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秋田では17議会が反対決議 イージス・アショア配備計画

 秋田県内25市町村議会のうち、約7割となる17議会がイージス・アショア配備に反対する陳情や請願を決議した。10月段階で11市町村議会が反対決議を上げていたが、12月議会で新たに6市町村議会が反対決議を採択した。同県へのイージス・アショア配備計画を巡っては、「見直しの検討に入った」とさまざまなメディアが報じたが、国側は今も「新屋演習場への配備を断念した事実はない」(菅官房長官の記者会見)と主張し続けている。だが秋田県民の世論はイージス・アショア反対が大勢を占め、同県の佐竹敬久知事は11月下旬、2月議会前に河野太郎防衛相へ直接再調査の申し入れをおこなうことを表明している。

 

 秋田県へのイージス・アショア配備計画は、計画が表面化した直後から「郷土をミサイル基地にするわけにはいかない」と住民の批判が噴出した。ところが防衛省はまったく聞く耳を持たず、住民説明会では職員が居眠りする有様だった。しかも適地調査では、実際と違う山の高さから都合のいい数値をはじき出し「新屋演習場が適地」と規定していた事実も発覚した。

 

 こうした住民の意見や安全を無視し「配備ありき」で暴走する国に対し、県下の市町村議会から歯止めをかける動きが活発化した。そして能代市議会が六月定例会でイージス・アショア配備計画の撤回を求める請願を採択した。

 

 加えて7月の参院選ではイージス・アショア計画を推進する自民現職(当時)を落選させ「秋田にイージス・アショアはいらない」という住民の意志を突きつけた。それでも防衛省は「新屋ありきではなくゼロベースで再調査する」と主張するだけだった。それは「再調査」をして再度「適地」に指定するという「時間稼ぎ」に過ぎなかった。

 

 しかし地元住民のなかでは「時間稼ぎ」や「手直し」ではなく計画撤回を求める世論が噴出した。

 

 そして9月4日の9月定例会本会議で八峰町議会がイージス・アショア配備反対の陳情を賛成多数で採択したのを皮切りに、イージス・アショア反対を表明する市町村議会が続出した。9月議会では横手市、にかほ市、美郷町、五城目町の4市町議会が賛成多数で決議した。藤里町、八郎潟町、井川町、上小阿仁村、大潟村の5町村議会は全会一致で新屋演習場への配備反対を決議した。さらに12月議会では9月議会で継続審査としていた鹿角市、潟上市、三種町、東成瀬村が反対決議を採択した。初審議となった小坂町と羽後町も12月議会で反対決議を採択した。 

 

核ミサイル攻撃が現実味 住宅密集する地域

 

 各市町村議会で審議された決議(要旨)では「秋田市新屋に地上イージスを配備することについて、秋田県民の不安、不満、憤りは、なによりも住宅密集地に近いことだ。新屋勝平地区は現在、5400世帯、1万3000人が住んでいる。もし、この土地に地上イージス(軍事施設=ミサイル基地)ができれば、日常的に発する強力な電磁波によって人体はもちろん、飛行機、船舶、ドクターヘリの運行に支障をきたす恐れがあり、地域住民は平穏な暮らしができなくなってしまう」「敵国からの攻撃だけでなく、テロの攻撃も予想されているため、この地域は250人の自衛隊による警備や日常監視が行われ、物騒な地域に一変してしまうと予想される。機関銃などで武装した部隊が常時、監視体制をとっている状況は想像するだけでも恐怖を感じる」「想定されている相手国のミサイルは核ミサイルであり、もし惨事がおこれば秋田県全体、日本全体にかかわる問題ともなるため、当議会として、地上イージスを新屋に配備すべきではないと判断し、配備反対の決議をする」と指摘している。

 

 なお、継続審査の議会は5議会(秋田、大館、湯沢、由利本荘、北秋田)に絞られた。新屋演習場がある秋田市議会は今月18日に3度目の継続審議(賛成19、反対16)が決まっている。秋田県議会も今月20日、5回連続で継続審議にしている。

 

 また現在、秋田県下で不採択を決めたのは男鹿、大仙、仙北の3市議会だけである。秋田県下ではイージス・アショア反対決議を採択したのが17議会、不採択が3議会であり、反対世論が圧倒している。

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