れいわ新選組・山本太郎代表のおしゃべり会が6日、山口県下関市の下関市民会館中ホールで開かれた。会場には市内外から約500人が集まり、場外にも溢れたため急きょ別室でのモニター視聴もおこなわれた。山本代表は、次期衆院選で安倍首相の選挙区である山口4区(下関市、長門市)から独自候補を擁立することを明言し、「一強体制の下で選択肢がない有権者の思いに応えられる、より建設的な提案をしていきたい」とのべた。昼の時間帯にはポスター掲示活動もおこなわれ、山本代表も含め地元ボランティア約40人が市内各地の民家や商店街を訪問して回った。約2時間で40枚をこえるポスターが掲示されるなど市民からの期待を集めた。
登壇した山本代表が「昨年7月の参院選で国政政党になり、昨年9月から全国を回ってきた。やっと総理のお膝元にくることができた」と深く頭を下げると、会場は大きな拍手に包まれた。
冒頭、報道陣から衆院選における山口県内でのたたかい方について質問があいついだ。
山本代表は「私たちは消費税5%に減税することを旗印に野党共闘を目指すが、それが叶わない場合は独自でたたかう。そのさい全国で最大100人の候補者を立てる」とのべた。衆議院は全国289の小選挙区のほかに11の比例ブロックがある。参院選でのれいわ新選組の得票率を衆院の比例ブロック別にみると、中国ブロックは全国でもっとも低く、得票率上位100選挙区の中に山口県内選挙区は入っていない。山本代表は「逆にいえば伸びしろしかない。耕し放題だ」とのべた。
そのうえで「私は新党旗揚げのさい、政権をとりにいくことを宣言している。にもかかわらず現総理のお膝元に候補者を立てないという選択肢はない。つまり立てるということだ」と言明。会場からは拍手とともに「山本太郎が立て!」の声も飛んだ。
山本代表は「参院選で得票の低かった中国ブロックでも議席を獲得できる状況をつくらなければいけない」とのべ、候補者については「少なくとも下関で生活をされている方が望ましい」とした。
また「野党共闘の如何にかかわらず、現在の山口4区では野党は議席を持っていない。どの野党も立場は同じ」としたうえで、「7年以上続く安倍政権は、経済政策で人々の生活を底上げするような雰囲気を醸し出しながら権力を握ったが、多くの人たちが生活困窮に陥った。一方で、一握りの人たちはバブルをこえるような過去最高益をあげている。これにかわって政権をとりにいく政党が、現政権トップがいる選挙区で自分たちの候補者を立てることは当然のこと。これまでの山口4区の選挙をふり返ると“アベ政治許すまじ”という対決モードであったが、これだけでは例え現職に批判的な人であっても乗りづらいものがある。私はもう少し建設的なたたかい方があると考える。安倍総理がこの4区で議席を失うことは現時点ではあり得ない。であるならば、もちろん私たちも小選挙区で勝つことを目指すが、そこで勝てなくても比例復活という形で下関からもう一人国会議員を誕生させませんか? そして、下関の皆さんの生活のなかで必要なことを国会で発言し、形にしていくことを目指しませんか? という訴えの方が浸透しやすいのではないか。アベ政治許すまじ! というのは気持ちがいいかもしれないが、より広い理解が得られるたたかい方が必要であり、勝つための提案の内容はより慎重に練っていく」とのべた。
下関市内をみずからポスター掲示を依頼して回った手応えについて、「恐いほど市民の皆さんの反応がよかった。他地域よりも貼れる枚数が多く、2時間で10枚以上(山本代表本人が)貼ることができた。とはいいながら、“あ、山本太郎だ!”といわれた方に名刺を渡そうとすると断られることもあり、周囲の目を気にされたのかもしれない。反応はさまざまだが、この(安倍)一強体制がどうしても崩れないという状況のなかで、なにかしらの受け皿を求めている方がおられることも熱く感じることができた」と感想をのべた。
