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まだ止められる!インボイス 広がる登録ボイコット 中小零細なぎ倒す過酷な増税 れいわ新選組、税理士と大阪で街宣

STOP!インボイス街宣をおこなう山本太郎氏と安藤裕氏(4月28日、大阪・京橋)

 れいわ新選組の山本太郎代表は4月28日、大阪市京橋駅前で「STOP!インボイス!街宣」を、税理士で元自民党衆議院議員の安藤裕氏とともにおこなった。街宣では、10月1日にインボイス制度導入が迫るなか、個人事業主やフリーランスなどこれまで免税事業者として働いてきた弱い立場の人々を締め付けるインボイスを廃止するよう訴えた。インボイスは、免税事業者と取引してきた課税事業者や消費者にも影響が及ぶ実質の増税であり、「税の押し付け合い」が広がり、人々を分断していく政策に警鐘を鳴らした。街宣では、インボイス制度によって打撃を被る当事者たちにマイクを預け、切実な問題を現場で共有するとともに、そこから議論を深め問題点を明らかにしていった。街宣のなかから、消費税やインボイスについて語られた部分を中心に紹介する。

 

◆消費税が圧迫するのは「利益と人件費」

 

            税理士 安藤裕

 

安藤裕氏

 インボイスについて理解してもらうためには、まず消費税のことを知ってもらいたいので説明する。みなさんが110円の買い物をすると、レシートには10円分が消費税として別に書いてある。この消費税を、買い物するたびにお店に預けていると思っている人はどれくらいいるだろうか。

 

 財務省は、「消費税は、消費者が負担し事業者が納付する」といっているが、本当は違う。消費税の条文には「事業者がおこなった資産の譲渡等(中略)にはこの法律により、消費税を課する」と書いてある。ここに「消費者」という言葉はひと言も出てこない。

 

 みなさんは学校などで「消費税はいろいろな買い物をしたときに商品代金に上乗せされ、消費者が払っているもの」と教えられているはずだ。だが、それは嘘だ。これが大きな勘違いをうみ出している。本当は事業者に税を納める義務があるのであって、消費者のみなさんには税を納める義務はない。

 

 みなさんが買い物をしていると、すべての取引は適正な経費・原価があり、そこにさらに消費税が10%上乗せされて、販売価格が設定されたうえで取引がおこなわれているというイメージを持つかもしれない。このイメージは「幻想」だ。もしこれが成り立っていたら、低賃金労働者も赤字企業も存在しない。みんなが利益を乗せた販売価格を設定でき、それに10%上乗せして消費税を納税できれば、それは幸せな世界だが、こういう世界は成り立っていない。

 

 実際は成り立ってないにもかかわらず、成り立っている前提で消費税という物語は組み立てられている。中小企業のみなさんは利益を乗せられていないし、従業員には低賃金しか払えず、なんとかやりくりしている。そんな状況で、消費税分を価格に上乗せすることなど難しい。それなのに納税しなければならないのが消費税だ。とんでもない税金だ。皆さんにこの消費税の本当の姿が伝わっていない。これが一番大きな問題だ。

 

 消費税が「預り金」であると誤認させる仕掛けが大きく2つある。一つが「税抜き経理方式」。これは少しプロフェッショナルな話なので省く。もう一つが「レシートや請求書への記載」だ。たとえばみなさんが110円の買い物をすると、レシートには消費税10円と書いてある。だからみんな消費税の10円分はお店に預けていると思う。そしてその消費税10円は丸ごと税務署に納められ、社会保障に使われていると信じてしまう。だが、この10円は税務署に納められていない。

 

 110円という商品価格の構成要素をよく考えてほしい。この110円のなかには仕入れ代、給料、店の家賃や水道光熱費、固定資産税、法人税、利益などいろいろな項目が含まれている。そのすべてを考えたら、そのなかに消費税10円分も確保できるわけがない。それなのにレシートに「消費税10円」と書かれていること自体が問題なのだ。

 

 みなさんが商品を買って消費税10円をお店に預けて、預かったお店が10円分を税務署に預けている――。このように、「消費税は預かり金である」と間違って認識させる壮大な仕掛けがある。消費税自体、最初から嘘ばかりでできあがっている。そして、そもそもこの消費税がなければ、インボイス制度も成り立たない。

