高まる米軍の脅威 抗議もできない日本政府
米軍普天間基地所属の大型輸送ヘリCH53Eが11日午後、北部訓練場のある東村高江の集落に墜落し炎上した。CH53Eは2004年に宜野湾市の沖縄国際大学に墜落したものの後継機である。北朝鮮のミサイル騒動以降、米軍の訓練はますます激しくなっており、今回墜落した地点から民家までは200㍍しか離れていなかった。
あいつぐ米軍の事故に県民のなかでは「起きるべくして起きた事故だ」「何度抗議しても状況が変わらない。米軍基地があるからこそ事故が起きる」と怒りの声が上がっている。
米海軍安全センターは今回の事故をもっとも重大な事故「クラスA」に分類した。飛行中のエンジン火災で緊急着陸したとしている。
米軍機の事故は、昨年12月に名護市安部の沿岸に欠陥機と呼ばれるオスプレイが墜落し大破。8月にもオーストラリア沖で墜落、9月にはシリアでも墜落事故を起こした。大分空港や石垣空港など民間の空港にも何度も緊急着陸をしている。
東村高江には北部訓練場の返還と引き替えという名目のもとに6カ所のヘリパッドが建設された。しかしこれは古くなった施設から新しい施設への更新にすぎないと、多くの県民がヘリパッド建設に反対してきた。高江での抗議行動に参加していた女性は「あれだけ集落を囲むようにヘリパッドができれば必ず事故につながるとみんなが反対していた。その通りの結果だ」と怒りを語る。
現場を視察した翁長知事は「のどかな農村地帯のなかで異様な形でヘリコプターが横たわっていた。日常の世界が一転し、恐ろしい状況になることに大変違和感があった」「日米合同委員会の中で日本政府に当事者能力がない。米軍に対して“二度とこういうことがないようにしてください”という話しかできないわけで、豆腐にくぎのような状況だ」と憤りをのべている。
富川副知事は事故後、在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官から電話で「CH53が不時着したが、クラッシュ(墜落)ではない」と何度も強調して伝えられたという。事故を受けての謝罪はなかった。しかし衆院選期間中ということもあり、在日米軍は今回墜落したCH53Eと同型機の飛行停止を決定した。
またヘリが墜落した同日の11日と翌12日には、沖縄県やうるま市から訓練中止の要請があったにもかかわらず、うるま市の津堅島訓練場水域でパラシュートの降下訓練を強行している。米軍は先月も嘉手納基地でパラシュート降下訓練を強行しており、「米軍は沖縄県民を人間と思っていない」と怒りが高まっている。パラシュート降下訓練は日米両政府の間で離島の伊江島のみでおこなうと合意しており、その合意を無視されているにもかかわらず日本政府は抗議すらできない。
沖縄市の男性は「立て続けに事故が起きているが、こんな小さな島にあれだけの基地があり、北朝鮮のミサイル問題以後訓練もかなり激しくなっている。ヘリも戦闘機もかなり増えており、いつ事故が起きてもおかしくない状況だった」と指摘する。「今の日本政府はどこまでもアメリカに追従して、国民がどれだけ反対をしてもアメリカが最優先だ。米軍はオスプレイも墜落してすぐに訓練を再開するし、パラシュート訓練にしてもどれだけ中止を求めても強行する。政府がそれに対してまともに抗議もできない。国民を侮辱している。こんな政治をいつまでも続けさせてはいけない。辺野古に基地もつくらせないし、嘉手納も返せ! アメリカに帰れ! という闘争を起こさないといけない。そのためには沖縄だけでなく日本国民が一つになって現政府やアメリカに対抗しないといけない。今回の選挙で自民党議員をもう一度全員たたき落として沖縄の怒りを突きつけたい」と強く語った。
嘉手納町に住む男性は「やりたい放題の軍事訓練に対して県民大会を開いて抗議の声を上げるべきだ。高江にヘリパッドを建設してからヘリ、オスプレイの訓練は頻繁になっている。欠陥機のオスプレイが石垣空港に緊急着陸するし、嘉手納基地、津堅島沖ではパラシュートの降下訓練がおこなわれている」と怒りを語った。嘉手納基地には最近巨大な盛り土があらわれており、地下に核シェルターをつくっているのではないかと話題になっているという。
「米国、韓国、岩国の基地からたくさんの外来機が嘉手納基地に飛んできて、ヘリなどは夜中の11時まで民家の上空を旋回している。政府は県民の負担軽減に努めるといっているがそんなものは口だけだ。日米同盟といっているが、日本はアメリカの手先だから何をされてもアメリカに抗議もしない。すべての米軍基地をなくさなければ日本は本当の独立国とはいえない」といった。