山口県内で中国電力が進める上関原発建設計画については「事故収束の仕方がわからず、何百年単位で向き合わなければならない状況下で、しかも今後30年間にSクラスの地震が何度も起きると予測されている時期に原発新規立地などありえない。ただ現地にいわせれば原発にかわるものとしてお金が必要という問題もある。原発にかかわる数々の産業や既得権にかわる施策が具体的に国会で議論されるべきであり、そのための大胆な投資も必要になる。国が率先して原発にかわる新たな成長産業をつくり出すことを始めなければならない」と強調した。
また昨年9月から始めた全国の地方ツアーを一巡し終えた感想として「各地で聞いた声は、生活の苦しさからくる悲鳴だった。老老介護や、息子世代が支えながら特養入居を目指しているが100人待ちでどうしたらいいかわからない…とか、“増税された消費税の全額が、高齢者問題や少子化問題など国が直面している国難に対して確実に使われているならいくらでも払うが、実際はそうでない。もうそんなことやめてほしい”という悲痛な叫び。現役世代からは“奨学金の返済で生活がままならない”など、全世代から数々の叫び声を聞いた。20年来のデフレで国が人々への投資を怠ってきた結果だ。そして格差が広がり、一部の人たちは過去最高益をあげているが分配されない。やるべきことは皆さんの生活の底上げであり、それによる国の経済再生だ。税を財源にするのなら“ないところからとるな、あるところからとれ”を徹底するしかないし、躊躇することなく新規国債を発行して消費と投資をとり戻す必要がある。20年間のデフレで失われた内需を回復するには国の積極財政しかない」と力を込めた。
地方経済の再生目指す 3時間に及んだ質疑
参加者との質疑に移ると客席から一斉に手が挙がり、3時間近くの熱を帯びた論議となった。以下、客席との主なやりとりを紹介する。
質問(20代男性) 高齢者の方にはれいわ新選組のどんなポイントを勧めればよいか。
山本 すべての世代に共通するのが生活の底上げだ。安倍政権の7年間で数々の悪法が通ったが、より生活に密着した消費税廃止がもっとも広い関心を集めると思う。
年金問題でいえば、年金制度は破綻しないが受給額が減る趨勢にある。政府は「好景気」と煽り続けながら、年金額を減らすのだからおかしな話だ。景気が悪いとわかっているから減らす判断をしている。私は、現在の年金基金があるうちに、それを年金だけでは生活できずに体にムチを打って働いている高齢者に上乗せして支給すべきと考える。低所得者層こそもっとも消費活動が活発な人たちであり、そこを底上げしなければ景気はよくなるはずがない。
将来的には国による年金システムはやめて生存保障制度をつくる。現在の生活保護は、なにもかも失うことが前提だが、それでは立ち直るまでにかなりの時間がかかる。だから、つまづく前に手を差しのべる。生活扶助、医療扶助、住宅の家賃扶助など、バラでも受けられる制度にする。急に病気になっても医療扶助が受けられたら借金を背負ったり、収入が絶たれて生活が破綻するようなことにはならないはずだ。すぐに立ち直ることができるため、国としてのコストも安くなる。
つまり掛け金に応じて受給されるものではなく、国が生存を保障する制度にする。高齢になれば必ず健康問題が出てくるが、貧困に怯えながら生活しなくて済む。子どもが1日2食しか食べられず、うち1食は給食だけという状況も変えられるし、子ども食堂も必要なくなる。いずれわかりやすい政策としてまとめて提示したい。
質問(女性) 新型コロナウイルス流行によるインバウンド(訪日外国人)激減への政府対応についてどう思うか。地方都市に若い人が少ない現状をどう再生していくか。
山本 そもそもインバウンド激減で困るほど観光客頼みだったことに問題がある。外国人観光客が増えている理由は、日本でモノを買った方が安いからだ。日本が強かった時代に海外で安い買い物をしたように、今は逆に日本が貧乏になって安くなっている。20年間のデフレの結果であり、この状況を変えるためには、財政出動で国民の生活を底上げして内需(国内消費)を回していく必要がある。韓国とは外交問題でしくじって観光客が激減した。それならば国内の需要に投資して、経済と人々の生活の安定を図るべきだ。それをやらなかった結果がこのありさまだ。
