いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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密着・れいわ新選組中国ツアー in 岡山・広島

◇岡山

 

 中国・四国ツアーを続けているれいわ新選組の山本太郎代表は3日、岡山県岡山市の岡山コンベンションセンターでおしゃべり会をおこなった。会場には多くの人々が詰めかけ、午後6時の開始以降も仕事帰りの若い世代をはじめとする途中参加が多かった。会場から聴衆が溢れ、昨年秋以降おこなってきた全国ツアーのおしゃべり会では初めてとなる場外中継モニターを用意して対応するなど、地方に鬱積した熱量を感じさせる会となった。


 参加者からの意見のなかでは、地方自治やれいわ新選組が今後地方政治とどのようにかかわっていくのか、繋がりを強めていくのか意見や問題意識が出された。


 最初に質問をした男性は「地方の市議会で、たとえば京都市長選のときにもしも福山さんが当選していた場合、市議たちの多くが現職の市長を応援していたのだから難しい立場になる。そうなると不利な環境下で政策なども動かしにくくなるのではないか」と話した。


 質問に対して山本代表は「市長がまともな主張をしているにもかかわらず、議会が反発するような状況があるとするならば、市民の生活の底上げを邪魔する議会ということになる。そんな市議会は市民による選挙で変える以外にない。また、市議会の中の動きを市民に対して広く情報公開していくことも必要だろう。そういう地方議会にれいわ新選組の議員を投入するという案もいただくが、私たちはれいわ新選組の看板を背負って地方議会でたたかっていくことは考えていない。自分たちのテリトリー争いをしているような場所にさらに別のしがらみを持ち込むことは逆効果になる可能性もある。それよりも各地方で無所属で市民のために一生懸命頑張って良いことは良い、悪いことは悪いという主張をそれぞれの議会でやってくれる方を応援するやり方が自由度が高くて良いと思っている。本来は大きな組織があってその議員が各地方で政策を訴えるのが基本だが、今までとは違う形でどこまで行けるのかやってみたい」と自身の意見をのべた。


 「ネット戦略について考えはあるか」との質問に対しては、「あくまでもネットは情報を知っていただくためのきっかけづくりの入り口でしかない。私たちがもっとも重要視しているのは、実際に自分の足を使って横に広げてくれる人をどこまで増やしていけるかだ。大事な情報であってもツイッターで“リツイート”や“いいね”するだけでは票は増えない。浅い部分でのネットの拡散力は大きいが、票を積み上げるという意味では、現実のなかで自分の行動や言葉を使って他人に伝え、理解してもらうための行動こそが票を確実に増やす方法だ。つまり空中戦ではなく、どぶ板でやるしかない。この国の政治をつくっているのは私たちだ。政治をコントロールするのが国民であるなら、この国の熟成具合以上の政治は産まれない。おしゃべり会やネットを通じて多くの人とコミュニケーションがとれれば体力的にも金銭的にも楽かもしれない。しかしそれよりも各地域にお邪魔してお互いの体温を感じられるような交流をしていきたい」と答えた。


 参加者からはこのほかにも「簡単に閣議決定で重要なことが決められるようになり、もはや三権分立の意味がなくなっていると感じる。どうすれば三権分立を守っていけるだろうか」(男性)、「精神障害二級で、作業所で働いている。時給は150円で、月給は良くても7000円ほどにしかならない。そのため生活資金は家族もしくは基礎年金6万5000円、厚生年金をプラスしても9万円ほどだ。また、事業所の多くが赤字で倉敷市では倒産により220人もの障害者が一斉解雇された。働きたい障害者の受け入れが官民ともに十分ではない。障害者雇用や事業所の経営難についての対策はあるか」(男性)など多岐にわたる質問があいついだ。

 


 岡山では「れいわ新選組チーム岡山」を結成し、ポスター貼りなどをおこなっている。今回のおしゃべり会開催にあたっては、2週間前から自作のチラシを街頭で配りながら宣伝を続けてきた。


 宣伝活動をおこなってきた女性は「“山本代表が来る”ということを宣伝するのは建前でもあった。もちろん多くの人々に山本代表の話を聞いて欲しいし、以前選挙のときの街頭演説では岡山は人があまり集まらなかったのでなんとか今回はたくさんの人に来て欲しいという思いがあった。しかしそれ以上にとにかく私たちのように活動している人が岡山にもいるということを市民のみなさんの目に見える形で露出していくことが大事だと思って活動を続けてきた。今日のおしゃべり会を追い風にして私たちなりの活動をさらに広げ、たくさんの人と繋がっていきたい」と話していた。


