参議院議員会館で14日、「あきたこまちR」の不当表示問題を消費者庁へ要請する市民集会がおこなわれた。秋田県は2025年産から、県の種子事業で供給する種籾(稲の種子)を従来のあきたこまちから、重イオンビームによる放射線育種によって土壌のカドミウムを吸収しにくくするため遺伝子を改変した「あきたこまちR」へと全量転換する。コメ自体はあきたこまちRであるのに、その表示はあきたこまちとされるため、消費者の知る権利、選ぶ権利を侵害する不適正な表示となることが問題視されている。この問題をめぐり、院内集会では消費者庁に対して表示の改善をおこなうよう要請文を提出【別掲】。さらに表示や農産物検査、品種群設定の問題点について事前に消費者庁と農水省に出した八つの質問の回答を得た。参加者が各省庁に質問し、議論のなかで改めてあきたこまちRをめぐる問題点や、それを「問題ない」として強引に進める国の姿勢が浮き彫りとなった。
自家採種禁止で生産者にも負担
要請書の提出に先立ち、OKシードプロジェクトの久保田裕子共同代表は以下のようにのべた。
「あきたこまちR」が来年から秋田県の種子事業で種籾の供給を始めるということで、来年産から「あきたこまち」という銘柄名でありながら実際はほとんどが「あきたこまちR」に切り替えられる。そのため、従来の品種であるあきたこまちをこのまま食べ続けたいという消費者にとって、その選択ができなくなるのではないか。また、あきたこまちRの「R」は、カドミウムの吸収を低めるということで「リデュース」「リボーン」などのいろいろな中身が含まれており、あきたこまちとはまったく違う。私自身は「ラディエーション」(物質が放射線にさらされたときに受ける物理的・化学的変化)のRではないかと密かに名付けている。
新品種を作る段階で、放射線のなかでも重イオンビームという強いエネルギーで遺伝子を損傷させるというところに従来との大きな違いがある。消費者にとって食べ物が美味しいかどうかはとても大事だが、それのみならず誰がどこでどのような物を作っているのかも選ぶときの目安になる。そのため、今日は表示問題という側面から、とくに消費者庁が管轄している食品表示や景品表示法の不当表示などに関して、消費者庁に対してこうした問題を未然に防ぐための処置をとってもらいたいということを、42の団体で要請書をもってお願いしたい。
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要請書の提出に続き、消費者庁と農水省に事前に送付していた質問(1)~(8)の回答を聞くとともに、参加者との質疑をおこなった。以下、それぞれの質問項目にそって質疑の内容要旨を紹介する。
【景品表示法関係】
質問(1) 「あきたこまち」は、その品種名でブランド米としての地位を確立してきたのであり、そのブランド米を購入したい消費者にとって、(2025年産以降は)その二つの品種は著しい違いがあるので、虚偽の表示となるのではないか。
質問(2) 消費者が米を選択する目安は「食味」だけではなく、「エシカル消費者」として生産過程での環境負荷等も重要になってきている。重イオンビームが育種で使われていたり、マンガンが3分の1未満であること、栽培に際して、「あきたこまち」と異なり自家採種も認められず、遺伝的に劣性であること、特許をもつ品種であり世界には生物特許には批判があることなど、この二つの品種間には、あまりに大きな違いがあるが、それらを同一品種と見なすことには異論が噴き出す可能性があると考えるが、どう考えているか。
消費者庁 景品表示法は具体的には広告宣伝をイメージしてもらいたい。広告宣伝表示の内容と商品との実態に大きな乖離があればその表示をやめさせるという建て付けになっている。
あきたこまちとあきたこまちRをめぐって、条文にある「著しい乖離」があれば景品表示法上問題になるが、農水省で定められている品種群のなかで品質の評価に差がないとされ、一つの品種群にまとめられているのが現状だ。そのため景品表示法上でいうところの「表示と実態に著しい乖離がある」という「優良誤認」に至らないのではないかと思っている。
