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「あかん!都構想」れいわ新選組 in 大阪駅御堂筋北口前

 「あかん!都構想 ソーシャルディスタンス街宣」として大阪市内でゲリラ街宣を続けてきたれいわ新選組(山本太郎代表)は、「大阪市廃止・特別区設置」(都構想)の是非を問う住民投票前日の10月31日午後6時、JR大阪駅御堂筋北口前で街頭宣伝をおこなった。会場には多くの聴衆が集まり、翌日に迫った住民投票への関心の高さを物語った。

 

薬師院仁志・帝塚山大学教授

 はじめにゲストとして、薬師院仁志・帝塚山大学教授(社会学)が登壇。「5年前の5区分割案では経済効果が4000億円あるからといって600億円かけて区役所を新築するといっていたが、4区に分割する今回は、3倍近い1兆1000億円の経済効果があるといいながら、設置コストは240億円に下げて新庁舎を建てないという。そのため淀川区や天王寺区の職員は仕事場がなくなり、8割が北区役所に間借りして仕事をするというデタラメな計画だ。さらに、平成28年度決算実費では特別区が98億円赤字になると副首都局が発表している。松井知事と橋下市長(ともに当時)の署名入りの平成24年の協議会資料では“あらたに必要となると考えられる(再編)コストは約200億円”と明記してあり、今回、市財政局が示したマイナスの数値と一致する。つまり大阪市廃止後、庁舎が分散して不便になり、住民サービスが低下した場合は“特別区が自分たちのお金で立派な庁舎を建ててください。お金はないけどね”という意味だ。いくらサービスを維持するといっても裏付けはなく、大阪市が廃止されてしまえば、市民に約束したことの責任の所在すら消えてしまうのだ」と指摘した。

 

 「大阪市は30年以上、一度も赤字になったことのない政令市であり、高機能な公共インフラを所有運営しているからこそ優位性を保ってきた。その大阪市を消滅させるために、このコロナで先が見通せず、大学でさえ対面授業ができないような状態のときに、わざわざ数十億円をかけて住民投票をおこなうということ自体、本当に市民のことを考えているとは思えない。しかも、大阪市廃止という正式名称すら行政パンフレットには出てこないような詐欺的な誘導をおこなっている。市民を蔑ろにする政治への怒りを込めて必ず投票にいっていただきたい」と訴えた。

 

大石あきこ氏

 れいわ新選組大阪5区公認候補予定者の大石あきこ氏(元府職員)は、大阪府市が住民説明資料に使った「財政シミュレーション」が右肩上がりのプラス収支になっていることについて、大阪とは直接関係のない国の成長率を当てはめただけの経済効果や、実際には赤字であるメトロ(地下鉄)の配当金上乗せ、「都構想」と関係のないゴミ収集や市民プール等の施設減などのコスト削減など「捕らぬ狸の皮算用」が盛り込まれた数値であり、大阪府市のいう「住民サービスの水準を維持する」を前提にすれば、逆に特別区の財政は、年々右肩下がりのマイナス収支に陥ってしまうことをデータを用いて明らかにした。

 「説明会で問い詰めると、担当者はこの事実を認めた。市民の生活にかかわる重大なことがまともに説明すらされていない。このような根拠のない試算を安易に信用して、大阪市を廃止してしまえば、二度と元に戻すことができない。いま行政がやるべきことは、大阪市の財源を活かし、中小企業と雇用を守る政策を徹底することだ」とのべた。

 

西川ひろき氏

 同じく大阪7区公認候補予定者の西川ひろき氏(元大阪府議)は、「10年前から維新政治がはじまり、この“都構想”は5年前に法的根拠をもって否決されたにもかかわらず、あろうことかこのコロナ禍に2度目の住民投票をおこなうという。これだけでも許されないが、前回との大きな違いは公明党が賛成に回ったことだ。同党の議員は、まともに理由も説明できないまま、前回と真逆のことを訴えなければならなくなっている。さらには市財政局長が、前提条件に基づいて特別区に200億円の赤字が出るという試算を出したことで市長に“捏造”といわれて謝罪までさせられ、その資料を求めた記者まで国会で“大誤報”と非難された。市民にとって損か、得かという問題以前に、大阪市が廃止された後には、このような人の尊厳を踏みにじるような露骨な圧力がそのまま市民(区民)、府民に向けられることになる。大阪市民の尊厳が奪われ、そのような負の流れを大阪から日本中に伝播させるわけにはいかない。対案は唯一“反対”しかない」と呼びかけた。

 

 山本太郎氏は、維新体制のもとで大阪の経済が「成長」どころか逆に衰退してきたことを明らかにし、「橋下徹氏の発言通り、大阪市の持っている金と権限、力を奪い取るのが都構想の目的であり、そこには市民に対する愛情など微塵もない。いま大阪市を救えるのは、大阪市民だけだ。この冬のパンデミックに備えるためには、この地方自治を破壊する企みをこれ以上前に進めさせてはならない。大阪市民が大阪市のオーナー(主権者)として、“パンデミックから市民を守るための体制づくりを早急にやれ”という指令を出せるのが、明日の住民投票だ。反対票を投じること以外に、このプロジェクトは止まらない。そんなにやりたいのなら、せめてコロナが安定してからにすべきだと、雇われ店長(市長、知事)たちに突きつけられるのが明日の投票だ。その権利を捨てることなく、行使してもらいたい。興味を持たない人たちにもぜひ声を掛けあって、一緒に投票に行ってほしい」と呼びかけた。

 

 約2時間の街宣には、通行する人たちも加わって聴衆の数は増え続け、各氏の演説に拍手や掛け声が飛び交うなど白熱した。 

 

 「大阪市廃止・特別区設置」の是非を問う住民投票は、市内の18歳以上の有権者約223 万7000人(告示時点)を対象に、11月1日の午前7時~午後8時まで、大阪市内365カ所の投票所でおこなわれる。即日開票され、深夜に結果が判明する見込み。市選管よると、30日現在までに有権者の約17%に及ぶ36万9027人が期日前・不在者投票を済ませている。

 

 

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この記事へのコメント

  1. 大阪市が持つ権限と金むしり取る地方自治破壊にブレーキをかけ、市民の命と暮らしを守り、反対票を投じて大阪市を廃止せず守っていただきたい。

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