インボイス制度導入が10月1日に迫るなか、総理官邸前で25日、インボイス制度を考えるフリーランスの会の主催で、「LISTEN TO OUR VOICE 岸田総理にSTOP!インボイス 国内史上最多オンライン署名(50万超)の声を届けようアクション」が開催された。同会がおこなっているインボイス反対のオンライン署名は25日までに目標の50万筆を上回る52万筆が寄せられ、国内最大のオンライン署名数を更新。会場には1000人以上もの人が詰めかけ、第二会場も満員となった。酪農家や漫画家、落語家、コメディアン、ウーバーイーツ配達員、税理士、ジャーナリスト、文筆家などの当事者がマイクを握り、それぞれの立場から消費税やインボイス制度導入で直面する切実な問題を訴えた。署名に協力した全国の50万人をこえて増え続けている全国の仲間たちとともに、本気でインボイス制度を止めるための決意を共有する場となった。
「岸田首相は50万人の声を聞け!」
初めに主催者を代表して開会の挨拶に立ったインボイス制度を考えるフリーランスの会(通称・STOP!インボイス)の阿部伸氏は、50万人署名の重み、苦しみを岸田首相に直接手渡したいとの思いから、さまざまなルートを使って交渉しているが、すべて断られ手渡せていないと話した。
「1年半前、ある自民党議員に3万5000筆の署名が集まったことを伝えると鼻で笑われた。また、別の国会議員に10万筆の署名を持っていくと“30万筆もってこい”といわれた。ある自民党議員には“大きな集会をやってみろ”といわれ、昨年日比谷野外音楽堂で1200人を集め、今年六月には全国一揆をおこなった。ある自民党議員からは“平日の昼間に議員会館の会議室を満席にしたら認めてやる”といわれ、9月4日、議員会館は満席どころか平日にもかかわらず立ち見が出る350人の市民が集まり、財務省に緊急提言を手渡した」と、これまでの活動を振り返った。そして「私たちはこの2年間、自民党議員がいう通りに動き、その要望をみなさんとともにすべてクリアしてきた。次は、政府が、総理が私たちのいうことを聞く番ではないか」と訴え、開会を宣言した。
酪農家や配達員ら発言 影響を受ける現場から
クリエイティブディレクターで報道番組『NEWS ZERO』のコメンテーターでもある辻愛沙子氏は、自身がメディアに出たり裏方で創作に携わるなかで、フリーランスのイラストレーターやフォトグラファー、デザイナー、ライター、編集者など、あらゆるクリエイターたちと仕事をしているとし、「事業者として発注先を決めるときに、相手の事業者が年収1000万円をこえているか否かで判断することは当然ない。それぞれの人がどんな人なのか、どんな背景を持っている人でどんな作家性を持っているかというところで発注する。そのため“あなたはインボイスに登録していますか? さもなくば……”みたいなことは事業者側もいいたくはない」と心境を語った。
そのうえで、フリーランスの人たちを守り、今後も同じように仕事をするためには、自分の財布を傷めるほかない現実を訴えた。「私たちはただ才能を持っている作家やクリエイターと仕事がしたいだけだ。大企業や大きな資本を持っているところのみがどんどん利益を得て仕事をしやすくなっていく社会よりも、一見小さくても多種多様な才能がいろいろなことに悩みながらものづくりをしていけるような多様な社会であってほしいと切に願っている。“自分は会社員で、フリーランスではないから関係ない”と思っている人はたくさんいると思う。だがみんなが大好きな漫画やアニメ等をはじめ、私たちの生活を彩っているありとあらゆるものが、もしかすると今回のインボイス制度で失われていくかもしれない。それはその人の能力ではなく、国が決めた制度によって奪われてしまうかもしれないということを改めてみなさんの心においてほしい」と訴えた。
千葉県で酪農業を営む金谷雅史氏は、インボイス制度で酪農現場が今後直面する問題について以下のようにのべた。
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私は課税事業者の個人事業主だ。酪農家のほとんどは課税事業者だが、酪農業界で直撃を食らうのは、個人でやっている酪農ヘルパーだ。酪農ヘルパーとは酪農家が休日取得のさいにお金を払って自分の代わりに働いてもらう仕事だ。何人かで会社組織でやっている人もいるが、建設業の一人親方のようにやっている人もいる。猶予期間があるとはいえ、こうした人たちは課税事業者にならざるをえない。今までよりも10%値上げしないと同じ所得を守れないが、酪農情勢は大変厳しくもう限界をこえている。友人の酪農ヘルパーは「もう値上げなんてできない」といっていたが、私は「ちゃんと値上げしてくれ。金借りてでも払うから」と伝えた。
