本紙は24日、「大阪市廃止(都構想)」についての平松邦夫元大阪市長のインタビュー『命と暮らしを守る拠点・大阪市を潰してはならない』と本紙解説記事を号外にし、大阪市内に約3万部配布した。大阪府内の支援者からの援助も受けて市内各地の商店街や住宅地などに個別配布され、多くの市民が「しっかり読ませてもらう」「周りの人にも読ませたい」と快く受け取った。配られた紙面をその場でじっくり読む人や「頑張ってや!」と声を掛けてくる人など、11月1日の住民投票が近づくにつれて高まる問題意識と響き合って関心を集めた。
都島区の女性は「ぜひ読みたいし、お客さんにも見せたい。平松さんは維新からはまるで悪の権化のようにバッシングを受けてきたが、行政にとって大切なのは金もうけや派手なパフォーマンスよりも、住民の生活を下支えすることだと思う。それがいつの間にか企業経営のようになって、もうかるもの以外はムダのような価値観が広まった。私たちがいいたくてもいえないことを書いてもらってありがたい」といって号外を受け取った。
天王寺区の男性は「既得権を問題にしているが、市職員に聞けば維新の議員はヤクザよりたちが悪く、利権の口利きがすごいという。維新体制になってから、知り合いの中小企業も兵庫県や奈良に出て行ってしまった。“大阪よりも企業にやさしい”と。よい子育て環境を求めて家族ごと他県に引っ越して親だけが大阪に働きに来る人も増えた。都構想も、明らかに北を中心にした一極集中の内容だ。区割りをみても、維新が強い選挙区にとって都合がよい分け方をしている。議員数や得票数から見ても一目瞭然で、維新の人気が少ない南部を切り捨てている。だが、梅田を中心にした北部の開発は飽和状態で、大阪府市の特別顧問の安藤忠雄氏(建築家)ですら“もう北のインフラは触りようがない”といっているのに、リニアまで梅田に接続させるという。梅田はいつも水に浸かる地域でもあり、むしろ各地に機能を分散させて、災害時のダメージコントロールをすべきだ。一時的な金もうけ第一ばかり考えていたら大阪はひどいところになってしまう」と危惧をのべた。
40代の男性商店主は「維新がやっていることは政治の私物化。天王寺公園の近鉄不動産に管理委託してカフェや遊戯施設を整備した“てんしば”を手柄にしているが、もともとは噴水と木だけの静かな公園だったのに、近鉄の私園になってしまった。公園内には町内の集会所もあったが、近鉄バスの乗り入れ場にされて“出て行け”と排除された。もともとは税金で整え、市民から提供を受けたものも多数あるのに、地元住民を排除して銭金もうけの具にしている。ニューヨークのセントラルパークなどをそのような扱いはしていないはずだ。公園が荒れていたのは公園管理局が管理をおざなりにし、地元から管理強化を要求してもカラオケ屋台や不正使用などを放置していただけで、行政側が“荒れた公園だったから開発したのだ”というのはマッチポンプでしかない。公的財産をわざと荒廃させて、自分たちの利権に誘導している」と憤りをのべた。
隣接する浪速区の女性店主は「私たちは経済圏が天王寺エリアだが、大阪市が廃止されると中央区になって天王寺から切り離れてしまう。災害や今回のようなコロナでも区によって対応が変われば、同じ商売人同士で情報共有すらできなくなる。浪速区では3年前に、恵美小、日東小、日本橋小の3つが統廃合されて小中一貫校になったが、校舎は住民の集会施設でもあったのに使用不可になり、私たちには災害時の緊急避難所もなくなってしまった。児童数が減っている生野区などは区内12小学校がすべて統廃合の対象になっている。古い町を大切にしない都構想は絶対反対」と語気を強めた。
浪速区の男性店主は「うちは創価学会員だが家族みんな反対だ。公明党が勝手に都構想賛成に回ったことに腹が立って仕方がない。創価学会はあくまで支援団体であって、公明党の下請け組織ではない。号令をかけても誰もついていかないから東京から山口代表がハッパを掛けに来たようだが、大阪をバカにしている。都合のいいときだけ利用するな! といいたい。松井市長は負けたら政治家をやめるといっているが、公明党の大阪幹部も責任をとって辞職すべきだ」と語気を荒げて語った。
タイトルを見てにっこり笑みを浮かべて号外を受け取る人や、「なかなか表には出しづらいけど、うちも都構想反対やで!」「住所が変わって印鑑から領収証まで変えるのは膨大な経費」「大阪市が大阪市なのはそれだけの歴史と理由があるからだ。東京の真似をして、なんでも新しくすればええもんと違う」「都構想もだが、大阪をカジノの盛り場にするのは大反対」「周りにも配るからもう一部ほしい」という人など、胸の内に封じてきた自分の思いを素直に表現する市民も多く見られた。
長周新聞は財政が厳しいのに3万部も無料配布して下さり感激です。
少数精鋭で大手メディアが忖度して取材しない「日本の危機」を
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