いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

文字サイズ
文字を通常サイズにする文字を大きいサイズにする

能登・山形被災地の現状を報告 れいわ新選組・山本太郎議員が発信 冷酷な国の放置政策 「人・カネ・モノを早急に投入せよ」

今も崩壊したまま放置された住宅が目立つ石川県珠洲市(3日)

 れいわ新選組代表の山本太郎参議院議員は3日、能登半島地震被災地の石川県珠洲市を訪問し、みずからも復旧作業に参加したうえで、震災が発生した元旦から7カ月以上過ぎた被災地で人々が置かれている現状をSNSで報告している。さらに5日には、7月下旬に発生した東北豪雨災害で被災した山形県酒田市も訪問し、集落が土砂に埋まった深刻な現地の状況を発信している。そこからわかることは、日頃から声高に「国防」や「安全保障」を叫び軍備拡大に熱を入れる政府の、国民の生命に対する態度の冷酷さであり、国の土台である地方のコミュニティが存亡の危機に陥っても「自己責任」に丸投げされる現実だ。それは決して能登や東北だけの問題ではない。山本議員の現地報告(全文)を紹介する。写真は山本氏の『X』より。中見出しは編集部。

 

○        ○

 

放置された能登被災地 震災から7カ月

 

災害支援NPOによる屋根のブルーシートの張り替え作業に参加する山本議員(3日、石川県珠洲市)

【屋根の問題】

 

石川県珠洲市を訪問した。2回に分けて報告する。
今年元日に発災した能登半島地震から7か月が経過。

 

被災地の現実は「復興」という言葉から遠く、7か月経過したことで、損壊した家屋が水分を含んだ重みでさらに倒壊したり、壊れた屋根の応急措置として貼られたブルーシートが劣化、雨漏りするなどの事態が起きている。

 

今回、NPOの方々にお願いして屋根のブルーシートの張り替えに立ち会わせていただいた。

 

災害による家屋の被害で、最も重い全壊や、半壊などでなく、1番被害の程度が低い「一部損壊」とされた家屋であっても、屋根の瓦がズレた状態であれば、雨が降るたびに家の中は雨漏りする。雨が降るたびに自宅が水害に遭う状態である。

 

これを放置すれば、家中がカビだらけになり、健康に生活することなど不可能となる。
被害程度が1番低い「一部損壊」だと、住宅再建に関する国からの修理費は1円も出ず、仮設住宅に入ることもできない。

 

一方で、良い制度もある。
罹災証明によって、家屋の被害の度合いがジャッジ、確定されるのに時間がかかる。
その手続きの前に利用できる「住宅の緊急の修理」という制度がある。
対象は半壊の次に被害が重い、準半壊程度が目安とされる。
発災から10日以内に修理を完了させることが条件。
(能登では4月30日まで完了期間を延長された)

 

そんな短期間のうちに、罹災証明上の家屋の被害を確定することは不可能である。
つまりは、様々目安を設けているが、最終的に一部損壊となりそうな家屋でも
正式に確定するのはもっと先になるので、広く困った人たちを支えるために柔軟運用されている悪くない制度が存在するということ。認められれば、5万円以内であれば支給される。

 

今回の災害でも、家屋の緊急措置として5万円が支給され、ブルーシートを購入、雨漏りを防いだ被災者は少なくない。

 

ところが、この屋根に掛けたブルーシートは最大耐久しても半年が限界という。
発災からすでに半年を過ぎ、7か月。
発災当初に張られたブルーシートは限界を超え、雨漏りが始まっている。

 

7か月が過ぎても復旧・復興が順調に進んでいるとは言えない、非常に稀なケースである本災害の被災者に対して、「住宅の緊急の修理」の5万円を再度支給し、雨が降るたびに水害に遭うような状態から被災者を守らなければならない。

 