(質問)本城昇・有機農業推進協会理事長 「著しく優良と誤認する」という部分の「著しく」の解釈の程度が、説明と従来の運用とで違うと思う。なぜなら虚偽誇大性が一般消費者の許容をこえるかどうかが今までの「著しい」という解釈基準だったはずだからだ(消費者庁もHPで『著しくとは、当該表示の誇張の程度が一般社会で許される程度を超えて、一般消費者による商品・サービスの選択に影響を与える場合』と示している)。
また、景品表示法第5条第3号には「商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定する」とある。これは誤認の程度が著しくない場合でも、内閣総理大臣が表示の禁止を指定できるということだ。はっきりいえば、仮に誤認が「著しい」という程度を下回った場合でも、この5条第3号には明らかに該当する。
本来、景品表示法は食品表示法に対して優越する。そもそも誤認が「著しい」かどうかという簡単な話ではない。今の説明では説明になっていない。
また、農産物検査法には景品表示法や食品表示法の適用を除外するという調整規定はない。つまり農産物検査法に基づいて決めたことが景品表示法に違反していれば、それは違法行為になる。だから要望書のなかで「速やかな措置をとるように」といっている。ここでいう措置とは法的措置だけでなく、違反や問題行為をきちんと役所間で行政調整すべきだということだ。
消費者基本法が何のためにつくられたのか。食品表示法の基本理念から見ても「合理的な選択の機会の確保」を阻害している。消費者の根本的な選択の権利を侵すものであり、これではなんのために消費者庁があるのか分からない。
消費者庁 景品表示法5条3号は、優良誤認表示に当たらないが別途総理大臣が告示によって定めて表示を禁止するというものだ。現状七つの告示があるが、あきたこまちRに関してはそれに当てはまる部分がない。
【食品表示法の米の表示関係】
質問(3) 食品表示法は、「食品」に関して、消費者の選択する権利に資する「食品表示基準」を定めている。一括表示で、玄米及び精米の表示の基本となるのは、「産地」「品種」「産年」のいわゆる3点セットといわれる表示であり、「品種」は、重要な表示項目となっている。「あきたこまちR」という品種名が伏せられ、明示されないことは、消費者の「自主的で合理的な選択」が確保された適正な表示といえないが、どうか。
質問(4) 農水省への問いにあるように、「あきたこまちR」は条件によっては大幅な収量低下が予想される。「あきたこまちR」への全面切替えは農家の選択の自由を奪うことになるが、それは農家の種子を選択する権利、すなわち種籾を買う消費者としての農家の権利を侵害するものになると考えるが、どうか。
消費者庁 あきたこまちRは、従来のあきたこまちと同じ品種群に登録されているので、農産物検査を受けた場合の証明書の品種が「あきたこまち」になる。根拠に基づいて表示をするわれわれの制度では、根拠書類に「あきたこまち」と書かれていれば「あきたこまち」と表示する。もちろん、あきたこまちRであることを示す資料があればあきたこまちRと表示することは可能だ。また、従来のあきたこまちについてもあきたこまちRではないと表示することも可能だ。
(質問)原英二・日本消費者連盟運営委員 農産物検査に関する基本要領には「産地品種銘柄は、単一品種による銘柄設定が基本であるが、品種間の品質の評価に差がなく、取引上で同一銘柄とすることについて取引関係者の合意が形成されるものは複数の品種を同一産地品種銘柄として取り扱うことができる」とある。「品質」について食味などだけでいえば評価に差が無いかもしれないが、私たちの考えでは安全性においてきちんと評価がされていない。
ただ単に自然の突然変異と同じで遺伝子が壊れただけということだけで「安全性になんの問題もない」と評価されている。私たちとしては、遺伝子が変わっているのかどうかを調べる全ゲノム解析と動物実験は最低限おこなう必要があり、それによってとりあえずの安全性は確認できるのではないかと考えている。あきたこまちRはそのような安全性の確認がなされていないため、伝統的な品種であるあきたこまちとは違うのではないか。
