全国沿岸漁民連絡協議会(JCFU)の共同代表と全国理事は22日、「新型コロナウイルス感染症の経済的影響から沿岸漁業経営を守るための緊急要請」を全国漁業協同組合連合会会長と農林水産大臣宛に提出した。以下、要請の全文を紹介する。
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2020年4月22日
農林水産大臣 江藤拓殿
全国漁業協同組合連合会 岸宏殿
新型コロナウイルス感染症の経済的影響から沿岸漁業経営を守るための緊急要請
JCFU全国沿岸漁民連絡協議会
共同代表および全国理事
高松幸彦(北海道北るもい漁協)
瀧澤英喜(岩手県越喜来漁協)
鈴木重作(山形県漁協)
鈴木正男(千葉県沿岸小型漁船漁協)
岡田三市(三重県三重外湾漁協)
杉本武雄(和歌山県東漁協)
笠岡義雄(愛媛県うわうみ漁協)
宮崎義則(長崎県美津島町漁協)
下山浩助(北海道戸井漁協)
泉徳隆(青森県大間漁協)
能登勝男(青森県奥戸漁協)
嶋津圭一(千葉県新勝浦漁協)
片山勇(三重県三重外湾漁協)
松村宗典(長崎県美津島町西海漁協)
高橋拓也(沖縄県八重山漁協)
常日頃より、沿岸漁業振興のためにご尽力いただいていることに厚く感謝申し上げます。また、新型コロナウイルスの感染拡大のなか、農林水産省におかれましても対策に全力をあげておられることに敬意を表します。
さて、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう緊急事態宣言がだされ、国民生活と日本経済に深刻な影響をおよぼしています。
漁業現場における影響も深刻で、私たちJCFUの調査によれば、鮮魚出荷価格が全国的に2分の1、3分の1以下に下落し、採算割れが生じています。また、中央卸売市場の需要が減少し、また航空便の欠航等により、地方から都市部への出荷が滞るなかで、生産地市場では値が付かず、やむを得ず休漁せざるをえない地区や漁船が続出しています。養殖業への影響も深刻で出荷量が3割にまで減少した地区もでています。
この間、沿岸漁船漁業は、クロマグロの漁獲規制、スルメイカの大不漁などで深刻な状況に追い込まれてきました。これに追い打ちをかける今回の新型コロナウイルス感染影響による収入減少は、沿岸漁業者を一層深刻な経営危機に追いやるものです。
日本漁業の94%は全国に広がる沿岸漁業経営体です。沿岸漁業者の経営を守ることは沿海の地域経済を支えることでもあることから、全国の沿岸漁業と地域経済を守るため、以下を緊急に要請します。
記
1、沿岸漁業者の売上げ減少分を直接補てんする経営支援策を設けること。
2、経済的困難から沿岸漁業者の中には、漁獲共済へ未加入の者がまだ多数いることから、これら漁獲共済未加入者にも十分に配慮した経営支援対策を行うこと。
3、沿岸漁業経営を安定させるため、経営維持資金等の融資制度を充実させること。
4、現在利用している制度資金等については、返済期間の猶予や条件緩和を実施すること。
5、決定されたコロナ対策支援策については、全国の隅々の沿岸漁業者にまでわかりやすく周知すること。
本来は要請文を持参するところですが緊急事態宣言下でもあり郵送要請となりますことご容赦ください。