加えて、このブルーシートを張っているのが誰なのか、政治はそろそろ考えなければならない。
業者に頼む場合には、業者側の利益にならなければ仕事として受けてもらえない。
たった一件であっても、ブルーシート張りを経費込みで5万円で引き受け、利益など関係なく職人を送り込む業者は存在するだろうか。

 

やりたい気持ちはあっても事業を継続するのが難しくなるのが現実ではないか。
ブルーシートはあくまで短期間の緊急措置として、その後、本格的に屋根の修繕を行える案件であれば、仕事として受けることができる、と考えるのが普通ではないか。

 

では一体、誰が屋根に登り作業しているのか。
素人の高齢者が屋根に登って作業するわけにもいかない。
実際に現場で動いている多くは、NPOの方々によるブルーシート張りであり、このような善意に甘え続けてきたのが、この国の災害復旧・復興だ。

 

少なくとも、未だ多くの家の蛇口から水が出ない、という宅地内漏水に対して、十分ではないが工事業者の出張費など一部を行政が出す、という運用の変更を行なったように、屋根の問題に関しても、一件あたり5万円で利益が出せる案件を一日何件もこなせるようにして、積極的に動ける業者を作っていく仕組み作りを急がなければならない。

 

いつまでもNPOの方々が被災地に留まりブルーシートを自前で張り替え続けてくれると思考停止するのは、被災者の切り捨てに他ならない。

 

話を戻すと、追加の5万円支給する件はあくまで、緊急的措置。本質的な解決には別の施策がいる。

 

現在の国の災害救助の枠組みからほぼ外れている「一部損壊」。
生活の基礎である住まい。その基礎の一つである屋根。
ここが壊れていては生活がままならない。
屋根が壊れていても一部損壊とされてしまえば、屋根の修繕に係る費用の数十万円、場合によっては数百万円は自腹となる。

 

対応できるのは資力がある家庭だけ、そうでないものは修繕できず、ブルーシートを被せたまま雨漏りする家に住み続けることとなる。
過去に被災した地域では今も見られる景色だ。

 

屋根の被害に関しては、半壊も一部損壊も関係なく、被害にあった屋根の面積から算出された工事費の実費を支払う制度を至急導入する必要がある。
そうでなければ、人間の尊厳を守る暮らしなど到底送れない。

 

災害からの生活の復旧が財力次第、となれば、災害のたびに貧困は拡大することとなるし、そうなっている。
このようなことは能登半島地震からやめにするべきだ。
被災者のために何でもやる、と宣言した総理に対して、要望書を提出し、求めていく。

 

過酷な1次避難所での生活 仮設入居条件見直しを

 

被災者から話を聞く山本太郎議員(3日、石川県珠洲市)

発災から7か月が経過し、「復興」が進んでいるかのような報道や首長の会見があるが、現実はそうではない。

 

日本で起きた過去災害においても、7か月間にわたり被災地の広範囲にわたって自宅水道の復旧ができていない、避難所生活が解消できない、といった状況はまれである。

 

今回の訪問でも、復興という大きな未来を語ることで、目の前の復旧の遅れから目を逸らせるような現実にいくつも遭遇した。

 

まずは、一次避難所の利用者の方々にお話を伺った。
寝床として使用されている段ボールベッド。
寝心地が良い、といった報道はこれまでにもされてきたが、製品としても半年以上もの避難生活を送る前提では考えられていないだろう。
実際、訪れた避難所では、半年以上、段ボールベッドで生活をおくり、エコノミー症候群になった被災者もいらっしゃった。

 

私も横にならせていただいた。
ただただ、硬い。
今までの人生で、家具売り場などで展示されるベッドには、すぐお試しで横になってきたこと数十回以上の私であるが、そのどれよりもはるかに硬い、と感じた。

 

これでは疲れを取ることは難しく、溜まっていくことになるだろう。
物資提供などで、マットレスが届いた避難所もあるようだが、バラツキがあり、そのような提供品があるならとリクエストをしたが、すでに遅く、全員分は貰えなかったという。

