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TPP阻止で緊急全国集会 農業者先頭に3000人

 農業者や漁業者、消費者など14団体による実行委員会の主催で10日、東京都の日比谷野外音楽堂で環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉に反対する緊急全国大会が開かれ、全国から3000人が結集した。「TPP交渉参加断固反対」の特別決議を採択し、集会後は中央官庁街をデモ行進した。
 実行委員長の茂木JA全中会長は、「議論を尽くさず早急で乱暴。絶対に認めることはできない」とTPPに対する政府の方針を糾弾し、「農林水産業や地域経済に壊滅的打撃を与え、多面的機能も失われる。国民各層と連携し、断固反対を貫く」と表明した。情勢報告をおこなった全中の富士専務は、日本の農産物の平均関税率が12%と低い実情であるにもかかわらず、「開国論」を掲げてTPP交渉参加を急ぐ政府を追及。「食料安全保障や農業の多面的機能といった環境問題をこれ以上海外に委ねていいのか。食料自給率目標50%とTPPの両立は不可能。政府が交渉参加の判断をする今後が正念場だ」と国民運動への結集を呼びかけた。
 続いて各界からの決意表明を4氏がおこなった。
 全国の漁業者を代表してJF全漁連の服部会長は「全国の浜の漁業者は強い不安と怒りを抱いている。日本の水産市場はすでに十分に開かれている。国内に流れこんだ安い外国産が、国産の価格を引き下げている。さらに不景気による消費の減退や燃油の値上がりで漁業者はぎりぎりのところまで追い詰められている。漁業がだめになれば、加工や流通の関連産業、ひいては地域経済が崩壊する。日本の食と地域社会、農林水産業を守るために最後までたたかう」とのべた。
 北海道議会の中司農政委員会委員長は「農業や漁業団体だけでなく、経済界や安全な食料を求める消費者団体を含め、北海道はTPPに反対する。政府の閣議決定は地方の声を無視している。1964年の木材輸入全面自由化の結果、国内の材木生産は半減、林業就業者は10分の1に激減した。TPPが食料も同様に安定供給を脅かすことは明らかだ。国民の命を危険にさらす自由化は許さない。全国の仲間とともに、TPP交渉に参加しないよう政府に訴えていく」と表明した。
 鹿児島県商工連合会の森会長は「TPPへの参加で農林水産業の崩壊はもちろん、商工業者の生活や関連産業、地域経済に深刻な影響を与えることは必至だ。4月発生の口蹄疫では畜産農家だけでなく、商工業者も、南九州経済全体が大打撃を受けた。口蹄疫以上の打撃を地域に与える。商工業者の生活基盤まで奪う死活問題にまで発展しかねない。農林水産業者と商工業者は一体だ。地域経済を守るため、TPP交渉の参加に断固反対する」とのべた。
 宮城県生活協同組合連合会の斉藤会長は「農水産省の試算では、TPPへの参加で食料自給率は14%に低下するという。食料自給率を50%にするという政府と国民の約束はどうなるのか。TPP参加よりも食料自給率を上げるためになにをすべきかを政府は考える必要がある。TPP交渉参加は国民の多くの理解は得られない。今こそTPP反対の声を上げ、社会に発信し行動すべきだ」と訴えた。
 特別決議(要旨)は「昨日(9日)政府はTPPについて交渉の参加・不参加を先送りしたものの、“関係国との協議を開始する”としたことはきわめて遺憾である。あらためてTPP交渉への参加には反対であり、絶対に認めることはできない。政府の基本方針ではわが国の農業分野について“国を開く”ことを目標に掲げているが、農業分野はすでに十分に開かれている。わが国は世界最大の農林水産物純輸入国であり、国民の圧倒的多数が望むのは食料自給率の向上である。わが国の1億2000万人の国民の食料安全保障を担保し、安全・安心な食料の安定供給とあわせ、農林水産業がはたしている地域経済、社会、雇用の安定を確保することがわが国の“強い経済”を実現することに繋がり、未来を拓くことになる」
 「地球環境を破壊し、目先の経済的利益を追求し、格差を拡大し、世界中から食料を買いあさってきたこれまでのこの国の生き方を反省しなければならない。自然の恵みに感謝し、食べ物を大切にし、美しい農山漁村を守り、心豊かに暮らし続け、日本人として品格ある国家をつくっていくため、TPP交渉への参加に断固反対し、国民各層の理解と支持を得ながら、大きな国民運動に展開させていく決意である」としている。
 緊急全国集会実行委員会に参加したのは、農業者をはじめ、森林、水産など第一次産業関係者、消費者団体のほか、賛同団体には全国町村会が名を連ねた。また、北海道、岐阜、愛媛、長崎、熊本、佐賀、鹿児島、沖縄の8道県議会が政府に「TPPへの参加に反対または慎重な対応を求める」意見書を提出、茨城、宮崎県議会も今後採択の予定である。

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