 

 少し難しい話をする。消費税の納税額は、「売上のうちの消費税」から「仕入れにかかった消費税」を差し引いて算出する。課税売上から課税仕入れを差し引いた額が何を意味するかというと、利益と非課税仕入れを合わせた額になる【図1】。

 

 つまり、消費税は「利益+非課税仕入れ」に課税されているのと同じなのだ。「非課税仕入れ」とは、基本的に人件費に当たる部分だ。つまり消費税とは、「利益と人件費」に対して払わなければならない税の仕組みになっている。

 

 法人税は利益に対して課税されるが、消費税は利益に加えて経費の部分まで課税対象になる。企業にとってはものすごくえげつない、たいへん厳しい税金だ。利益が出ていなければ法人税はかからないが、消費税の場合はたとえ利益がなくても、赤字であっても納税しなければならない。だから、税の滞納のなかでもっとも多いのが消費税なのだ。中小企業はこの消費税でものすごいダメージを受けている。このさい、ぜひ消費税の本質を理解してほしい。(前衆議院議員)

 

◆物価高で苦しむ中小企業。政治は現場の声を聞け


               参議院議員 山本太郎

 

山本太郎氏

 インボイス制度は止めなければならない。だが、私自身知識がゼロではないのに、説明を聞くとやっぱり難しい。難しくなればなるほど、みんなが理解しないままに巻き上げられてしまうため、搾り取る方からすればものすごく得だ。だが、本来税金をとるときには「簡素でなければならない」という原則がある。そこから大きく逸脱しているのが消費税であり、インボイスだ。

 

 この国の停滞を作り出したA級戦犯のひとつが消費税だ。労働の破壊、そして税制の歪みによって国は衰退した。残念ながら、消費税はその一部しか社会保障に使われていない。では、何のために消費税はあるのか。法人税率の推移を見ると、昭和56年から平成30年までの間、ずっと下がり続けている【図2】。一部の大企業・資本家のみがずっと減税され続けている。消費税を上げるたびに法人税を下げるということをくり返してきた。みなさんから搾りとることでバランスをとっているからこんなことが実現できてしまう。政治家に組織票や企業献金をつぎ込んでくれる資本家に対して減税するために、消費税が増税され続けてきたという関係だ。だから、たとえ消費税がなくなっても、この国に生きている人々のほとんどは困らない。

 

 「消費税を下げたら年金が下げられる」などという政治家がいるが、大きな間違いだ。まったく心配ない。もともと1989年に3%で消費税がスタートする前までは、消費税なんかとっていなかった。そのかわりに大もうけしている資本家から徴税していた。それをやめて、法人税を減税するかわりに、みなさんから搾りとることを決めた税制が消費税だ。

 

 「消費税をやめたら国の財源はどうするのか」と聞かれるが、答えはシンプルだ。もうかっているところから多めにもらうだけだ。それでバランスをとることができる。だが、そのように税制を変える前に、まずはもう一度この国の景気をよくしていく必要がある。その間は、国債の発行で十分だ。政府はお金を作ることができる。今必要なのは、この国を好景気に導くような政策だ。中小企業を救わなければならない。だが、政府はさらに消費税を増税してみなさんから搾りとろうとしている。

 

 参議院調査情報担当室の試算によると、消費税をやめた5年後には1人当りの平均年収が30万円上がる。10年後には同58万円上がる。手元にお金が残り、それが消費に回り、社会にお金が回れば景気が回復していきながら賃金も上がっていく。当然の帰結だが、これは無理のない話だ。

 

 中小企業は今本当に危機的状況だ。ガソリン代も電気代も上がり、物価も上昇している。30年の不況のなか、なんとか耐えてきた人たちがコロナでやられ、物価高で今やられているところだ。この国の法人の99・8%を占めるのが中小企業であり、この国の全労働者の7割が中小企業に雇用されている。これを考えたら絶対的に消費税減税は必須だ。

 