 

一次避難所で使用されている段ボールベッド(3日、珠洲市)

避難所生活が7か月以上にまで及んでいる状況と、仮設住宅完成の遅れを鑑みれば、至急寝床をはじめ、環境改善を進めなければならない。

 

経済を回す、という言葉で何かと被災者支援をしぼろうとするのでなく、日本の優秀な寝具メーカーから深い眠りにつける寝具を、国が避難生活者のために買い上げて経済を回されてはいかがか。

 

甘えているのは被災者ではなく、このような状況を放置している行政や国が責務を果たさず甘えているのである。

避難所では、この猛暑で、クーラーによる問題も起こっている。
冷房をつければ室内がまんべんなく同じ温度になるわけではない。
窓際、中央、陽がささない室内の奥で考えれば、温度差が生まれるのは当然。
クーラーの位置と寝床の位置によって、暑い、寒いの差は出てくる。
ここ最近、他の避難所で、クーラーによって体調を崩す高齢者が出た、という。
それにより冷房の使用をセーブ。
それによって子どもが熱中症になったケースがあったという。
高齢者が我慢しろ、子どもが我慢しろ、という話ではない。
様々な世帯が寄り合って一つ屋根の下、すでに7か月以上、生活を送り続け、年内にそれを解消できる確約もないこと自体が異常なのだ。

 

被災者がこれまで我慢を重ね続けた上に、さらなる我慢を押し付けるのではなく、今ある条件の中で、最大限の解消方法を見つけることが求められる。

 

例えば。
仮設住宅は完成しているが、入居希望者がおらず部屋が空いている、という物件を利用できないか。

 

珠洲市において、完成した仮設住宅のうち38戸の入居が決まっていない。
空き部屋の半分近く、17戸がワンルーム(20㎡)という単身世帯を想定した物件。(R6年7月30日時点)
そうであるなら、事情や問題を抱える世帯を優先的に、1つの家族が2戸の仮設住宅に分散しても良い、冬頃に完成する広めの仮設住宅に後から移って、1つの仮設で家族が暮らせば良い、とは考えられないか。

 

しかし、そのような運用は現在、不可能である。
基本、一度申請すれば二度目の申請はできない仕組みになっている。
この1世帯1申請という運用を改めるべきだ。
今こそ、被災者を避難所に閉じ込めない柔軟運用を始める時だ。

 

これが改められれば、自宅から少し離れた地域の仮設なら空いているが、自宅近くの仮設ができるまであと数ヶ月、避難所で暮らすしかない、という問題も一部解消されるのではないか。

 

それぞれの避難者の事情を鑑みて1度ではなく、2度であっても申請を認める運用に改めるべきである。

7か月以上もプライバシーなど保てない生活から、多くの人々を救済する必要がある。

 

【一次避難所の洗濯問題】

 

発災から7か月が過ぎ、自宅の蛇口をひねっても水が出ない状況のなか、この酷暑である。

その影響に苦しんでいるのは在宅避難者だけではなく、避難所利用者も大変な思いをしている。
その1つが洗濯問題だ。

 

以前は避難所によってはランドリーカーなど配置されることもあったが、 今は撤収され、洗濯機などの設置はされず、 「経済を回す」という理由のもと、自分でなんとかしろという状況。
話を伺った避難所利用者の方は、早朝にコインランドリーまで車で移動し、週2回、たまった家族の衣類を洗濯しているという。
ここにかかるコストは1回あたり、1300円。
ひと月の洗濯代が1万円をこえることになる。

 

災害に遭っていない一般家庭の洗濯のコストはいくら位だろうか。
ネットで検索すると、
https://htb-energy.com/article/price/a132 (2024.5.27時点)で見ると、

 

<ヒーター式乾燥の縦型洗濯機>
・洗濯及び乾燥1回の電気代 約71円
・水道代 約40円
=計111円

 