また、その制度の煩雑さも問題だ。請求書が適格請求書になっているか、領収書にも登録番号が書かれているか確認しなければならず、そぐわなければ適格にしてくれとこちらからいわなければ控除を受けられない。今まで通りの納税をするだけなのに、余計な手間が増えるだけでまったく節税にもならない。免税事業者から消費税をとるために、全体で余計な会計業務をボランティアですることになる。なぜ民民でお互いを疑うようなルールにするのか。消費税は減税・廃止してほしい。いいことなど一つもない。嬉しいのは財務省だけだ。インボイスは絶対に止めよう。
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フリーランスユニオン共同代表でウーバーイーツ配達員の土屋俊明氏は、今月になり、ウーバー社からインボイス制度について説明する通知が来たものの、登録の必要については何も触れられていなかったという。自身はインボイスに登録しないつもりだが、「ウーバーはよく分からない理由でアカウントを停止されることがよくある。そのため、10月以降自分がどうなってしまうのかわからない。なぜ私たちのようなフリーランスが必死に声を上げているのかが、フリーランス以外の人に伝わっていないと感じる。私たちには社会保障がない。女性が出産しようと思っても育児休暇はなく、収入は保証されない。同じ働き方であってもフリーランスには年金はなく、さらに消費税まで上乗せされようとしている。本当に死活問題だ。だからこれだけ必死になっている」と切実な実情を訴えた。
同じくフリーランスユニオンのメンバーで文筆家の栗田隆子氏は、「私は小学校、中学校と仲間はずれで、不登校で、非正規労働で鬱も経験しながら、今物書きをしている。そんな私にとってインボイス制度は“お前の人生なんていらない”といわれているようなものだ」と話した。そして「いろいろ意見が違う人はいるが、インボイスに関しては皮肉なことにみな同じように不利益を被るし、反対せざるを得ない。今、私も出版社の人から“インボイスの番号を教えてくれ”といわれているが、消費税を払うことができない」と語り、インボイスの延期・廃止を強く求めた。
業務委託契約も影響大 英会話教室講師ら
『Gabaマンツーマン英会話』で英会話教室講師をしている阪崎武蔵氏は、Gabaの講師たちは業務委託で仕事をしているため、インボイス制度によって非常に厳しい状況になると訴えた。そして「私の場合、すでに収入が足りない。インボイス制度が導入されることで、税金によってさらに多く収入を失うことになる。この問題はGaba講師だけでなく、多くの業務委託契約の労働者にとっても困難な状況を意味する」「私たちの生活を崩壊させるものであり、許されない。公平さと誠実さを求め、ともに未来を築こう」と呼びかけた。
インボイス制度を考えるフリー編集【者】と漫画家の会代表で漫画家の由高れおん氏は、インボイス制度が漫画家業界においてもっとも問題なのは、アシスタントがいなくなってしまうということだと指摘。アシスタントは年収300万円以下が半数以上だが、インボイスを取得するには課税事業者となって消費税を払わなければならなくなるため、「本当にアシスタントはなんのために仕事をしているのかわからなくなる。夢を追ってこの業界に入っても、夢を叶える前に辞めてしまう。私たち漫画家にとってアシスタントはなくてはならない存在だ」とのべた。
アシスタントがいなければやっていけない作家は多く、「“売れない漫画家が何か頑張っている”みたいに見られるかもしれないが、有名で売れている漫画家もインボイスに対してものすごく声を上げているということをみなさんに知ってほしい。本当は自分の作品に向き合いたいし、こんな政治のことに頭を突っ込みたくもない。煩雑で大変な税金のことなんて考えたくないが、同業者の漫画家には、本当に今死ぬ気でがんばらないとインボイス制度は止められないといいたい」と訴えた。
同じく漫画家の環望氏は、漫画家としてアシスタントを「使う」側の意見として、インボイスによる深刻な影響について以下のようにのべた。