 そして今、「消費税の事実上の増税」となるインボイス制度を止めなければならない。ここからは、インボイス制度についての話を深めていく。もともと小規模事業者やフリーランスを「課税事業者」にして税金を支払わせてしまうと、大企業とは違い潰れてしまうためハンデが必要だ。そのため、売上1000万円以下の人たちに対しては消費税を納めなくていいという「免税制度」があった。

 

 今日この場にも、インボイス制度によって不安を感じている当事者の人たちがたくさんいると思う。当事者抜きで何でも物事が決められてしまうのが今の日本だ。結局どのような影響があるかはその制度を始めてみるまでわからず、大きな被害があって救済はない。それならば当事者の生の声を聞くことが絶対に必要だ。

 

◆登録ボイコットや取り下げで制度中止は可能


               税理士 神田知宜

 

インボイス制度ボイコット大作戦について説明する神田知宜氏

 インボイス制度はまだまだボイコットできる。合法的なボイコットのやり方をYouTube、Twitterなどで発信している。

 

 「インボイス制度ボイコット大作戦」には2つのポイントがある。

 

 1、「事業者がギリギリまで登録しない」。ギリギリまで登録者数が少なければ制度自体が成り立たないので、延期・中止になる。


 2、「とり下げ」。すでに登録してしまった事業者は、今からでも簡単にとり下げが可能だ。

 

 インボイス制度に反対していたり、よくわからない場合は、「ギリギリ登録」と「とり下げ」をみんなでやれば、合法的にボイコットすることができる。ただ、とり下げる場合、国税庁のホームページにとり下げ書のひな形がない(登録申請のひな形はある)。そこで、インボイスコールセンターに問いあわせてとり下げに必要な届け出内容を聞き、とり下げ書のひな形を私が作成した。「どんぶり勘定事務所」で検索するとだれでもとり下げ書を無料でダウンロードして使うことができる。とり下げ書の記入項目は八項目だけで非常に簡単だ。税理士に頼まなくても大丈夫だ。

 

 今、取引先から突然登録番号を教えろとか、課税事業者になれとかいう通知が来てびっくりしている人がかなりたくさんいる。このままでは仕事を切られるのではないかと思ってしまうかもしれないが、恐れないことが大事だ。

 

 ここ最近、とり下げ件数が急激に増えていて4000件をこえている。「インボイス制度を考えるフリーランスの会」が集計しいる【図3】。私も税理士事務所を持つ個人事業主なので、一度登録申請し、登録番号通知が来たので、先日とり下げ書を提出した。

 

 今後の課題として、課税事業者(法人)のとり下げ件数が増えれば、インボイス制度の導入は延長されると思う。インボイス制度は先ほども話になっていたが、要するに10月1日から消費税の増税がおこなわれる。2500億円の税収になる。そしてこの2500億円を、事業者のピラミッドのなかの最下層である免税事業者からとろうというものであり、「死活問題」として大きな問題になっている。

 

 アンケートによると、免税事業者の2~3割が廃業するという結果が出ている。業種によっては4~5割が廃業することも起こり得る。結局、現場で作業する人がいなくなる危険性がある。荷物が届かないとか、野菜がとれないとか、家が建たないとかが起きる。大工の一人親方もいなくなってしまう。現場で働く人がいなくなれば、ピラミッドの上の層の課税事業者の発注先がなくなる。結局、免税事業者だけでなく、課税事業者もたくさん潰れる。さらに増税されれば、もう資金繰りができなくなる。このように、インボイス制度の導入によって、事業者ピラミッドは下から崩れていく。そしてインボイスの扉を開けると、消費税増税のエスカレーターに乗ることになってしまう。

 

 コロナ不況のなか物価高騰が続き、ゼロゼロ融資の倒産や、社会保険料の倒産も増えている。こんな最悪のタイミングでなぜインボイス制度が必要なのか。事業者以外の一般の人たちには、「インボイス制度を考えるフリーランスの会(通称STOP!インボイス)」のオンライン署名に協力してほしい。(神田どんぶり勘定事務所)

 

◆街宣参加者との対話から

 

負担の押し付け合いで壊される生活

 

