最後にオール沖縄の共同代表である玉城愛氏が「今回の事故とその後の対応を見て、これでは日本は独立国ではない、米国の属国ではないかと感じた。オスプレイ全面撤去と辺野古新基地の断念、普天間基地の早期返還を、うちなんちゅとして、日本国民として求めていく」と発言し、会場全体で頑張ろうを三唱した。
22日には那覇市議会や伊江村議会がオスプレイの飛行中止と配備撤回などを求める抗議決議と意見書を採択している。
名護市では市内の久辺三区と二見以北10区の13区でつくられている久志支部区長会で、オスプレイの配備撤回へ速やかにとりくむよう要請する抗議決議を全会一致で可決した。「住民の生命、安全や生活環境を守る」として、基地問題に対する賛成・反対をこえて全会一致した抗議決議は異例である。現在、久志支部区長会だけでなく、市内の全55区の区長会でも抗議決議を出す方向で調整している。