<ヒーター式乾燥のドラム式洗濯機>
・洗濯及び乾燥1回の電気代 約54円 
・水道代 約22円
=計76円

 

災害によって多くを失った人々が、生活する上で欠かせない洗濯をするためには、被災していない人々の何倍ものお金を支払わなければならない状態。

 

「経済を回す」、という理屈によってこのような不条理を認めるわけにはいかない。
経済を回すというなら、多くを失った人々のなけなしのお金をしぼり取るのではなく、自宅の上下水が使用できるまでは、経済的な補助を出すべきだし、その気がないならば、せめて、各避難所にランドリーカー設置や各避難所に洗濯機の設置をマストにする必要がある。

 

まずは政府への要望書で、その先も強く求めてゆく。

 

https://x.com/yamamototaro0/status/1819703935093141573

https://x.com/yamamototaro0/status/1819753520020795788

 

豪雨災害被災地・山形県酒田市を訪問して

 

7月下旬の豪雨災害で家屋が土砂で埋まった集落を訪問(5日、山形県酒田市)

7月25日に発生した豪雨災害。
東北4県が被災し34の河川が氾濫、
そのうち22もの河川が氾濫したのが山形県という。
https://www3.nhk.or.jp/…/yamagata/20240801/6020021435.html

 

状況を知るため、8月5日、山形県酒田市の現場にお邪魔した。
現場で聞き取りをした結果とこれから起こり得る様々な災害も含め、至急必要な支援は3つ。

 

イ) 所有者が望む場合、自衛隊による民有地の土砂・流木などのかき出し、不要家財の運び出し、処分まで大規模に行う。

 

ロ) 国からのプッシュ型支援は今回、一切行われていない。自治体備蓄や企業との協定で十分と考えずに、どの災害においても基本プッシュ型を行う運用とすること。

 

ハ) ボランティアの交通費は国もち。日当も出す。

 

今回は豪雨による水害。
3つのパターンという。

 

①とてつもない量の雨と、地盤が緩み山が崩れて流木や土砂が発生、あるいは河川の氾濫などのいわゆる外水氾濫(がいすいはんらん)で、土砂が人家に流れ込んだ。

 

②街作り、都市計画などによって大雨であっても治水で計画的に排水されるはずが、
機能せず大量の水が溢れた、内水氾濫(ないすいはんらん)

 

③ ①と②の両方。

 

どのようなパターンであれ、家や敷地に入り込んだ途方もない量の土砂などをかき出す作業も、水に浸かった家財道具を外に運び出すことも、家の所有者が自己責任でやることが基本ルール。

 

今回、Xへの投稿で、アップロードした現地映像をご覧いただいただろうか。

 

豪雨で押し寄せた土砂と流木に埋もれた家屋(5日、山形県酒田市)

豪雨で発生した土石流によって一階部分が完全に埋まった家屋(5日、山形県酒田市)

もし、あなたが当事者だったら、いつまでに生活復旧できるだろうか。
このような自己責任、丸投げのスタイルでは、生活復旧に掛かる期間や、どの程度復旧できるかについて、大きな格差が生まれる。
多くの知り合いがいる、などある意味での資本を持った人、献身的なボランティア・NPOが集中的に作業してくれた、などある意味ラッキーな人であるなら良い。
でも、そうでなかったら?
途方に暮れるばかりだろう。

 

ある農家の方は、圃場(田んぼ)が土砂で埋まり、土砂や流木が自宅にも流れ込んだ。

 

その方は言った。
「自宅の土砂や浸水家財出しを知り合いに頼み、総出でやっているが追いつかない。11月には雪が降る。そこまでに間に合えば良い、という話ではない。普段でも冬が来る前にはやらなければいけないことは山ほどある。欲しいのはスピード感という言葉ではない。それを実現できる助けが欲しい。」

 

