◇横浜
関東ツアーを展開しているれいわ新選組の山本太郎代表は14日、神奈川県横浜市の横浜駅西口・高島屋前で街頭記者会見をおこなった。演説に参加する人たちの数は日を追うごとに増し続け、横浜駅前でも広場を埋めた多くの老若男女が山本代表へ次次に質問を投げかけた。参院選後の全国ツアーの動向をネットなどで把握している人たちも多く、街宣会場には各地で勝手連的に活動しているボランティアたちも駆けつけ、参加者とお互いの経験や思いを共有しながら、新しい政治勢力を横に広げていく意気込みを高める場にもなっている。
冒頭、「直近の調査(NHK)でれいわ新選組の支持率が0・6%になっているが、どう受け止めるか?」との記者からの質問について、山本代表は「別にどうも思わない。調査によって数字は違いがある。それに一喜一憂するのではなく、私たち、そして私たちを応援してくれる人たちが日頃の活動でどれだけ多くの人たちに広げられるかによって変化が生まれてくると思う。これから私たちは一議席でも多くの議員を国会の中に送り込んで、与党にも野党にも嫌がられる存在、政治に緊張感を作り出すという存在を拡大していくために日々やっていくのみだ」とのべた。
また、横浜市長が推進しているカジノへの考え方に関する質問に対して、山本代表は「カジノに行きたい人は海外旅行で行けばいい。なぜ外国資本によるカジノが日本国内に作られ、訪客の7割、7割が日本人を対象にするようなことになるのか。それは日本の金融資産を海外に横流しするような話だ。安倍首相と近づいてこの計画を前に進めたのは、トランプ大統領の後援者であるアデルソン氏(ラスベガス・サンズCEO)だ。安倍首相は訪米時にはこの人とも会食をしている。トランプ支援者であり、お金を出している人たちに旨みを横流しするものだ。もうすでに日本はバクチで溢れている。全国の交番の数に近いほどパチンコが溢れている。市長選のときにはカジノ白紙といいながら権力を手にし、国でカジノを認められるという状況下でそれを前に進めるというのは裏切りだ。そんなことが許されてはいけない」とのべた。
厚労省の委託を受けて2016年から国立病院機構久里浜医療センターの研究グループが実施した調査では、これまでの生涯でギャンブル依存症が疑われる状態になったことがある人は約283万人にのぼり、このうち最近1年間に依存症と疑われる状態だった人は約70万人と推計されている。山本氏は「誰もがギャンブル依存症に陥りやすい環境は十分に整っている。パチンコやパチスロの機械(EGM、エレクトリックギャンブリングマシン)は人間の脳内への依存効果を狙って刺激的に作られている。この病的な症状を解決するどころか、新しく賭場を開けというのは筋が通る話ではない。途上国に比べても、カジノ以外の観光資源のある国でわざわざカジノを作る必要などない。選挙で約束したことを覆す、てのひら返しの政治を野放しにしていたら、権力者が好き放題できる世の中になる。こういう人たちには選挙やリコール、住民投票などさまざまな選択肢でわからせるしかない。政治の信用を取り戻すのはもはや政治の現場でなく、それを選ぶ人たちの手に委ねられている。みんなで一緒にひっくり返す以外にない」と訴えた。
低投票率の傾向についても「確かにいまの政治に期待できる人は少ないと思う。政治で世の中変えていくなど不可能だと考えて、それならば気にせずに自分の人生を生きようと考えるのもわかる。だが、人人の関心が薄れて喜ぶのは国会の中で自分の好きなことを進めようとしている人たちだ。自民党が全有権者の3割程度で自分たちの仲間内だけを優遇し、それを経団連がコントロールしている。私は投票を捨てた50%の人たちと、消費税廃止や奨学金に苦しむ555万人の債務チャラなど、一つでも一致点を見いだして緩く繋がりたい」とのべた。
本来の主権者が繋がろう 山本代表の訴え
経団連の提言で進められた労働者派遣法の改正について参加者からは「昨年12月に派遣法改定の影響で4年半勤めた職場を雇い止めになった。現在は運良く別の会社を紹介してもらえたが、派遣の仕事は正社員と変わらない仕事量をこなしても社員並みの扱いにはならない。仕事にやりがいがっても法律のお陰で雇い止めで辞めざるを得なかった。4年半勤めて上がった時給はわずか30円だった」(50歳・女性)との声もあがった。