 街宣には、小規模事業者やフリーランスなどの仕事に就いている人たちも多く、インボイス制度によって深刻な影響を受ける立場にある当事者がマイクを握り、切実な思いを訴えた。発言者の意見や質問を受け、山本代表と安藤氏がその問題を掘り下げながらその場で議論し、インボイスの実態や問題点をよりわかりやすく浮き彫りにした。

 

 ピアノ調律師・男性 私はピアノの調律師をしている。インボイスのおかげで、親会社から「あなたたちに今まで支払ってきた消費税額分10%を引かせてもらう」と強制的にいわれている。なぜ今まで4年間10%分乗せて頂いてたものが、インボイスのおかげで今度は10%下げられるという痛い目にあわなければならないのか。このインボイスはとても不合理で辻褄の合わない不思議だらけの制度だ。消費税という基本のところから間違いが始まっている。インボイスを延期させるということをきっかけに、消費税の問題までたどり着けたらいいと思っている。たとえば年間550万円収入があると、所有資産が50万削られることになる。若い世代にとって50万円は痛手だ。結婚もできない、子どもも産めない、そういう風にいわれているようなものだ。なんとかして止めたい。

 

 安藤 このインボイスは単なる増税だ。ただ、これを誰が負担するのかという「負担の押し付け合い」が始まっている。今の例は、親会社が自分が負担するのが嫌だから、調律師さん個人のところに負担を押しつけているわけだ。そうしなかったらその親会社が増税分を負担しなければならず、親会社は利益を削らざるをえなくなる。もしくは、親会社が負担しなくて済むように、増税分を売値に乗せて消費者に負担を求めるようになる。まさに「誰が負担するか」という押し付け合いになっている。

 

 山本 インボイスとは、小規模事業者やフリーランスの多くの人たちに対する単なる増税というだけではなく、回り回ってその利用者たちが払うことにもなる。あまりにもひどい話だ。これまで買っていた商品や利用してきたサービスの単価がこの先どんどん上がっていく可能性が大きい。今物価高で輸入品の高騰が問題になっているが、インボイスによってさらに物価が上がっていく道のりにある。

 

 安藤 インボイスのおかげで電気代が上がるという問題をみなさん知っているだろうか。家の屋根に太陽光パネルを設置して電気を販売している人がいる。そういう人は今、電力会社に電気を売ったときに消費税は納めていない。しかしインボイスが導入されると、その家庭も消費税を払わなければならなくなるかもしれない。インボイスの導入を前に、電力会社はそれぞれの家庭に「インボイスに登録してください」という葉書を送っているようだ。しかし、さすがに登録する人はほとんどいない。だから電力会社が自分で消費税分を負担しなければならない。そうすると電力会社は赤字になる。だから電力会社は経産省に頼んで電気料金を値上げさせてくれと申請している。インボイスは自分に関係ないと思っている人が多いかもしれないが、このように物価が上がることでみんながダメージを受けることになる。

 

身を削るほかない個人事業主やフリーランス

 

 デザイナー・女性 デザイナーの仕事をする個人事業主だ。請求書、領収書が適格かどうかを事実上国が決める。そして決めた者しか使えないというインボイス制度はまともな制度だと思えない。一緒に仕事をする人たちの懐事情を探りながら「課税」「免税」などと区別して税の押し付け合いをさせる姑息な制度だ。緩和措置もあるというが、数年かけて首を絞められ続けるだけで、「緩和措置は一応作ったが今さっさと諦めてしまいなさい」といわれているようだ。実際、「年数が経ったら条件が悪くなってるだけだからもういい」といって諦めた人もいる。

 

 インボイス制度のことを知ってから、今まで通り取引してもらえるかどうかずっと心配している。また、緩和措置が終われば大幅な値下げや取引の排除になるかもしれない。法に触れない排除なんかいくらでもできる。だが、もしそうなったとしても私は取引先や仕事仲間を責めることができない。相手もそうせざるを得ない理由がある制度だからだ。

 