また、マンガンの吸収も従来の3分の1ほどしかできない。「マンガンは普通の食生活で充足されているから問題がない」と行政は説明しているが、マンガンの摂取量全体の四割くらいを穀物が占めている。それが3分の1に減るのに差がないとするのはおかしいと思う。
さらに、農産物検査に関する基本要領のなかに「取引関係者の合意が形成されるものは~」とあるが、取引関係者として、籾を買う生産者、米を買う消費者も含めた合意が必要であり、みんなが納得するものでなければならない。地元の生産者のなかでも「わざわざこんなものに切り替えたくない」という声があり、消費者のなかにも懸念がある。
農水省 農産物検査は、農産物の公正・円滑な取引とその品質の改善を助長し、農家経済の発展と農産物消費の合理化に寄することを目的としている。検査は、外観をもとに品種名および等級を決定することによって現物を見なくても精米の歩留まりが分かるなど、流通を円滑化するための生産者が授権するものだ。農産物検査をおこなう検査員が外観上の形質に違いがあるかどうかを判断し、品種群を設定する。
申請のなかには、取引業者の同意書も提出されている。そのなかで適正な内容で記載があるか審査し、意見聴取会も開きながら問題がないかを確認したうえで品種群を設定している。
【農産物検査関係】
質問(5) 「あきたこまちR」と「あきたこまち」とは「形質が酷似」しているのかどうかについて、もはや「目視」では判別できない次元の形質(特性)の違いである。それにもかかわらず、目視による検査を前提とした時代につくられた規定によって、「品種群」と設定するのは無理がある。同類の品種として「品種群」として設定すべきではないと考えるが、どうか。
上述のように、これらの品種に「品種群設定」の規定を適用すれば、消費者の選択に資する表示を損なうことは明らかである。この件について、消費者の諸権利の側面からどのような事前検討や省庁間協議をしたのか。
農水省 品種群設定の関係で秋田県が提出した申請のなかでは、取引関係者として生産者やJAグループ、集荷者、精米事業者、卸業者等からの同意が得られている。合意形成においてすべての消費者に同意を得るということはない。消費者にはあきたこまちRがどのような品種群設定されるかということを説明をするが、その説明はなされていると理解している。
(質問)久保田裕子・OKシードプロジェクト共同代表 品種群設定がこの問題の元凶だと思う。秋田県のパンフレットには「同等」と書いてあり、カドミウム低吸収性という特性はあるが食味はほとんど同じで、栽培方法や収量も同じだとも記載してある。だが、カドミウム低吸収性というのは新種の特性だ。品種登録もしているし、遺伝子特許も稲そのものに対する特許も取得している。低マンガンという面も消費者に直接影響がある。同じ「あきたこまち」という名前が付いているが、あきたこまちとあきたこまちRはまったく違う。
品種群設定の基となる農産物検査法は戦後すぐにでき、何度も改正されてきて検査方法も発展してきた。最近は機械による検査方法も認められているが、ずっと目視で鑑定してきた。「目で見て分かる違い」という点でいうと、あきたこまちとあきたこまちRとでは、違いがまったくわからないが、今の技術でDNA鑑定をすれば違いが一発でわかるはずだ。同じ品種群だからといって同じ銘柄名で流通させても良いというのは、表示問題にも多大な影響がある。今の法律の規定上の問題もあり、こうした所から抜本的に変えていってほしい。
【「コシヒカリ環1号」等について】
質問(6) カドミウム低吸収性という特性は、遺伝的に「劣性」(潜性)であり、交雑すると劣性の特性は影響を受けることになるが、これに関する事前の栽培試験や試験研究結果はあるのかどうか。自然環境下での交雑の影響をどのように評価しているのか。また、このように遺伝的に劣性である品種であるため、公的種子供給事業で種子生産を持続的安定的に継続できなくなる危険性をどうみるか。
農水省 コシヒカリ環1号のカドミウム低吸収性について、通常品種と交雑すると、いわゆる「メンデルの法則」(遺伝の法則の一つ)に則ってカドミウムを「吸収する性質」があらわれることが確認されている。