山本代表は、外国人労働者を大量に受け入れる入国管理法改定とあわせてすべて企業側にとって「安い労働力」を作り出すための政策であることを指摘し、「外国人労働者の非人間的な扱いが野放しにされていくことで、賃金も安い方へ、労働環境も悪い方へと置き換えられていく。マレーシアでも同じことが起きている。これによって企業側が得をするが、その怒りをこの経団連やその代理人である政治家に向けなければ、この国の労働者と外国人労働者との間で分断や対立が起きていくような未来をつくり出すことになる。非正規雇用を増やすということは、とりかえの利く部品としての働かせ方だ。奴隷以下だ。だからこそ権力を取り返してみんなのための政治をやるために力を合わせようというお誘いだ。消費税も経団連は2025年までに19%まで上げろといっている。その税金は社会保障には一部だけで、その多くは法人税減税の穴埋めに使うのだ。雇われ店長に過ぎない政治家や総理大臣に権力を委ねるのではなく、この国の本来の権力者であるみんながつながって価値のある世の中を作っていこう」と訴えた。
また、「母が網膜色素変性症といってドーナツ型にしか視界がない目の難病を持ち、見えないので働けず年金も払えず、障害年金も等級が低いためもらえていない。等級が上がるというのでサービス内容を聞くと、自分名義の車を同乗者が運転してくれる場合に高速道路の料金は安くなるという。だが障害が判明した時点で免許は取り上げられている。おかしな制度だ」(女性)という意見や、少子化や気候変動、教育にかかわる質問が小学生や親世代からも投げかけられた。
山本代表は、憲法の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利がある」(二五条)に従って難病患者や障害者の支援を拡充していくこと、世界的にも低い日本の教育への公共投資を増やして障害のある子もない子もともに学べる環境を増やしていくこと、原発即時廃止を基本にして環境負荷の少ないエネルギーの技術革新を進める考えを示し、消費税廃止、奨学金チャラ、最低賃金1500円の政府保障などの基本政策を実現させる必要性に触れた。「全国一律で月24万円の収入が担保されるようになれば、三大都市圏への人口集中も緩和される。地域経済を衰退させてはいけない。地方があるから都会が成り立っているのに、地方の多くが衰退している。地方を踏みつけて都会だけ大きくなれば今の東京のようになり、首都圏直下など災害が起きれば統治は麻痺する。全国の地方を活性化させることは安全保障を考えるうえでも必要な施策だ」とのべた。
街頭演説では終始、右翼団体の街宣カーが「山本太郎は極左暴力集団とともに行動している」などと大音量で流し続けたが、山本代表が「私は右でも左でもないフリースタイルだ。そんな背後勢力がいるなら手伝ってもらいたいくらいだ。そんなところで原稿を読まずに、ここで質問をすればいい」と呼びかける場面もあった。
現場の矛盾や意識を語る 参加した現役世代
はじめて街頭演説に参加した立川市の40代の男性は「山本さんと同学年で団塊二世、就職氷河期世代といわれる年代だ。これまで政治に関心がなかったが、派遣切りにあって再就職できず、いまは介護福祉士として特別養護老人ホームで働くようになり、“介護の公務員化”に関心を持つようになった。介護施設は1日12時間勤務が週4日、さらに夜勤が連続する過酷な現場だ。だから新人が入ってもすぐに辞めていき、私たちのような就職難世代の最後の受け皿のような業界になっている。肉体的にも精神的にもきつく、それに見合う収入がなければ成り立たないのが現実だ。その人手不足を補うために入管法改正で外国人を雇い入れる方針だが、介護者は服薬の介助などでミスをすると利用者の命にかかわる重大な責任を伴う。簡単に外国人で代替できるようなものではない」と問題意識を語った。
また「私も派遣切りから介護へ転職し、経済的にも精神的にも追い詰められ、家庭内の不和から離婚も経験した。山本さんの演説を聞いているうちに自分がなぜこうなっているのか社会的な背景が見えてきた気がする。しかも他の政治家と違って、自分が捨て身で崖っぷちに身を置き、底辺の人たちを支えようとする魂に心を打たれる。自分も回りからどう思われるか関係なく、友だちや知人など身近な人たちかられいわ新選組の政策を伝えて行きたい」とのべ、はじめてポスターを持ち帰った。
演説を聞きに来た建設業大手に勤める57歳の男性は「会社は政府による大企業優遇の恩恵を受けているが、政府が年金の支給年齢を引き上げ、本当に死ぬまで働かなければ生きていけない世の中になるのではないか。歳をとるにつれ働きたくても働けない人もいるし、退職したくても働き続けなければならない人もいる。自分の人生設計や働く期限をカネに縛られてしまい、思うように生きられない社会になっている。一度定年退職して再雇用されるさいには企業側からランク付けされ、最低ランクの人は給料が五分の一にまで下がるケースもある。住宅ローンを何十年支払い続けても利子が膨らみ続け、実際に借りた倍近い金額を払わなければならない。今やものづくりの国ではなく、金もうけの日本になってしまった。こんな状態を変えるには山本代表のような人材が政治を変えるしかないと思い、参院選以降注目して少しでも支えていかなければならないと思っている」とのべた。
