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沖縄 県民大会に4万5000人が結集 島ぐるみで新基地建設に対抗

辺野古基地建設の阻止を掲げた沖縄県民大会(12日)

 沖縄県名護市辺野古への新基地建設反対を訴える、「翁長知事を支え、辺野古に新基地を造らせない8・12県民大会」が12日、那覇市の奥武山陸上競技場で開催され、約4万5000人(主催者発表)が参加した。北朝鮮のミサイル問題など国際情勢が大きく動くなかで、戦争政治を進めようとする日米両政府に対する怒りを共有し、沖縄県民が一丸となって新基地建設の策動を跳ね返していく気迫に満ちた大会となった。

 

 初めに日米両政府の態度を絶対に許さないという満身の怒りをこめて、参加者全員で「NO辺野古新基地」「我々はあきらめない」と声を上げ、プラカードを掲げた。主催者であるオール沖縄会議共同代表の高里鈴代氏は「沖縄の過去の歴史は苦渋に満ちたものだが、今なおオスプレイの墜落や女性が殺され、その裁判さえいまだできないという理不尽な状況のなかにあることを、私たち県民が一丸となって世界に、日本全国にしっかりと示していこう」と語った。

 

 同じく共同代表の玉城愛氏は、昨年うるま市で起きた米兵による女性殺害事件の被害者の父親の言葉である「この事件は沖縄に米軍基地があるがゆえに起こったことであり、そして1日でも早い基地の撤去を県民の1人として望む」という言葉を胸に1年間基地反対を訴えてきたとのべ、「私は現在日本政府が強行している辺野古への新基地建設は絶対にできないと確信している。これから沖縄で生きる“うちなんちゅ”として堂堂と主張し抵抗していきたいと思う」と力強くのべた。

 

 オール沖縄会議現地闘争部の山城博治氏が「戦争に反対し平和を願う県民を尻目に暴走を続けるトランプ政権、安倍政権の朝鮮政策がいよいよ破綻し、この地域に大きな緊張をもたらしている。戦争政策をやめ、外交と協調によってこの地域に平和をもたらす、そのような政策の転換をもたらさなくてはならない。今こそ団結を強めよう」と述べると、大きな歓声と拍手がわき起こった。

 

 その後各地域ブロック代表が挨拶と連帯の決意をのべた。
 八重山ブロックの男性は「私たちのこの自然豊かな沖縄に、戦争に繋がる辺野古基地を建設することに断固反対する。先日は未亡人製造器、空飛ぶ棺桶と呼ばれるオスプレイがオーストラリア沖で墜落した。この欠陥機が私たち沖縄県民の上空を飛び回ることは許されることではない。日米両政府に強く抗議する。今八重山では自衛隊基地の建設計画が進められている。防衛省は地元住民に十分な説明もなく強行している。近いうちに自衛隊はオスプレイを配備する計画だ。私たちの宝である島島が基地の島にならないように、基地配備、自衛隊配備は断固反対する。戦後72年、私たち県民はさまざまな犠牲のなかから多くを学んできた。それは沖縄が世界に平和を発進する島であるということだ。県民の強固な願いと思いを県内外に、そして日米両政府に強く訴えていこうではないか」と訴えた。

 

 宮古ブロックの代表は、現在石垣をはじめとした南西諸島でも自衛隊配備の増強や新基地が建設されようとしていることを指摘し、「建白書実現、新基地建設はいらない、普天間基地の即時閉鎖、そして欠陥機オスプレイの配備撤回を、宮古の島ぐるみ会議もみなさんとともに頑張ることを誓う。石垣にも新たな基地は建設させないたたかいを、県民のみなさんと連帯して頑張る」とのべた。

 

 北部ブロックを代表して登壇した名護市の男性は、「私たち市民、県民は名護市長選挙、市会議員選挙、県知事選挙、県議会選挙、参議院選挙、衆議院選挙のあらゆる選挙で辺野古に新しい基地はつくらせないという民意を何度も何度も示してきた。にもかかわらず、政府は辺野古基地建設を強行にすすめようとしている。絶対に許してはならない」と憤りを語り、来年1月の名護市長選挙をたたかう決意を表明した。