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漫画家の原稿1枚当りの原稿料は平均約1万円。だいたい1カ月30ページほど描くので、原稿料は1カ月30万円。そこから引かれる経費のうち50~70%はアシスタント代だ。週刊漫画家の場合、ほぼ100%がアシスタント代だ。今の漫画は絵が細かく丁寧でないと読まれないので、細かい絵を描くためにアシスタントをたくさん雇わなければならない。そうするとお金は残らない。
今までアシスタント代は、アルバイト代やパート代と同じ「給与」として払うことが許されていた。それは漫画家がスタジオを用意して、アシスタントがそこに通勤してみんなで仕事をしていたので、雇用とほぼ同じ形態だったからだ。しかし、コロナによってみなリモートになったため「外注」形式になり、アシスタントはみな一人親方になった。そうすると、控除ができない。私は昨年までと今年で消費税負担が倍になった。だが、まだ私はそれなりに仕事を頂いていて支払いができているのでまだ良い方だ。とはいえ、消費税のためにアルバイトを始めている。
問題は新人だ。新人の原稿料はだいたい5000円。1カ月24ページ描いて、準備に準備を重ねても、どんなに才能がある人でも年間4本しか描けない。プロのアシスタントは雇えないため、学校の友だちや、兄弟、母親など家族に頼んでいる。友だちや家族に課税事業者になってインボイスに登録してくれなんていえない。だから、全額控除なしで消費税負担が降りかかる。
デビット・アトキンソン氏(元ゴールドマン・サックス)が「中小企業は合体して大きくなる義務を果たすべき。それをやる気がない会社は消えてもらうべきだ」といった。では、漫画家、声優、俳優、個人商店はどうやって合体するのか? 何より合体して大きくなる理由があるのか? 世の中には、個人でやるからこそ意義がある仕事が存在する。それを理解していない人間がいる。「そんなに立ちゆかない仕事ならやめろ」とよく耳にするが、そんなことをいわれる筋合いはない。私たちは個人であることに誇りを持って仕事をしている。ほしいのは働いていることへのリスペクトだ。もっと働く人の立場になって税制を考えてほしい。そうすれば世の中はもっとよくなるはずだ。
インボイスは消費増税 専門家らが指摘
総務省官僚として内閣府でも働いていた政策コンサルタントの室伏謙一氏は、消費税は「社会保障の財源」だといわれ、財務省もそう説明しているが「完全な嘘だ」と指摘。「もし消費税が社会保障の財源というのであれば、特別会計がなければならないが、存在しない。このことについて、国会の予算委員会や財務金融委員会などで質問されると、財務官僚はきちんと正しい説明をする。しかし、国民に対しては“みなさまから頂いた消費税は社会保障などに使われます”と平気でいう。国会議員には正しい説明をしながら、国民には嘘をつく。二枚舌、ペテン師だ」と指摘。さらに消費税の機能について、「強いていえば“国民から金を巻き上げる”“国民経済からお金を消す”ことだ。つまり、この国の経済をより小さく、成長しなくする。消費税自体が必要のない税であり、廃止するべきだ」と訴えた。
そしてインボイス制度はその必要ない消費税に対しさらに増税するというものであり、導入する根拠などどこにもないと訴えた。また、室伏氏は「消費税法の9条に“小規模事業者に係る納税義務の免除”という規定があるが、今回これを廃止するという話になっていない。それなのに年収1000万円未満の免税事業者に実質増税をしようとしている。やっていることがめちゃくちゃだ。法制度としてもありえないにもかかわらず、財務省は平気で強行しようとしている。小難しい話だが、絶対にこのことを覚えていてほしい。感情論や印象論ではなく、制度論において誰も反論のしようがない」と説明した。
ジャーナリストの犬飼淳氏は、政府は「インボイスは複数税率下での適切な課税に必要」と主張しているが、その唯一の具体例である8%と10%の商品をまとめて10%で控除した事例の数を、財務省国税庁は把握をしていないどころか調査すらしていないと指摘。「みずから導入根拠にあげながら、そのボリュームを調べない。誰がどう見てもデタラメ、偽りの導入根拠だ」とのべた。さらに岸田総理に対してこの事実を示したうえで「他にもっとまともなインボイスの導入根拠はあるのか」と質問したが、何の説明も返ってこなかったと話した。