地方の若者が減っているというが、山口県の経済は盛り上がってないのだろうか? 忖度してもらっていないのだろうか? (会場から「ない」の声)ここにも新宿御苑で飲食された方はいるんですよね? (「誰も呼ばれてない」の声)あれは完全な有権者買収だからよくないが、なぜ総理大臣を生み出した山口県や下関にもっと活気が生まれることにならないのか。鳥取や島根などの日本海側でも同じく衰退がひどい。名だたる政治家が選挙区としてきた場所でありながら高速道路さえ一本に繋がらない。西日本豪雨のとき、私は国会で自民党議員に対して“もっとちゃんと地元に利益誘導しろ”と怒ったことがある。豪雨災害で物資を届けようにも、高速道路が途切れ途切れであるために大渋滞を引き起こし、緊急支援が前に進まなかったからだ。各地の代理人として国会にいながらその地域の人々の底上げのためにまともに動いていない。
国による数々の失策の積み重ねが地方衰退の背景にある。根本はドケチ政策だ。みんなには“痛みに耐えろ”と我慢を強いながら、組織票と企業献金をくれる一部の人には大サービスを続けてきた。IMF(国際通貨基金)のデータで、1997~2018年の22年間で政府総支出の伸び率をみると、戦争・紛争をしていない140カ国以上のなかで日本は最下位の113・1%。上位のブラジルやメキシコは700%をこえ、韓国も500%ある。同じ期間の名目GDPの伸び率(経済成長率)を見ても、日本は最下位の102・8%でグラフにもならない。投資をしていないからリターンもないのだ。あなたの生活が苦しいのは、あなたのせいではなく、国がお金を出していないからだ。
地方への影響を考えるとき、例えば土建業界は自民党と深くかかわっているからさぞいい思いをしていると考えてしまう。だが、実際はそんなことはない。政府がつくる道路などのインフラ、公団・公社による設備や住宅投資を意味する「公的固定資本形成」(公共投資)の推移をみると、1996年の橋本龍太郎時代には48兆円あったものが、2004年の小泉政権までの10年間で27兆円にまで落ちている。民主党政権が「コンクリートから人へ」といって削減したのは数兆円レベルだ。自民党は10年間で半減(21兆円減)させた。
公共事業は悪ではない。水道は公的に保障しなければならないし、鉄道も民営化したおかげで北海道でも四国でも人々の生活の足が奪われた。そしてJR東海のような大都市圏を抱える企業だけがリニアなどに手を付けている。その収益があるなら、地方の足を守ることが国家運営として正しいと思う。一般的に自民党とズブズブといわれる土建業界も、10年間で予算半減という憂き目にあってきた。その結果、中小はバタバタと潰れ、災害に襲われたときも復旧にかかわれる地場企業が減った。
それだけでない。国交省の調べでは、全国77万カ所の橋やトンネルのうち約8万カ所が腐食やひび割れで5年以内に修繕が必要でありながら、8割が修繕にとりかかれていない。橋は77・8%の5万3694カ所、トンネルは63・7%の2812カ所におよぶ。管理自治体の財政難で手がついていない。
教育機関に対する公的財政支出を見ても、OECD(先進34カ国)のうち3年連続の最下位だ。大学、大学院など高等教育機関への公的支出も最下位であり、平均以下どころか北欧諸国の3分の1以下だ。これでは「自己責任」で勉強しなければならず、2人に1人の学生が奨学金などの借金を背負い、その6、7割が有利子だ。そして年間350億円もの利子を懐に収めるのは金融機関だ。もはや教育までも商品にされている。こんな国は滅びる。地方の衰退が進むのも当然だ。
国に存在する企業の99・7%が中小零細企業だ。消費増税によって消費が冷え込めば、これらの企業は投資する意味がなくなる。さらに、ただでさえ出回っていないお金をさらに国が税金で吸収していけば生活がますます苦しくなるに決まっている。