 

 総がかり行動実行委員会代表の福山真劫氏は、沖縄での基地反対の闘争が全国の戦争反対と平和を求める行動に大きな影響を与えていることを語り、「安倍政権の憲法を破壊しながら戦争をする国、軍事大国への暴走は止まっていない。辺野古新基地建設の強行に加え、戦争法の強行、共謀罪の強行、福島の切り捨て、原発再稼働、核兵器禁止条約への不参加、憲法九条の改悪へと踏み出している。今日の沖縄のみなさんのたたかいへの決意、熱い思いを胸に東京に帰り、ともに頑張りたい」と連帯を表明した。

 

 稲嶺進名護市長は「辺野古の海にも陸にも新しい基地はつくらせない。その思いで多くのみなさんの支持・支援をいただきながら踏ん張っている。政府に対し孤軍奮闘ともいえる状況のなかでたたかっている翁長知事を支えるのは、県民1人1人の力とその結束である。ともに頑張ろう」と辺野古新基地建設反対を貫く決意をのべた。

 

 最期に登場した翁長雄志知事は「昨年12月には名護市安部区にオスプレイが墜落し、その6日後には原因究明がなされないまま飛行が再開された。1週間前には普天間基地所属のオスプレイがオーストラリアで墜落し、3名が亡くなっている。2年前に私がワシントンDCに行く前にハワイに立ち寄ったさいにもオスプレイが墜落し、死傷者が出ている。まさに県民が危惧したとおりの状況になっており、憤慨に堪えない。米軍が運用上必要といえばすぐに引き下がる。これでは日本の独立は神話であるといわざるを得ない」と日本政府の姿勢を厳しく批判した。そして「オスプレイの配備撤回、辺野古の新基地建設反対、普天間飛行場の閉鎖、撤去という県民の民意はこれまでの直近の名護市長選挙、県知事選挙、衆議院選挙、県議会選挙、参議院選挙これら一連の選挙で示され続けており、県民の主張はいささかも揺るぎのない正当な権利である。沖縄県民の誇りと尊厳をかけたたたかいであり、負けるわけにはいかない。しかし、日本政府の姿勢、米国の関係も含め、巨大な権力に立ち向かうのは相当の覚悟が必要になる。沖縄県民は戦後一貫して、そういった厳しさのなかで声を出し、生き抜いてきた。自由、平等、人権、民主主義、自己決定権、地方自治のあるべき姿を私たちは投げ出すわけにはいかない」と強く語り、会場からは大きな拍手と指笛が響き渡った。

 

 また7月24日の国を相手にした岩礁破砕等行為の差し止めを求める訴訟についても触れ、「埋立承認撤回の時期は私の責任において必ず決断する。私は辺野古新基地をつくることは絶対にできないと確信している。辺野古大浦湾を埋め立てて、耐用年数100年とも200年ともいわれる半永久的な基地をつくらせることは到底容認できない」と訴えた。

 

 最後に「オスプレイの配備撤回、辺野古の新基地建設反対、普天間飛行場の閉鎖、撤去の実現にとりくんでいく不退転の決意を皆様に約束し、連帯の挨拶とする。一丸となって頑張りましょう」と決意をのべ会場は大きな拍手に包まれた。

 

 大会の最後には「沖縄県内のオスプレイ配備を撤回し、米軍普天間基地を即時閉鎖・撤去すること」、昨年12月の名護市安部沿岸でのオスプレイ墜落事故、今月5日のオーストラリア沖でのオスプレイ墜落事故について「原因を究明し、全て公表すること」「欠陥機オスプレイの沖縄・国内における飛行を全面禁止すること」「沖縄県内における米軍用機の低空飛行訓練、夜間訓練、つり下げ訓練を禁止すること」「自衛隊によるオスプレイ導入を撤回すること」を盛り込んだ特別決議と、「辺野古新基地建設断念」「オスプレイの配備撤回」「普天間基地の閉鎖・撤去」の実現を日米両政府に求める大会宣言を可決した。

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