そして「インボイスは単なる消費増税。故に個人事業主やフリーランスに限らず、誰一人例外なくすべての国民が不利益を被る。これこそがインボイス制度の本質だ。しかし、いわゆる大手メディアはこのことを1社も報じないまま10月1日を迎えようとしている。ここまできれいに足並みを揃えてメディアが黙殺をしたなか、反対署名が国内最多記録を塗り替えたことは驚異的なことだ。だがこれも落ち着いて考えてみると当たり前のことだ。インボイスは中身を理解すれば誰もが反対するもので、国民にとって百害あって一利なしの制度だからだ。今後も反対の声が増える一方であることはもう確実だ。最後の最後まで反対の声を広げていこう」と呼びかけた。
続いて、消費税やインボイス問題について発信を続けている元衆議院議員で税理士の安藤裕氏とマルチタレントの大奈氏が登壇。安藤氏は「岸田総理が9月中に記者会見を開き、インボイスの3年間延期を発表し、10月に国会を開いて延期法案を可決して10月1日に遡って適用すれば、インボイスは止められる」と訴えた。
また、「マスコミはインボイスや消費税について、まったく正しい報道をしていない」とのべ、そのことについてNHKに公開質問状を出し、消費税について正しい報道をしてほしいと訴えたことを報告した。「今、インボイス制度をやることによって財務省は大きな誤算を感じている。それは、インボイスをきっかけに消費税の正体がばれてしまったということだ。この機会にみんなで消費税がいかにひどい税金であるかを広め、まずインボイス延期・廃止、そして消費税廃止までもっていこう」と呼びかけた。
元静岡大学教授で税理士の湖東京至氏は、インボイスに登録しない下請け会社を親会社が使う場合、親会社の税負担が増えるが、親会社が負担できないなら、下請け会社や力の弱い消費者が負担することになるとのべ、「この三者が負担の押し付け合いをさせられるのがインボイス制度の実態だ。恐るべき仕組みだ。10月からインボイスが導入されても、可能な限り早く中止しなければならない。実務をやっている立場からすると、実際にインボイスを実施した後に今の仕組みに戻すことは何の弊害もなく可能だ。1カ月でも、1日でも早く廃止することがこの国を預かる総理の決断だ」と訴えた。
元TBS「NEWS23」ディレクターの工藤剛史氏は、25日にテレビ局の世論調査で岸田政権の支持率が30・7%で、5カ月連続の下落だったこと、その世論調査にインボイスの賛否を問う調査も追加され、賛成は約3割、反対約4割、そして「わからない」が3割だったことを紹介し、「もう来週からインボイスが始まるのに、3割も分からない人がいるのは大丈夫なのかと思う。また、メディアに携わってきた者として、その責任はメディアにあるのではないかと思う」と指摘した。
続けて、「2016年に税制大綱が出たときに、インボイスも含まれていたが、メディアもインボイスの深刻さに気づかず、何が起きるのかということを報道してこなかった。だが、今は違う。もう50万をこえる署名が集まっていながら、これを報道しないということがあっていいのだろうか。もう“知らない”なんていえない」とし、たたかっている当事者の声や葛藤をしっかりとメディアが報道するよう求めた。
自らの手で政治動かす 全国の仲間達と共に
インボイス制度を憂慮する声優の有志グループ・VOICTION共同代表で声優の甲斐田裕子氏は「署名は52万という大きな塊になり、まだまだ増え続けている。だが、注目が集まるほど、エンタメ、アニメ業界、声優業界の問題だと矮小化する報道が増えた。しかしそうではない。農家も運送も建築も、日本のインフラが大打撃を受ける。ちゃんと報道してほしい」と訴えた。そして、インボイス制度と消費税は、日本の文化やインフラを破壊し、生産性を落とし、人々から健康で文化的な生活を奪い、日本を衰退させるものだと訴え、「政府や財務省が見て見ぬふりをするなら、もっと大きな塊になっていく。間違っていることを間違っているといえなくなる前に、みんなで声を上げ続けよう」と呼びかけた。
俳優でスタンダップコメディアンの清水宏氏は、インボイス制度が一部の者だけでなく日本人みんなの問題だとし「私たちは消費をすることでお金を使っている。さらに消費税を20%にするといっているが、そのくせ金を使えという。消費税というのは、どうしても支払わなければならない税であり、呼吸に税金をかけているようなものだ。インボイスについて、ホリエモンやひろゆきのような人たちは“免税されていなければやっていけないような会社は潰れてもいい”“潰れるのは自然の摂理”のようにいうが、インボイス制度は自然淘汰ではない。人災だ」と力を込めて訴えた。