 チーム岡山で活動している女性は「昨年5月に福岡県小倉での街頭記者会見を見て、自分も何かしなければと突き動かされた。私はもともと大阪や東京で広告代理店で働いてきた。毎日15時間労働、そのうち週2日は徹夜をしなければ仕事が回らなかった。働き方は超ブラックであるにもかかわらず、法律上では一点の曇りもないホワイト企業とされていた。残業をする人ほど評価が下がるので、家に持ち帰って徹夜をしてでも仕事をし、評価をなんとか下げないようにただ働くだけだった。そんな経験をしてきたからこそ、とくに“働き方をボロボロにされて…”と訴えた山本代表の言葉には自分の話をされているようで涙が出た。岡山では参院選前にたった2人でチームをつくり、選挙後にはツイッターなどでもチームを立ち上げて一緒に動く仲間を募ってきた。街頭に出てポスター貼りをするなかでたくさんの人たちと出会い、生活の実態に触れてきた。消費税でこのまま国民のカネを絞り続けると人々の生活がどうなるのかがよりリアルに想像できるようになったし、これまでポスター貼りや街頭でのチラシ配布で出会ってきた厳しい生活状況のなかにある人たちの顔が浮かぶ。私たちはネットのなかだけで顔も知らないわかり合った人たちだけと言葉を交わすだけで満足するのではなく、とにかく街のなかに入って、一人一人と現実の関係で結びついていかなければならないと思う」と語っていた。

 

◇広島

 

 4日には広島県広島市のホテル広島サンプラザでおしゃべり会を開催し、5日には広島市中区のパルコ前で、事前告知なしで街頭記者会見をおこなった。


 おしゃべり会には高校生や大学生など若い世代が積極的に参加し、おしゃべり会後も山本代表に問題意識をぶつけるなど、真剣な姿が目立った。また、街頭記者会見は告知なしでおこなうため、聴衆の多くが足を止めた通行人だった。れいわ新選組が掲げる消費税廃止や法人税の累進制の導入などについて、どうすれば実現できるのか、財源はどうするのか、企業は海外に逃げないのかなど、素朴な疑問があいついだ。


 おしゃべり会では「広島県は県外へ流出する人の数が、県内に流入する人を上回っている絶対数が全国ワースト1だ。地方が力を付けていくうえでの危機感を持っている。地方分権についてどのように考えているか」(男性)、「4歳の頃にバブルが崩壊し物心がついたときからずっと不景気だった。いま大人になって子どもが2人いるが、子どもたちになにを残していけるかと考えている。政府は保育園児の3歳~5歳の無償化を打ち出しているが、的外れだと思う。大事な子どもを預け、社会のルールなどを教えてもらうのだから親としてはお金を払う。それよりも保育士の賃金を上げるべきだと思う」(男性)などの意見が出ていた。


 街頭記者会見では、山本代表の演説を初めて聴く聴衆も多く、政策をどのように実現していくのかという疑問や意見が目立った。


 若い男性は「日本は少子化が進み社会保障費が増えている。政策のなかに公務員を増やすとあるが、このまま公務員を増やすと国民一人あたりの社会保障費負担が増えて生活が苦しくなると思う。政策の中身について詳しく教えて欲しい」と質問した。


 これに対して山本代表は「世界の先進国の人口1万人あたりの公務員数を見てみる。フランス838人、イギリス828人、アメリカ595人、ドイツ566人。これらに対して日本は261人だ。さらに公務員のなかでも非正規や非常勤が増え続けている。同じ仕事をしていても圧倒的に処遇が違う働き方を強いられている。私たちが公務員を増やすべきだと訴えているのは、先進国レベルで見ても圧倒的に少ないという問題が一点。もう一つは雇用の受け皿という側面がある。介護士や保育士のように人材が足りずニーズはあるのに処遇がひどすぎて、資格を持っていても選択肢に入らない職業もある。少子高齢化が問題であるのに、人材の確保や処遇の改善などの問題を解決しようとしない国に問題がある。人材が集まらないのは労働に見合った賃金が払われないからだ」と訴えた。

 


 その他にも参加者は「法人税に累進制を導入したら税制を優遇されない大企業が海外に逃げるのではないか」(男性)、「男女の賃金格差についてどう考えているか」(女性)、「資本主義の下で競争がいきすぎてモラルがなくなった今の社会はおかしいと思う。それなのに、“頑張っていない人が頑張っている人と同じように恩恵を受けられる共産主義や社会主義になったら恐ろしい”という声もある。政治についてもっと自分事と考えて論議できるように広げていきたいが、どうしていけばいいだろうか」(女性)、「自民党は金持ちを優遇して安定というイメージがあり、野党は金持ちではない人を応援するというが、結局野党が頼りないから今の政治があると感じる。自民党に対抗して野党と組む可能性はあるのか」(男性)などの疑問をぶつけ、山本代表は一つ一つの質問に対してさまざまなデータを解説しながら自身の政策の根拠となる裏付けを示した。