山口県の最低時給は829円。1日8時間の22日で月給を計算すると14万5000円。これで人間の尊厳を守るような生活ができるだろうか。私は最低でも1500円は必要と考える。月給にして約24万円だ。中小企業は払えないと思うだろうが、消費税をやめるだけで約1カ月分の給料が返ってくるし、それによって景気が上向く。だから私たちはそれを加味して企業に賃金を上乗せしてもらったうえで、全国一律で国が補償する形にしたい。
さらに法人税に累進制を導入する。現在の法人税は単一税率(23・2%)だが、大企業には80以上もの抜け穴(減免措置)がある。それを、もうかっていたら税率を上げ、もうかっていなければ税率を下げる税制に変える。もっとも公平であるし、中小企業にとっては事実上の減税措置だ。それによって給料を上乗せしたうえで、足りない部分を政府補償で1500円にするなら、単純に山口県の最低時給から見ても10万円程度の収入増になり、そのぶん地元で消費活動が活発化する。都会が地方を踏みつけて大きくなったが、地方がゴーストタウン化することは国全体の安全保障にもかかわる。首都直下型地震などを見越して東京一極集中の解消も必要だ。この経済政策によって地元に残ったり、都会からのUターンを促すことにもなる。
対米独立と外交力強化 基地やイージス問題も
質問(20代男性) 辺野古基地建設の即時中止、普天間基地の運用停止、海兵隊のカリフォルニアへの移転を求めるというが、国の防衛はどうするのか。米国から駐留費4倍を要求され、110億円もの戦闘機を100機も買わされる理不尽に対しては米国にきちんとものをいい、対米自立と日本独自の防衛体制の整備が必要と考える。ただ、専守防衛の立場で自衛隊員が尊重されるためには憲法改定が必要になる。それぞれの政策をかみ合わせるうえでの見解を聞きたい。
山本 辺野古新基地は、危険な普天間基地の代替施設、または中国の脅威から国土を守るためといわれているが真実だろうか。
J・ブッシュ政権で国務長官の首席補佐官を務めたローレンス・ウィルカーソン元陸軍大佐が、昨年2月に朝日新聞のインタビューに答えている。
米海兵隊本部が90年代前半におこなった国内外の海兵隊基地の見直し検証作業に加わり、沖縄海兵隊の実弾射撃訓練や飛行訓練、爆弾投下訓練をする地域としての運用は「極めて難しい」と判断したという。朝鮮半島有事、対中国、対東南アジアへの展開を含め、戦略的な役割を調査したところ、①沖縄の海兵隊は戦力規模が小さすぎて「太平洋地域に前方展開させる戦略的価値はない」と結論、②コスト面では米本土に移転するよりも日本側の費用負担があるため沖縄駐留の方が5~6割安くなる、③ただ沖縄駐留は日米の安全保障とはなんら関係ない、④辺野古基地は外部からの攻撃に脆弱であり、精密誘導弾の攻撃を受ければ滑走路は跡形もなくなる、⑤もし私が安倍晋三なら現計画に固執して沖縄の人々と敵対する手法はとらない--とのべている。辺野古新基地は、自分たちの部隊を縮小しないためという米軍側の意図もあるが米陸軍大佐が「使い物にならない」といっており、日本側の国内利権のためという側面が大きいのではないか。沖縄に対する中央政府からのハラスメントでもある。
海兵隊は米本土に返ってもらうのが最善策であり、その実現のためにいくらかの費用負担もセットにして要求していくべきと考える。米軍基地の全撤去はすぐには無理だが将来的に目指すべきであり、それが本来の姿だ。いつまでも外国軍が駐留し続け、米本国でできない訓練を日本国内でやりたい放題というのは独立国ではない。
また、地位協定によって米軍は日本中に基地を置けるため、ロシアが警戒して北方領土返還交渉も進まない。これも破棄して対等な日米関係を結んでいくことを目標にする。ただ、丸腰国家でいくというのでは合意形成は難しい。米軍の二軍として自衛隊を使うのではなく、日本の施政下にある領土、領海、領空に限定した専守防衛に徹する。さらに災害救援部隊として世界から頼られる部隊にしていくなら、世界中に恩を売って安全保障を高めることにも繋がる。