災害によって生み出される、または確定してしまう貧困。
そんなことはあってはならないが、これまでの災害では国の対応の不十分さでそのような状況を作り出してきている。

 

一刻も早く元の生活に戻れることは、被災された個人のみならず、日本経済にとっても必要なことであり、日本国民、全員に関係する話である。

 

まず、必要なことは、
自衛隊の災害対応を柔軟にすること。
これは2018年西日本豪雨の際から、国会質疑で繰り返し求めてきた。
国防とは国民の生命財産を守ること。
災害時には救命救助を中心に活躍をする自衛隊だが、もう一歩踏み込んだ対応が必要。
自衛隊の災害派遣活動は、都道府県知事等の要請に基づき、緊急性・公共性・非代替性の3要件に照らして実施が決定される。
発災直後の人命救助でなくても、緊急に必要で公共性のある支援活動で、自衛隊に頼まないとできない土砂撤去作業なら、首長が要請すればできるのだ。

 

防衛省に確認すると、救命救助以外の理由でも、感染症拡大防止や避難支援、応急医療などで民有地の土砂撤去作業を行うことができるとしている。

 

実際に人命救助以外の理由で民有地の土砂撤去作業に自衛隊が従事した事例には令和2(2020)年7月豪雨がある。 

 

この豪雨災害では、コロナ禍でボランティアなど土砂撤去を担う人手が不足しているとの熊本県知事の要請を受け、八代市などで活動。
民有地で、土砂・災害廃棄物・流木・倒木などの処理支援をおこなっている。
このように過去災害において自衛隊が救命救助以外でも、土砂のかき出しだけでなく、他にもレアケースとして、屋根に登ってブルーシート張りを手伝った場面に立ち会った、という話も災害NGOの方々から聞いている。

 

大変素晴らしい活動だが、防衛省はあまりそれを知られたくないようである。
正式な情報をなかなか出してこない。

 

災害からの復旧復興も国防である。
この当たり前の意識が希薄なのは、政治の責任。
強いリーダーシップで運用を変えていく必要がある。

 

家屋やカーブミラーまで土砂に埋まったままの集落(5日、山形県酒田市)

【プッシュ型支援】

 


今回の災害では、必要な物資を国が先回りして、被災自治体に届けるプッシュ型支援は行われていない。
プッシュ型支援を行う場合の要件があるのだろうか?

 

特にない場合、なぜ今回、プッシュ型支援を行わなかったのだろうか?
担当省庁とやり取りしたが、少し矛盾した回答となっている。
手続きについて「プッシュ型支援開始には閣議決定も必要ない。」と答える。

プッシュ型支援を行う要件については、「被災自治体が備蓄する物資又は資材が不足し、
災害応急対策の実施が困難と判断すれば、内閣府(防災)がプッシュ型支援を決定できる。」という。

 

自治体自前の物資が足りているかを何日もかけて確認してから支援をするか、しないか決定する、などプッシュ型とは到底呼べない。

 

今回プッシュ型支援を行わなかったことへの言い訳にも聞こえる要件めいたことを回答するが、こちらが過去事例について聞くと、「過去の豪雨災害時にも『令和2年7月豪雨』、『平成30年7月豪雨』では、いずれも甚大な被害が発生したその日にプッシュ型支援開始を決定している」、という。

 

プッシュ型支援は、物資が足りなくなるであろう状況を見越して先手を打って決定する。
その際、予算措置手続きとしての閣議決定は事後で良い、というのが正しい考え方であろう。

 

災害という緊急事態なのだから当然である。

 

今回はどうか?
7月25日の発災時から2週間以上経過した本日8月9日時点でもプッシュ型支援決定はなされていない。
その理由は「被災市町村の備蓄と民間団体との協定に基づく物資支援(段ボールベッド供給など)がある程度出来ていると認識している」というものであった。
今回の災害なら、この備蓄などで物資は足りると、なぜ判断できたのか?
それに対して、いや、それでもプッシュ型をやれ、という政権からの指示もなかった、ということ。