コシヒカリ環1号が自然環境下で他の品種と交雑する可能性は、コシヒカリ等の一般品種のそれと何ら変わりない。一般的に農家が自主採種をおこなった場合、採種ほ場における他品種との交雑の他、収穫時以降に他品種の種子が混入するおそれもある。公的な種子供給事業では、他品種との交雑や種子の混入を防ぎながら、持続的かつ安定的に生産する技術がある。こうした技術は低カドミウム品種に限らず、すべての品種の種子生産において共通する欠かすことのできない重要な技術だ。端的にいうと、(カドミウム低吸収性は)劣勢だという特性は分かっている。そのため交雑や混入に気をつける必要があるが、それはコシヒカリ環1号に限らず、すべての品種において同じだ。
質問 交雑した場合、カドミウム低吸収性の効能が低下すると書いてあるが、それは劣勢だから低下、またはなくなるということなのか。
農水省 その通りだ。
質問 その稲にとってカドミウム低吸収性というのは重要な特性だと思うが、それは例えば一般的な品種のコシヒカリがはえぬきと交雑してしまうのとはまた別の問題だ。食味が混ざることと、カドミウム低吸収性という特異な特性が低下することとでは話の次元が違う。
農水省 次元が違うかどうかは非常に主観があると思う。コシヒカリとはえぬきが混ざってしまうとそれは大きな問題だ。そういうことがないように管理して種子生産しているので、その問題は一緒だ。
質問(7) 「コシヒカリ環1号」と同様にOsNramp5遺伝子を欠損させた品種を作り、試験栽培をおこなったところ、開花期に高温であり、さらに水田のマンガンが低いと収量が 2~3割低下するという論文が複数存在しているが、これらの論文をどう認識しているか。
農水省 まず前提として、開花期に高温不稔が生じることは普通の品種でも起こり得る。また水田のマンガンが極端に低い場合に収量が低下することも普通の品種で起こり得る。カドミウム低吸収性を司る遺伝子が機能欠損したコシヒカリ環1号等の品種については、マンガン濃度が低い土壌で生育低下を引き起こしやすいこと、ごま葉枯病が発生しやすいことは、これまでも論文等で公表されている。そのため、対策として土作りやマンガン質肥料の施用を推奨し、マニュアル等で周知していく。
論文があるということは知っているが、中国の論文のようだったので入手できていない。仮に高温と低マンガン土壌の組み合わせでカドミウム低吸収性品種の収量が元の品種に比べて2~3割減少するということであれば、その原因は稲のマンガン濃度が低いためと予想されるので、マンガン質肥料の施用が必要になるということだ。
(質問)河田昌東・遺伝子操作食品を考える中部の会代表 中国ではこの間工業化が進んだせいで南部の土壌汚染が深刻化しており、現在カドミウム汚染米の研究がものすごい勢いで進んでいる。開花期の高温で収量が減るなどという論文はインターネットではなかなか手に入らないが、私は中国の研究者にお願いして原文を手に入れた。その論文によると、Nramp5いう遺伝子をゲノム編集で壊しており、コシヒカリ環1号と同じ「exonⅨ」というアミノ酸配列を決める遺伝子をゲノム編集で壊した実験をおこなっている。論文には、開花期の高温が続くとゲノム編集をおこなう前の親株に比べて、品質や収量が大幅に低下するというデータが出ており、一般的にどのような米でも高温が続けば収量が減るという問題とは異なるとはっきり書かれている。
また、最近出た中国の論文では、Nramp5というのは元々マンガンを吸収するために発達した遺伝子であり、カドミウムがマンガンと性質が似ているから偶然吸収しているのであって、本来カドミウムを吸収する遺伝子ではないといわれている。だからこの遺伝子を壊すとマンガンの吸収が悪くなる。Nramp5のどの部分を壊すとどのような影響が出るかという詳細な論文が60件くらい出ている。Nramp5を壊すということは、自然突然変異にはなかったような変異であって、例えばマンガンの吸収が悪くなることによって光合成が悪くなり、その結果、品質や収量に影響が出るということははっきりしている。温暖化が進むなか、生産者にとっては当然収量に大きな影響が出る。
