大飯原発再稼働反対を掲げて毎週金曜日に首相官邸前(東京・永田町)でおこなわれてきた抗議集会が22日には4万5000人(主催者発表)というこれまでにない規模に膨れ上がった。仕事が終わる夕方6時から8時までの2時間にわたって、歩道から首相官邸に向かって再稼働反対を叫び続けるもので、当初数十人からはじまった行動が口コミやツイッターを通じて話題となり、週を重ねる毎にその規模が拡大している。民意に逆らってごり押しをはかっていく政治――その象徴である大飯原発再稼働を一つのきっかけにして、直接行動によって国民世論を突きつけようとする機運が盛り上がっている。
週ごとに規模拡大
この日の行動は開始10分で1万人越えがアナウンスされ、その後も続続と会社帰りのサラリーマンやOL、主婦や老人、学生など世代を超えた人人が集結。周囲の地下鉄駅から吐き出されるようにして、人人が官邸前を目指した。三三五五集まってくる群衆が列の後ろに次次と整列していき、最後尾までの長さはおよそ700㍍近くに達した。最終的には道路も一・五車線を「臨時歩道」化して収容することとなった。
組織動員や反原発団体が先頭付近に目立っている他は多くが個人参加で、初めてこのような行動に加わった人人も少なくない。既存政党の枠外にいる一般市民が、政府の中枢機構そのものを包囲して圧力を加えようとする行動に共鳴し、霞ヶ関や永田町に地響きのようなシュプレヒコールを浴びせる。暴れるわけでもなく、整然と列をなした行動であるが、さながら官邸前一揆のような雰囲気で、充満しきった怒りをぶつけている。
さらにネット配信されたライブ中継にはのべ7万人がアクセスして視聴するなど、相当数が注目していた。
なお、15日の1万1000人行動をメディアがこぞって黙殺したが、その後「脱原発」を主張してきた東京新聞が記事にしなかったことについてお詫びを掲載。100件以上もの抗議があったことを明らかにしている。4万5000人行動については、テレビ朝日が特集した他は、大手新聞社や民放、NHKは黙殺する姿勢を貫いている。現場にたくさん記者が押しかけていながら、まるで報道協定を結んでいるかのように報道しない。全国規模で世論に火がつくことを恐れ、これ以上爆発的に行動が広がるのは困るという権力側と気分を共有した態度を続けている。これは同時にジャーナリズムの自殺行為にもなっている。
時代の空気を象徴する官邸前一揆が、今後も大飯原発再稼働にとどまらず、様様な政治課題を掲げた大衆行動につながっていくことは疑いない。