 また、山本代表はれいわ新選組がかかげる経済政策と関連し、国民への投資をおこなう必要性を以下のように訴えた。


 私たちの経済政策は「消費税の廃止」「最低賃金全国一律1500円を政府が補償」「法人税の累進制の導入」の3つがセットで改革できなければ、実現も進まないと考えている。消費税によって強制的に物価を引き上げることによって消費が落ち込む。そうすれば企業もリターンがないので投資をしなくなる。国民も企業も金を出さないうえに、ただでさえ20年以上のデフレで世の中に回っていないお金を、消費税によって吸収し続けるなら、どん底への競争が加速するだけだ。個人消費を上げるにはみなさんが使えるお金を増やすしか方法はない。消費にかかる罰金であり、この国の99・7%を占める中小零細企業に重くのしかかっている消費税をやめれば、それだけで26兆円を世の中に投資することになる。人々の生活を底上げするには、国がみなさんに対して投資するしかない。さらに、法人税を累進制にしてもうかっていればもうかっているほど税率が上がり、もうかっていないときは税率が下がるシステムにする。現在は法人税は単一の23・2%の税率だが、ここからさらに減税措置を受けられるのは大企業だけになっている。法人税のとりかたを変えることで中小零細にとっては今の単一税率と比べれば実質減税措置になる。こうした経済政策のもとで企業が少しでも賃上げが可能になり、最低賃金1500円に足りない部分を国が補填することができれば、わざわざ地方から都会に若者が出て行かなくても生活していける。

 

就職難等の経験も胸に ボランティア参加者

 

 広島では、山本代表とも年代の近い現役世代がボランティアとして数多く参加していた。


 ボランティアとして参加した40代の男性は「自分たちの世代は就職氷河期のど真ん中を経験してきた。良い大学に行っても就職できない知り合いも多く、同級生のなかに鬱病でリタイアした知り合いも数多くいる。社会が壊れていくなかで、人々の体だけでなく心までも壊されていった。参院選前の北九州市小倉での街宣を見て山本代表の話す言葉や聴衆との対話の姿勢に感銘を受けた。これまでの政治家は自分のキャリアや支持者、企業側しか見ていなかったのに人々に“生きていて欲しい”といえる人がまだいたのかと思った。各地での街宣の様子をユーチューブで見るにつれ、日本の根本的な問題が自分のなかではっきりし、首相をすげ替えるだけでは何も変わらないし、政治そのものを変えなければいけないと思うようになった。自分は“信者”ではないが、とにかく行動しなければと思いボランティアに参加した。自分と同じような経験をしてきたロスジェネ世代にこそもっと広げていかないといけないし、響くはずだ」と語っていた。


 貿易関連会社を経営する男性は「貿易業界では楽天をはじめとする大手がルールを決めてしまってそこに出店している会社はみな大変な目にあっている。楽天が来月から3980円以上の購入品は送料無料にするという基準をもうけたために、出店者が負担しなければならなくなる。そうなると東京から遠い出店者ほど送料負担が大きくなるため、商品価格に送料を上乗せせざるを得なくなり、不利な立場に立たされる。楽天ユニオンという楽天出店者のコミュニティのなかでは、すでに首をつらなければならないような人がたくさんいる。大手ばかりが幅をきかせて中小零細がその尻ぬぐいをしなければならない構造は社会のいたるところに溢れている。そんな状態を政府が規制するどころか推進しているのだからますます人々の生活は厳しくなる一方だ」と語った。


 一人で参加した17歳の男子高校生は「いままで何となく政治に興味を持っていた。もう少ししたら選挙権を得るので、自分の一票をどう使うかということを考えていたが、今の与党ではだめだということは分かるが、これといって推したい野党もない。そう思っていたときに参院選でれいわ新選組を知った。山本代表はインフレが2%をこえない限り新規国債を発行し続けて良いとか、消費税をゼロにするとか、とんでもないことをいっているように聞こえるが、世間の感覚がデフレの現状になれすぎていて自分たちの方こそ経済に鈍くなっているのだと思う。実際に、高校の授業でも税の役割やお金の循環などを習っているので、もしかしたら大人よりも現役の高校生や大学生ほど身近で現実的に話を受け入れられるのではないかとも思う。演説で長時間お金のしくみについて話していたが、しっかりと政策の根拠として示してくれるのでより納得できる。授業の50分間よりも興味深く聞くことができた」と話していた。

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