Nramp5という遺伝子が作るタンパク質は、突然変異で遺伝子を壊した結果、従来二本鎖を切断してそれを修復するときに一個だけ傑出したものを分離生成するとされる。その場合、「フレームシフト」という現象が起き、タンパク質のアミノ酸配列が変わってしまうという論文もある。本来のNramp5とは違う、小さいタンパク質ができるのだが、そのタンパク質の安全性は確認できているのか。
また、一つの遺伝子は複数のタンパク質を作っている。Nramp5の「exonⅨ」は、マンガンとカドミウムを吸収するためだけに使われているのか、それとも他のタンパク質にも使われているのかということについて、私が調べた限り確認されていない。理論的には未知のタンパク質が壊れている可能性もある。
昔は目で見て形が同じならいいとか、味が同じならいいというレベルだったかもしれないが、今は遺伝子レベルでのチェックが可能な時代だ。あきたこまちとあきたこまちRが「同じ」なら、その証拠をきちんと出すべきだ。
農水省 品種の開発は、突然変異を活用しておこなっている。突然変異は、自然環境下でも例えば宇宙から飛来する放射線などでも起きる。DNAに傷が付いたときにそれを修復するさいに突然変異が起きる。人工の放射線を使った品種開発も、自然に起きている現象と変わらない。そのため、細胞が持つDNA損傷を修復するシステムによって突然変異が起きているということに関しては、自然に起きた突然変異も人工の突然変異も違いはない。
質問(河田) 私は違うと思う。従来の突然変異は、ガンマ線照射でおこなっていた。だが今回使われたのは重イオンビームという放射線で、これらには大きな違いがある。ガンマ線照射は、細胞の中の水を分解し活性酸素になってそれが遺伝子を壊す「間接的な破壊」だ。そして修復酵素によってほとんど元通りに修復される。そこでたまに違う塩基が入ったり、欠けたりすることが突然変異とされる。しかし今回の重イオンビームは、二本鎖を切断するため、コピーする相手が壊れているのでゲノム編集と同じで修復が非常に難しく、エラーも起こりやすい。コシヒカリ環1号の論文を見ると、370個も余分な塩基が入ったりとエラーが多く、3000数検体の中からようやく選ばれた一種だ。よって「従来の突然変異と同じだ」という主張は私は違うと思う。
質問(8) (7)で述べた高温の場合の収量低下が、そもそもの品種(この場合、「あきたこまちR」)に原因があるとすると、「あきたこまちR」の収量もそうした条件の水田では低まるおそれがある。「コシヒカリ環1号」について農研機構内での低マンガン水田での開花期の高温条件でどう評価しているのか。もし同様に「あきたこまちR」で収量低下が起きた場合、品種自体のもつ「欠陥」であると考える。その場合、その収量低下に対して農家に賠償、補償する責任はどこが負うのか。
農水省 先ほども話したが、開花期の高温不稔は普通品種でも起きる。2023年の異常高温年において、コシヒカリ環1号と普通のコシヒカリの間で収量の差は認められなかった。また、ごま葉枯病が発生しやすい低マンガンほ場における試験結果においても、コシヒカリ環一号とコシヒカリの間で収量の差は認められなかった。あきたこまちRについても、秋田県内のやや低マンガンレベルのほ場での栽培において、普通のあきたこまちに比べて収量が劣ることはなかった。
一般的に、品種にはさまざまな特性がある。その特性に基づいて栽培条件などさまざまな情報提供もおこなっている。今現在、秋田県内で生産者に対してどのような情報提供がおこなわれているかは知らないが、あきたこまちRが来年から全面切り替えということなので、当然県のなかで周知がなされていくものと考えている。
質問 秋田県の生産者は、自分の田がどれくらいマンガンが低いのかなどはどうやって調べるのか。それに関して補助などはあるのか。
農水省 低マンガンのほ場であれば、すでにごま葉枯病が出ているところがある。加えて、最近は土壌分析をしっかりやるように呼びかけているので、各農家に生育状況と途上分析をして最適な栽培をしてほしい。栽培方法を周知するので自己努力、自己責任でお願いする。