 そしてこの制度に乗っかるということは、自分自身も取引的立場が弱い人たちを叩く側になるかもしれないと思うので、私は事業者としてインボイスに反対だ。そして、インボイスは消費税が上がる前触れだと耳にした。社会人になってからずっと節約を心がけてきた。今でも買い物に行き、レジで“いつもより高いな…”と思うのに、節約にも限りがある。この先、税金が上がっていけばどこか生活が破綻する。なぜ税金で生活が破綻する心配をしなければならないのか、訳が分からない。大きな企業はいろいろな税や経費を含めた価格を設定することができて、私たちはその価格で買い物する。限りある収入で買えるものがどんどん少なくなっていく。事業者として取引サイドに怯えながら、消費者として物価高や消費税に怯える――。もう身が持たない。

 

 安藤 この「緩和措置」がまたたちが悪い。売上の税額の2割だけ納付すればいいという内容が新しく加えられた。だが、結局3年ほどで緩和措置はなくなる。先ほども話したが、インボイス制度とは単なる増税だ。この増税分を誰が負担するのかという問題をめぐって、民間で負担の押し付けあいが始まっている。せっかく今まで仲良く取引していたのに、けんかになって人間関係も壊れていく。

 

 山本 これまでギリギリのところで事業者同士が支えあってやってきたのに、そこに完全に亀裂を入れてしまうことになる。「課税事業者にならないのなら、あなたとの取引は終わりだ」ということになってしまう。このように人々を分断していくのは、これまでの政治のやり方だ。あまりにもひどい。

 

 音楽関係イベント制作・男性 音楽関係のイベントなどの制作をしていた。自分の周りにも小規模事業者は多い。その仕事仲間の人たちはきちんと売上から消費税を申告して納めていた人ばかりだった。「インボイスに反対しているやつは今までちゃんと消費税を収めてなかったやつばかりなのではないか」と話題になった。そのような意見もあることについてどう考えているのか。

 

 安藤 「免税事業者は今まで“不当”に消費税分をポケットに入れていたやつらだ」と有識者のように知ったかぶりをする人がテレビなどでもいっている。だが、まったくそういう話ではない。小規模事業者にはハンデを与えなければならない。また冒頭に説明したように、消費税というのは預かっているものを納めるという税金ではなく、事業者の利益や非課税仕入れに対して課税されている税金なので、小規模事業者にそれを負担させてしまうと企業は育たない。企業を育成するために「免税制度」というものがある。小規模事業者はそのようにして守られてきており、そこに対して直接増税をするのはとんでもないことだと堂々と主張してほしい。

 

 山本 インボイスについて、何の話をしているのかさっぱりわからないという人もいるだろう。みなさんが買い物をしたときに払った10%消費税を、「国に納めずにネコババしているやつらがいる」という嘘が流布されている。

 

 橋下徹さんも同じようにテレビで「ネコババしている人の片棒を担ぐのか」「まじめに働いているサラリーマンの身にもなれ」というようなことをいっていたが、これは間違っている。

 

 「ネコババではない」ということは、東京地裁でもしっかりと判決が出ている。
 その判決を要約すると、
 ・消費税は「対価(価格)の一部」であり「預り金」ではない――。つまり、「支払われた消費税を、国に払わずにネコババしている者がいるから、その金をしっかりと国に戻させるのはあたりまえだ」といってインボイスに賛成している人は、恥をかくから二度といわない方が良い。この判決は控訴されずに東京地裁で確定している。
 ・過不足なく国庫に納付する義務を、消費者との関係で負うものではない。

 

 司法の下で確定したこの判決がのべていることがすべてだと思う。間違った主張をしている人には「それは違う」とはっきりいうことが必要だ。

 

意図的に小規模事業者を潰す政策

 

 山本 インボイスで300万~400万いる事業者に対する事実上の増税をすることによって得られる税収は2480億円。これは国家予算から見たら微々たる金額だ。その金を手に入れるために小規模事業者を潰す理由は一体何なのか。さらに全体的に物価も上がっていくというようなことをわざわざやる理由は何か。結局、消費税をさらに増税したいという部分もあるし、もう一つは小規模事業者を潰してしまって、一労働者として社会の労働市場にそういう人たちを流していきたいという思惑があると思う。

 

 一労働者になれば、元々小規模事業者でやってきた金額よりもさらに収入が減った状態で働くことになる。そういう意味での「働き手」をもっと増やしていくという“竹中平蔵的な感覚”もあるのではないかと思っている。