 

加えて、豪雨・台風災害は毎年のこと。
一度手厚くすれば毎年大変になる、というのが、プッシュを提案、指示しなかった者たちの根底にあると私は考える。

 

一方、現場では物資が足りていたのだろうか。

 

現地で2名で活動しているNPOに聞いてみると、発災から5日、7月30日の活動メモを共有してくれた。

 

それによると、3つの避難所の合計で、布団を80名分、このNPOが調達し、その他にも、着替えや飲料水なども避難所に入れることになったという。

 

発災から5日経っても、布団や着替えといった最低限の物資さえも届かない状態を見かねて、善意の人々がその調達に動かなければいけない状態は普通ではない。

 

提供してくれる企業がすぐに見つからなければ、かかる費用はNPO持ちとなる。
なぜこんな状態になるのか。

 

メモを送ってくれたNPOの方に現地で話を聞いた。

 

「これは、どの被災地でもそうですけど
自治体行政自体が、被災したという認識が薄い。
特に局地的な被害の場合、
職員の多くが被災してない場合もあるからかも知れません。
例えば、ですけど、
そういう感覚の方が、避難所運営に携わってる場合、
ずぶ濡れの洋服を着て座ったままの状態の住民がいても、
あまりそういったことに関心が無い、という状態も目にしたことがある。
災害救助法が適用された、激甚災害に指定されそう。
字面では理解しても、
それがいかに深刻な事態を発生させていて、
これから住民にどのような影響があるのか周知する必要があるか、
までは理解できていない印象を受ける。
避難所に関わる職員が数日すれば自宅に帰れるだろう、という感覚だと、
避難してる人たちも同じような感覚になる。
どう考えても1、2ヶ月にはなって行くのに。
そういった中では、
物資を調達するスピードも非常に遅くなります。
災害救助法が適用されたといっても、
自治体から積極的に要求しないと国が勝手にやってくれませんから。
なので、もっとちゃんと、被災した県なんだ、被災した町なんだ、
と自治体が認識して動かないと、動くものも動かない。」

 

と話してくれた。

 

わからない、知らない、実感できない以外にも、被災自治体の首長によっては、住民の生活復旧の現状ではなく、政府にどう見えているかを気にしすぎて「順調アピール」で住民を犠牲にしたり、他の被災地と比べて災害復旧が遅れていることを気にしすぎて、必要な支援を断ったり、国に求めないという意味不明な輩も存在する。

 

そのような最悪なケースを除いたとしても、初めての大災害に直面した職員や首長が、
的確に災害対応できると考えること自体、無理がある。
大きな被災経験がない自治体であれば、何をどう動けば良いかわからない、というのが正直なところだろう。
誰かが、懇切丁寧、余計なお世話くらいに先回りしてアドバイスしなければ、乗り切れる問題ではない。

 


これまで毎年、いくつもの災害が必ず起こる日本という国で、とてつもなく積み上がった災害対応経験があるのは日本国政府だけである。
初めての災害対応というほとんどの自治体に、徹底的に伴走する必要が政府にはある。
何が欲しい?
そんな言葉をもらっても、それらに対して事細かに発注できる状態にはないのが被災自治体であることを、いい加減理解して欲しい。

 

これまで同様の災害で必要とされた物資の一覧がこちらで、
全て届けます。問答無用で受け取っていただきたい、
置き場所と管理などは全て国が引き受けます。
さらに必要なものがあればすぐ連絡を、
くらいのプッシュ型支援が必要。

 

災害という緊急事態の時でさえも先回りしない、気が利かないような政治は、それ以外の時にも役に立たない連中でしかない。
どのような災害であったとしても、国からのプッシュ型支援(物資も人も)はマストとする。

 