自衛隊は九条に照らせば違憲な存在だが、国民の幸福追求権などその他の憲法条文を勘案して合憲としているのが現在の法廷解釈だ。だが、この理解のまま進んできたばかりに、詐欺師的な人間たちが、本来ならば改憲しなければ立法できないものまで、憲法を変えずに解釈変更と数の力で押し通した。2015年の安保関連法だ。これが前例になり、この先も詐欺師的な政権によって憲法解釈の歪曲がおこなわれる可能性がある。そのため将来的には、改憲で「自衛隊は施政下でしか動けない」というタガをはめなければならないと思う。
ただし今回の解釈変更や、自民党改憲草案のようなものをつくる勢力による憲法改正は非常に危険だ。みんなが憲法の重要性を十二分に理解したときでなければ、憲法には手を付けられない。憲法は権力の暴走を縛る鎖だ。国民投票をしても、中身がよくわからないまま、CM規制もなく、経団連をバックに持つ改憲派が膨大なお金を使って宣伝をくり返せば容易に洗脳できる。中途半端な理解で間違った判断をしてしまえば、とり返しがつかなくなる。憲法を一言一句触ってはいけないとは思わないが、この状況下で、しかもあのような解釈変更でとんでもない立法をした勢力による改憲などありえない。
質問(20代男性)その憲法論議を深めるために山本代表はどのように挑んでいくか。
山本 みんなが憲法の理解を深めるということは、一人一人がこの国の主体である意識を持つことだ。国の最高権力者はみなさんであり、安倍総理にしても期間限定の雇われ店長にすぎない。安倍さんに託しているのは全有権者の3割であり、選挙に行かない5割もの人々が政治に背を向けている。みんなが国の主人であり、株主だという意識をシェアするためにも私は全国の街頭に出ている。小さな単位ではあるが、政治を身近なものにしていきたい。みんなでやらなければならず、相手の興味関心に合わせながら丁寧なやりとりをしなければいけない。まずは「生きているだけで精一杯」という状況を変え、今よりも余裕のある状態を政治で実現しなければならないと考える。
質問(女性) 山口県では萩市へのイージス・アショアの配備を防衛省が進めている。沖縄でも先島諸島に自衛隊基地を建設していることについてどう考えるか。
山本 米軍事力評価機関「グローバル・ファイヤーパワー」の2019年軍事力ランキングによると日本の軍事力は世界6位だ。どこまでいけば安心できるのだろうか? 最終的には核兵器が必要なのだろうか? 核を持っても、例えば中国と互いに撃ち合ったとして東京に一発落ちれば日本は終了だろう。国土の広い中国はそうではない。軍事力で対抗することなど不可能だ。外交の失敗の先に戦争があるのだから、外交力を高め、アジア圏内での関係を密にしていくことが先決だ。もちろん過去に植民地支配の歴史があるのだから、これにも真摯に向き合い続けなければいけない。
日本はアジアのリーダーとして活躍する国になるべきだと思う。欧州におけるドイツの過去の過ちに対する姿勢は潔く、常に自分たちの変化を主張している。世界からの信頼を得られなければリーダーにはなれないからだ。加害者側から「過去にとらわれず、未来志向でいこう」とはいえない。日本政府は「死文化した」というが、国連憲章には今も日本の敵国条項が生き続けており、保護観察の身にある。
日本に配備したイージス・アショアで米国に向いたミサイルを撃ち落とすというのは、日本が米国のかわりに巻き添えを食うということだ。そうではなく、日本は北朝鮮と米国に対立緩和と友好関係構築をすすめるべきであり、それが唯一の被爆国として、過去の悲惨な戦争当事国として、アジアのリーダーとして世界から尊敬を集める振る舞いなのではないか。
消費税廃止と累進課税 中小企業への影響は