落語家の立川談四楼氏は、大阪に300人弱、東京に700人強、全国に約1000人いる落語家のうち、年収1000万円以上は100人に満たず、残りはみな零細だとし、「さらに年収1000万円以上の者もこの4年にわたるコロナ禍でキャンセル続きで大打撃を受けた。そこへウクライナ戦争が始まり物価高が著しいなか、芸人も役者もミュージシャンも疲弊しきっている。ここへインボイスが来たら殺される。政府は殺しにかかっている。この50万に及ぶ反対署名があの“増税メガネ”に届くのか。みなさんで連帯してインボイスは潰そう。最悪でも延期だ」と呼びかけた。
お笑い芸人でユーチューバーのせやろがいおじさんは「インボイスは、“血が足りない”といいながら、貧血の人から血をもらうようなものだ。物価高でエネルギー代も税金も上がっているなか、私たちはすでに出血多量で血が流れまくっているなか、“ちょっと献血お願いします”といっているようなものだ。弱い者いじめだ」と語った。
タレントのラサール石井氏は、「財務省では、増税した者が出世し、減税でもしようものなら左遷される。だから増税、増税ばかり。しかし、もうとれるところからはとり尽くしてしまっている。そこで、免税事業者からとれということで、インボイスという複雑な制度を作り、事実上の免税廃止、事実上の増税をやろうとしている。政府はこちらを殺しにかかっている。江戸時代だったら一揆が起きているくらいだ。この国のオーナーは国民だ。船に例えるなら、甲板掃除や帆を張るのが政治家。私たち国民は操舵室で舵をとらなければならない。もしも今、舵をとりあげられているのなら、操舵室に乗り込んで舵をとり戻さなければならない」と呼びかけた。
会場では、途中で希望者を募って一般参加型のオープンマイクを実施し大学生や個人運送業者、個人事業主、司法書士が登壇して、インボイス廃止を求め真剣に訴えた。また、各氏の発言の前には、立憲、共産、国民民主、れいわ、社民といった野党議員や党首らが登壇して発言した。そのなかでも立憲・泉党首や国民民主の議員に対しては参加者の隊列のなかから「しっかりやれ」「ちゃんとやれ」「帰れ」など厳しいヤジも飛んだ。
最後に、インボイス制度を考えるフリーランスの会発起人の小泉なつみ氏が閉会の挨拶に立ち以下のようにのべた。
25日20時30分時点で、52万3986筆のオンライン署名が集まった。官邸前で一緒に声を上げた人は1000人をこえた。今日は制度開始6日前だ。私たちは塊になって政治とメディアに声を届けているが、この声に耳を塞ぐかのようにほぼ同時刻に岸田総理は、経済対策についての記者会見をおこなった。だが、そこにはインボイスの「イ」の字もなかった。インボイス制度は税率を変更しないステルス消費増税だ。だが、法律の制定からの7年間で私たちに本当のことを伝えてくれたメディアはどれだけあっただろうか。加えて、反対を叫ぶと「知らない方が悪い」「今さら騒いでも意味がない」と声をあげることすらも諦めさせるような言葉を私たちは投げつけられてきた。それでも52万もの人が自分なりにこの制度について調べて声を上げ、周りに問題を広げていった。
SNS上では、「50万の人が反対しているという事実に勇気をもらった」という声もあった。たとえこのまま制度が始まっても、50万人が声を上げたという事実が、後に続く人たちの灯台になると思う。インボイスの中止・延期が経済対策にならないという判断をする政権を私は絶対に変えたい。決められたことを進めるだけの、誰にでもできる仕事しかできない政治家を絶対に変えたい。社会の状況に耳を傾けながら、断続的に制度を運用して決められたことであろうと立ち止まる勇気を持てる政治家を、次の選挙では絶対に選びたい。そして、署名が増えていくにつれて私たちの52万の声をきちんと聞いてくれる政治とメディアを私たちの手で創ることができるのではないかという希望を今感じている。インボイスを止めるまで署名を集め続ける。STOP!インボイスの一点で、イデオロギーも、職業も、年齢も違う人たちが繋がったことに、なんて豊かなことなんだろうと思う。みなさんが希望だ。この豊かな希望を絶対に政治の場に活かそう。次の選挙では、私たちの手で私たちの政治を創っていこう。