そのような運用にしなければ、この先、人口密集地で大規模災害が起こった際には、物資の奪い合い、商業施設・商店からの強奪など、地獄と呼ぶ以外ない光景を見ることになるだろう。

 

土砂崩れによって流された大量の流木が川を塞ぎ、家屋や田畑を呑み込んだ(5日、山形県酒田市)

【ボラ】

 

日本の災害では極力、政府や行政が物を、お金を出さない、人を出さない、というのが鉄板。(出してはいるが圧倒的に充分ではないのが現状)

 

その穴を埋めるのが、ボランティアやNPOなど人々の善意となっている。 

 

災害NPOは別として、一般のボランティアに関していえることは、どれだけマスコミが伝えているか、に左右されやすいと考える。

 

例えば先述の、
①大雨や外水氾濫による土砂災害と ②内水氾濫。

 

①については、
土砂で埋もれた家など、
言い方を選ばずにいえば絵的に派手。
こういったものはマスコミが取り扱いやすい。

 

②について、
水が溢れて家屋に浸水などするが、①に比べれば圧倒的に水以外に混ざるものも少なく、水が引けば一見、大した被害ではないと勘違いされやすい。
被害がわかり辛く、絵的な派手さがないので、全国ニュース的に取り上げられる機会は最初だけ。
残念ながら、どれだけ多く長く報道されるか、世間の話題にのぼるかによって、集まる物資や寄付、ボランティアの参加人数にも影響を及ぼし、復旧・復興のスピードにも関係すると考える。

 

マスコミの熱心なオリンピック報道の傍ら、今回の秋田や山形などの被災状況は全国的には、あまり報じられていない気がする。

 

酒田市内のボランティアセンター(以下ボラセン)でお話を伺った。

 

みなさんのご地元で、今回のクラスの過去災害ってどんなものがありましたか?
「5年前に大雨があったが、ボラセンが開設されるレベルではなかった。ここまで大規模なものは、我々が生きている間では少なくとも知らないです。」

 

ボラセンにいたNPOにもお話を伺う。
「我々の団体も能登半島地震に集中していて、今2人しか動けない状態。この2人で能登半島とこちらを行き来しながら対応することになりそうです。能登にもまだまだ課題が残っているので。他の団体も手が一杯の状況の中で、何人出せるか、出せないか、といった状態ではないでしょうか。それでも団体間を超えて調整しているところです。」
「今回の山形の災害、基本的には山形の庄内、そして最上。簡単に言うと山形の西と東の間の道路が寸断されていて、通常であれば4、50分で行けるところが2時間半ぐらいかかっている状況。この2つのエリアに戦力を二分してNPOで対応にあたっていこうとやってます。」

 

ボランティアの集まり具合はどうだろうか。
酒田市と戸沢村のボランティアの数を受け入れスタート日から見てみると、


7月30日(火) 戸沢村16人  酒田市28人
7月31日(水) 戸沢村55人  酒田市35人
8月1日(木)  戸沢村86人  酒田市77人
8月2日(金)  戸沢村100人  酒田市58人
8月3日(土)  戸沢村232人  酒田市132人

 

「週末は100を超えましたが、この被害規模ならボランティアが平日平均100人を超えないと、色々な作業が間に合わない、って話にもなってます。」

 

ボラ数が少ない、足りない、というのは、どれだけ報道で取り上げられるか、なども影響すると思いますが、ボラセンとして他に考えられることありますか?