質問(男性) 私が勤める中小企業は事業の大部分が大手企業との取引だ。法人税に累進制が導入されて大手企業の税負担が増えた場合、取引先の中小企業にコストカットの波が来るのではないかという危惧がある。私が家族を守るためにはどのようなスタンスに立つことが正しいか。
山本 確かに「ないところからとるな、あるところからとれ」はある種の分断を生むことに繋がりかねないと思う。ただ私は、大企業が貯め込んだ内部留保に政治の力で手を突っ込むことはすべきではないと思っている。この間、法人税を大減税した分を消費税で補てんし、働き方を流動化させて、派遣や非正規雇用を増やして大企業は収益を増やしていったが、それは企業献金や組織票で自分たちの代理人を多く議会に送り込んで合法的にやってきたことだ。議会で多数派になればどんなルールでもつくれることを示した。その果実が内部留保だ。私はそれを強制的にとりあげるよりも、彼らが貯め込んだものを投資した方がよりもうかる世界をつくりだす方が現時点では合理的と思う。そして彼らが握ってきた政治の主導権を今度は私たちが握る番だ。
そもそも累進制を導入して法人税の負担が高くなると企業が海外に逃げるとか、中小企業に煽りが来るということが起こりうるだろうか?
経産省の「海外事業活動基本調査」(2018年)で、各企業が海外進出した理由を調べている。1位(68・6%)は「現地での製品需要が旺盛または今後の需要が見込まれる」。2位(25・9%)は「進出先近隣三国で製品需要が旺盛または今後の拡大が見込まれる」だ。つまり、モノが売れるから海外に出る。逆に日本国内ではデフレが20年以上続いて、みんながお金を出せないからモノが売れない。売れるのは安いモノだけで、どん底への競争しか国内に残っていない。世界で唯一デフレが20年以上も続いているという状況を変えることこそが最大の課題だ。消費を活発にするには、消費への罰金である消費税を廃止することが最もストレートな力を持つ。内需回復の兆しが生まれると企業は設備投資をはじめ、雇用枠を拡大する。消費マインドも上向きだす。内部留保を投資に回した方がもうかる趨勢になっていく。
ちなみに「税制、融資等の優遇措置がある」という回答は8位(8・7%)だ。「税金が安い」を海外進出の理由にしている企業はその程度しかいない。GDPの6割を占める最大のエンジンである個人消費を大きく回していけば、中小企業の収益も増し、賃金アップにも繋がる新しい循環が生まれる。
質問(男性) 個人事業をしているが、倒産や廃業がいつ起きてもおかしくない状況だ。自殺のうち中小零細企業の自殺数が全体の2割を占めているという情報もあるが、具体的な数字を知りたい。
山本 自殺数の業種別のデータは持ち合わせていない。ただ倒産や休廃業に関していえば、2019年の帝国データバンク資料を見ると、年間倒産件数は8354件(前年比3・6%増)だ。報道では、倒産原因として「人手不足」や「後継者難」を挙げるが、人手不足を理由にした倒産は全体の2%、後継者難は5・5%にすぎない。不況型倒産(販売不振、輸出不振、不良債権の累積、業界不振など)が全体の79・2%を占めている。別の問題にすり替えてはいけない。不況の処方箋は唯一、底上げによって産業を守る、労働者を守る。それしかない。
大多数を救う政治を 6割の世帯が生活苦
質問(男性) 最近の選挙は投票率が低い。既存政党は与野党とも組織票があるが、投票先のない浮動票が増えている。低投票率を改善し、浮動票を集めるアイディアはないか。
山本 浮動票にアプローチできる野党は私たちが一番近いのではないかと思う。とはいえ近道は思いつかない。私たちのやり方は、ネット中心の空中戦ではなく、リアルに人人と対面しながら対話を重ねるオールドスタイルなのかもしれない。不器用かもしれないがステップバイステップでやっていくしかないと思っている。選挙の時は土下座までするが、それ以外はどこで生息しているのかわからない幻の生き物というのではなく、どこにでも駆けつけるフットワークの軽さと敷居の低さでカバーしていきたい。