 

 コロナの「ゼロゼロ融資」の返済据え置き期間が終わり、返済が始まるピークが今年7月から来年4月だ。そんなタイミングで10月にインボイス制度が始まる。控えめにいっても政治が殺しに来ている。中小企業とか小規模をどんどん潰していけというスタンスだ。

 

 神田 税理士として中小企業の資金繰りを見ていると、やはり一番消費税のところに目が行く。消費税が廃止になれば簡単に賃上げできるはずだ。消費税がなかったらどれだけ楽になるか。物価高で仕入れも経費も上がっていくなかで、消費増税した場合、その分値上げできればいいが、景気が悪くなっているのに今より値上げできる余裕なんてない。消費税10%でもう限界をこえているという感覚がある。

 

 中小企業のみなさんは、消費税を納めるために毎年3回にわけて300万円とか500万円ずつ中間納付しているところが多い。だが、中間納付したその月に、資金ショートしてしまう。それを補うために、個人のカードローンでお金を借りてきて会社に突っ込むということはざらにある話だ。中小企業はインボイスと増税で、もう持たなくなる。このまま行くと課税事業者もかなり潰れてしまうと思う。

 

 山本 政治は誰の手にあるかといったら皆さんの手にしかない。実は4割の人たちが票を捨てている状況のなかで、ここをとり戻していく。たった2割の有権者の支持を得ている自民党が30年以上この国を壊してきて、先進国で唯一の没落国家になってしまった。

 

 インボイスは小規模業者の300万、400万という人々に大きく打撃が与えられる。もう続けられないかもしれない。アニメーターや音楽家、映画制作者とかいろいろなこの国の文化を生み出す人たちにまで大きな影響を及ぼしてしまう。何とか止めなければならない。日本の文化を守るためにも、小規模事業者たちの権利、生きる権利を守るためにもインボイスは絶対にやらせてはいけない。

 

 この状況を変えられるのは選挙しかないが、いつ選挙があるかわからない。だからまずは、インボイス制度という目の前のこの時限爆弾一個を、みんなでとり除こうというプロジェクトだ。先ほど神田先生からも話があったが、全国に300万~400万いる小規模事業者、フリーランスの人たちに、インボイスの課税事業者として登録をするのをやめてもらおうという話だ。とり下げ方などいろいろなことが「どんぶり勘定事務所」のホームページやYouTube、ブログで紹介されているので、アクセスして参考にしてほしい。

 

〇告知「STOP!インボイス大作戦のための作戦会議」 5月18日

 

 インボイスの中止を求める署名が20万筆をこえ、10月導入を阻止するためのアクションが各地でおこなわれている。こうしたなか、18日に「史上最大のSTOP!インボイス大作戦のための作戦会議」が新宿ロフトプラスワンで計画されている。


 主催はインボイス制度を考えるフリーランスの会で、インボイス制度の中止を求める税理士の会が協力して開催する。5月18日(木)午後7 時からで、10月に始まろうとしているインボイス制度に「『ちょっと待った!』をかけるしぶとい面々」がSTOP!インボイスの名の下に結集。「冗談じゃなくインボイス止めたい」けれど、冗談をいいながら楽しむことも忘れず、市民の声でこの制度を止める最大の試みへの参加を呼びかけている。


 ゲストとして、経済ジャーナリストの荻原博子氏やタレントのラサール石井氏、声優でVOICTION共同代表の甲斐田裕子氏、アニメーター・アニメ業界の未来を考える会の西位輝実氏、漫画家・インボイス制度について考えるフリー編集【者】と漫画家の会の由高れおん氏、俳優・インボイス制度を考える演劇人の会のひろせあや氏、ライター・「STOP!インボイス」の小泉なつみ氏のほか、国会議員や税理士も多数参加する予定だという。


 会場観覧と配信視聴の2種類ある。いずれも予約が必要で、会場観覧は1500円。ツイキャス配信チケットは1000円。同配信応援チケットは視聴料1000円+寄付で2000円/3000円/5000円/1万円/3万円がある。

 

参加申し込みはこちらから↓(ロフト・プロジェクトHP)

https://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/249585

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