 

「もちろん我々の宣伝不足も当然あると思います。他に、我々は海側の一番西側に位置する、という地理的な部分ですかね。周りから来ようとすると、今回の被災地で災害ボラセンの設置地域としては、一番奥側に位置してしまっていること。北から来るにしても由利本荘、にかほ、といった他の被災地の方が近い。山形や宮城、福島から来るにしても戸沢、新庄、最上地域の方が近い。昨日も酒田市に来る予定だった団体から連絡があり、遠方からの場合、このボラセンに来るまでも時間が掛かるので、手前の自治体のボラセンであれば早く行けて、活動もその分長くできるから、“そちらにします”ということで、団体で入った予定がキャンセルになった。今、こういう状況なので仕方がないことですが、言い方は悪いですけど、若干取り合いになってしまっています。」

 

災害の大小にかかわらず、復旧復興は国が大々的、徹底的にやっている、というなら、報道の取り上げ方など気にする必要もないが、現実はそうではない。

 

災害大国日本には、大型地震だけでなく、夏から秋にかけて、豪雨や台風災害が毎年、必ずやってくる。
逆にいえば、国はその経験から、被災した自治体をしっかりとサポートできる体制が整えられるだけの余りある知見があるはずだ。
しかし、残念ながら、そういった知見を体系化し、常に災害に備え、有事には国をあげ総力戦で支援を行い、一刻も早い復旧・復興を達成する、という土台作りもほぼ行われて来なかった。

 

本来は国がやるべきことを常に、民間NPO、災害ボランティアの善意でカバーし続けてきたのが、この国の災害対応。自衛隊の災害対応を生活復旧に至るまで柔軟に、積極的に行う運用変更の提案は先述したが、それに加えてボランティアに参加する人々に日当を払う、必要がある。

 

11月には雪が降る、という豪雪地帯を擁する今回の被災地を考えれば、残された時間は限られている。

 

増減のある不確定なボランティア頼みでは生活復旧・復興に目処など立たない。
これまではいつまでもやってられない、とばかりに復旧しました、復興しました、と自治体側が一方的な線引きを行い、終わったこととし、そこからこぼれ落ちる被災者は見えなくなってきた。

 

災害復旧・復興に力を貸してくれる人々には対価を支払う。
シンプルで確実に、誰も取り残されずに復旧・復興する必要がある。

 

加えて、交通費。
これまでの災害でもフェリーや新幹線などでもボランティア割りなどは存在した。
その際、国は1円も出しておらず、事業者による善意で行われてきた。
さっさと交通費も国が出して、復興させてくれ。
例えば、能登半島でも復旧・復興に必要な技術系の職人さんなどのために
宿泊施設が足りない状態である。
それは今回の被災地域も同じであろう。
元々の宿泊インフラが少なかったり、被災により営業できないところもあろう。
能登半島地震被災地では穴水町で体育館などを使い、宿泊費(食事代込み)を徴収する取り組みもあったが、日帰りでも充分に活動できるような運営が行えるようにするべき。

 

例えば、今回訪れた酒田市であれば、
東京から庄内空港まで、飛行時間40分で着いた。
そこから車で20分でボランティアセンターに到着できる
https://sakata-shakyo.or.jp/…/disaster-volunteer-center/

 

他にも、奥能登であれば、先日、東京から能登空港まで、飛行時間36分で到着。
能登空港から
珠州市役所あたりまで車で40分。
https://ishikawa-vc.jimdofree.com/
輪島市役所あたりまで25分。
https://wajimavc-ishikawa.jimdofree.com/

 

ボランティア専用に朝イチと夜の帰りの便を国がチャーターして特別に運行。
各ボラセンとの往復はバス。
このような1日ボランティアを継続できるなら、コンスタントにボランティアに行っていただければ、復旧・復興に大きな力になるだろう。

 

このリポートを書いている間にも、また地震が起こっている。
この夏の間にも、次なる新たな豪雨や台風被害もあるだろう。
いくつもの災害を抱えたまま、どこも手がまわらないということが、このままでは起こり得るし、すでに災害NPOの間では割けるリソースが限界と思える。
圧倒的に人・金・物を投入して、まずは今、被災している地域の復旧・復興を進める方向に舵を切らなければならない。

 


これまでも政府に対して強く求めてきたが、さらに強く求めていく。

 

https://x.com/yamamototaro0/status/1821868697289683186

関連する記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。なお、コメントは承認制です。