質問(高校生) 今稼いでいる中小零細企業は法人税の累進制に反発すると思う。消費税廃止と累進課税は、努力する人からお金をとり、努力をしてない人を優遇するという不公平を生むことにならないか。
山本 現在の制度にあやかって収益を上げている人たちを否定する気はない。だが、その数はわずかだからこそ不況が続いている。企業の99・7%が中小零細であり、労働者の6割がそこで働いている。そこの底上げがされずに力が弱まれば、国全体が弱体化するのは当然だ。全体を底上げして日本経済が再生されるのでなければ一部の企業がもうけるだけで、全体はどんどん衰退していく。「現状維持」で自民党に投票する人たちもいるが、実は維持すらされていないのが現状だ。
厚労省の毎勤統計で実質賃金指数の推移をみると、1997~2017年でみてもずっと下がり続けており、ガクンと下がるポイントに消費税増税がある【グラフ①参照】。貯蓄ゼロ世帯の割合も20代は61%にのぼる。各世代の貯蓄ゼロ世帯が一気に増えたのが、消費税が8%に増税された2014年だ【グラフ②参照】。消費税は年収が低い人ほど負担率が高い。
そもそも「努力している、していない」とは何を基準にジャッジするのか? 「あなたの生活が苦しいのは、あなたが頑張っていないから」というが、すでに全世帯の57・7%、母子世帯の82・7%が「生活が苦しい」と感じている(国民生活基礎調査)。「あなたが努力していないからだ」といえるだろうか?
20年以上も国が効果的な投資をせず、ただでさえ実質賃金が下がっているなかで何度も強制的な物価引き上げ(増税)をしていくなら生活が苦しくなるのは当然だ。非正規雇用を拡大して企業側の責任を免除する。その積み重ねがこんな結果を生んでいる。「頑張っている、頑張ってない」を成果物で線引きし、生産性で人間の価値が計られる社会は地獄だ。自殺者が数年間2万人、自殺未遂50万人という壊れた社会になったのは、政治が本来の役割を果たしていないからだ。自己責任を求める政治なら、なぜ政治家が税金で養われているのか。自助や共助を強調して、公助は「期待するな」というなら政治は誰のためにあるのか。
今調子がいい人も明日はわからない。誰もが事故や病気で突然寝たきりになる可能性がある。そのときに「自己責任」といわれるよりも、「何があっても手を差しのべるから安心して生きろ」といわれる方が100%以上の力が出せるはずだ。難病ALS患者の舩後議員は全身が動かず目の動きでしか意思表示できないが、精神活動は非常に活発で、事業所を経営し、生産性という点でも非常に高い。だが、見た目や成果物で「頑張っていない」と線引きをするなら最初に命を奪われる存在だろう。
現在、日本社会で安定的に収益を上げた人たちも社会的なつながりのなかで多くのものを手に入れたならば、それを社会に還元する責任をともなう。「誰も切り捨てられない」という社会をつくることは自分への安全保障でもある。ここまで地獄のような社会をつくれたのだから、その逆もできるはずだ。それを夢物語で終わらせないためには、多くの人たちの賛同が必要になる。自分たちの利益を最大化するために自民党に投票する人はそれでいいが、私はそうでない人たちの力を集めてみんなが「生きていてよかった」と気づける世の中にしたい。
大胆な国債発行は可能 財政破綻論の誤謬
最後に山本代表は、消費税を廃止して積極投資をおこなうための財源として新規国債の発行を強調し、巷にある「国債発行を続けたら財政破綻する」という疑念を検証した。
山本 政府は日本円で借金しており、同時に通貨発行権を持っている。であれば、借金が返せなくなるという状況にはならない。よく引き合いに出されるギリシャの債務不履行はユーロ建てであり、通貨発行権を持っているのは欧州中央銀行だ。
2002年に世界3大格付会社のムーディーズ、S&P、フィッチが日本国債の格付けを引き下げたとき、財務省は意見書を3回も出して反論している。「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」――つまり日本は返済不能にはならないということを財務省みずからがいっている。
「国債を増やし続けるとハイパーインフレになる」という懸念もある。統計的に確認できるハイパーインフレは世界史に56件あるが、大きな戦争による生産力の破壊、大革命によって通貨体制が無効になる状況、何十年も二桁台のインフレが続く――などの共通事項がある(米ケイトー研究所)。日本はいずれも該当しないことは政府も認めている。
20年も前から「日本経済は破綻する」といわれてきたが破綻していない。つまり国債の発行限度は額ではなく、国の生産能力なのだ。政府も日銀も金融緩和の目標をインフレ率2%としている。
国の経済を以下の図で説明すると、容器(生産能力)に注ぎ込む水(消費・投資)の量によって、総需要が決まる。満たされない部分が多いと、供給力に対して需要が足りない。つまり失業が生まれる。だから生産能力に見合った量まで需要を満たす必要がある。容器一杯に満たされると完全雇用が実現する【図①】。
しかし、その後も水を注ぎ続けると容器からあふれ出す【図②】。これがインフレ(通貨の膨張)だ。2%なら問題ないが、その後も注ぎ続けるとインフレが悪化するため、水の逃げ道(税金)をつくって需給バランスを保つ必要が出てくる。つまり税金とは、景気が過熱しすぎたときに、人々の購買力を削って、総需要を国の生産能力の範囲内に抑えることでインフレを抑えるためにある。それはビルトイン・スタビライザー(景気安定装置)=法人税・所得税の累進化で、もうけすぎたところからお金を吸収することで機能する。これは高校の参考書にも書かれている常識だ。
一方、参議院の調査情報担当室で試算すると、2020年から消費税10%を5%にした場合のインフレ(物価上昇)率は2年後の0・7%がピークであり、0%にした場合でも2年後の1・2%がピークだ。政府目標の2%に遠く及ばないばかりか、その後は緩やかに下落していく。消費税廃止分を新規国債(借金)で賄えるばかりでなく、さらなる投資をしなければ一般的な先進国並みの経済成長は望めないということだ。「政府の借金=みんなの借金」という論理に騙されてはいけない。「将来に負の遺産を残すな」と考えるなら、今生きている人たちの生活を底上げするために考え方を変えなければならない。
私たちは2月中に第1次公認候補を発表する。その後、2次、3次と発表して100人に近づけていきたい。ぜひみなさんの力を貸していただきたい。
写真を拝見して、大勢の参加者でびっくりしました。ライブビューイングできる別の部屋まで用意されるなんて、山本太郎一座の準備のいいこと! 中国・四国の方たちがどんなに待っていらっしゃたかが分かります。
昨日は山田正彦さん(元農林水産大臣)の「種子法廃止・種苗法の改定でついて」の講演を聴きに行きました。太郎さんが、桜の問題など可愛いもの、日米FTAについてもっと大騒ぎになる闘い方をするべきだとおっしゃった意味がより深く理解できました。長周新聞さんも一面で大々的に報道してこられました。
講演は心が寒くなる内容でした。「闘わなければ社会は壊れる」という本が出ていますが、その題名が日本のすべてを言い表していますね。
下関も盛り上がったとのこと嬉しく拝見しました。
私は8日の滋賀草津にお邪魔しました。
同じくロスジェネ世代で、現在妊娠中の滋賀が地元の友人を誘おうかと迷いましたが
体のことを優先し今回はお誘いしませんでしたが
帰宅後にLINEで実は今日ね…と太郎さんのこと伝えることが出来ました。
太郎さんの名前を出して帰ってきた反応にやはり…
太郎さんの世間のイメージまだまだ「竹島・陛下にお手紙・牛歩」で止まってるのですね(><)
しかし。
ロスジェネの救済を本気で考えて政策に盛り込んでくれてる数少ない政治家だよ!と伝えたところ
「なにそれ、心動いてんけど」
と急にいい意味での手のひら返し受けました(笑)
ヒットする案件を盛り込んで、これからも細々伝えていくつもりです。