高校教員の男性は「若い世代によりよい社会を残すことが今の私たち世代の課題だ。さまざまな事情を抱えている子どもたちは、世の中のことなどよく分からないまま、そのときの感情や気分で軽い気持ちで就職先を決めたり、卒業してアルバイトを続けるケースも少なくない。こうして負のスパイラルが続いていく。この子どもたちにもっと社会や自分の人生について見つめ直し、考えさせる時間を作らなければならないし、それができるのは私たち教員だ。なんとかしてやりたいという思いをずっと持っていたが、山本代表の政見放送を聞いたとき、涙が溢れ、変えるにはこの人しかいないと思った」という。
「それからできるときにはボランティアに参加し、地域を決めずに無差別にポスター掲示を続けている。世間の矛盾に直面することも多く、同じように悩んだりもどかしい気持ちを抱えている人は多いと思う。れいわの全国ツアーは、そうした人たちが動いたり意見を発信する起爆剤になるのではないかと感じる」とのべた。
「山本さんの街頭演説があるというので立ち寄った。たくさんの苦しみを抱えた人たちがいることを知り、今まで何も知らなかったことに衝撃を受けた」(女子高校生)、「父が米国人で米国在住だが、公的な医療保険がないので虫歯治療に何十万円もかかるため父も叔母もすべての歯を抜いている。日米FTAによって米国保険業界のために日本の医療保険制度が崩されることがとても心配している」(20代、女性)など、若い世代も強い関心をもって会場を訪れ、ポスターやチラシを持ち帰った。
◇茨城・つくば
13日には、茨城県つくば市のつくばエクスプレスつくば駅で街頭記者会見をおこなった。駅前広場には、集団で参加した高校生や若い母親世代、仕事帰りのサラリーマンなどが多数駆けつけ、山本代表の言葉に真剣に聞き入った。介護職員が現場で感じている制度の矛盾や、男子高校生が若い世代の政治への関心についての問題意識、台風19号被害で避難生活を送った男性が行政の災害対応の拡充を求める意見を述べた。聴衆からの意見に対して山本代表は、「大企業や一部の人にだけ忖度する政治をやめ、国民に忖度する政治であるべきだ」と訴え、消費税廃止を軸に、税のありかたや新規国債の発行などを見直し、国民に投資して経済を立て直していく政治を目指すと訴えかけた。
山本代表に対する質問のなかでマイクを握った男性は「政策を本当に実現できると思っているのか。民主党政権の政策に期待した人は多かっただろうが、しかし実際は実現しない政策がほとんどだった。れいわ新選組の政策が、もし失敗したら多くの人を失望させてしまうのではないか」と疑問を投げかけた。
これに対し山本代表は「私たちが政権をとれるかどうかは、この国に生きる人人次第だ。もし政権をとれた前提で話をする。私たちの政策に対して人人がその政策をやってくれと託したのならば、その政策が“できない”といっていい理由などない。政策を実現できるかどうかは、政治家任せではなくあなたが政治家やらせるかどうかだ。民主党政権が失敗したのは4年間は消費税を上げないといっていたのに上げ、TPPを推進したことが大きく影響している。政権をとったあとにいろいろなトラップもあるだろう。対米自立に対するアメリカ側からの圧力や、消費税廃止のための新規国債の発行に対する財務省からの圧力なども想定される。これらに対して情報公開を積極的におこなっていくことが自分たちの立場を守ることに繋がると思っている。外部からかかる圧力をNHKを使って逐一みなさんに知らせることができる。支持していた人がちょっとしたことで“もういい”とならず、“しっかりやれ”と応援し続けてくれるように支持を固めていかなければ日本の自主独立など無理だ。権力を付与するかしないかを決められるのはみなさんだ。“無理だ”と思う人もいるかもしれないが、みんなが消費税を廃止させるために意志を固めれば可能だ。6年間国会にいて、このままでは国が壊れてしまうと思って一人で旗揚げした。国会で与党のなかにも野党のなかにも緊張感を生み出す存在として一番嫌がられる者にならなければいけないと思った。私たちの勢力が大きくなればなるほど彼らに対しての脅威になる。結果、政党要件は満たしたが2議席しか得ることができず、私自身は落選した。それでも消費税を一刻も早く廃止させるために、私たちに力をいただけるよう挑戦し続けるしかない。憲法にも“すべて公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない”と書かれている。一部の者に忖度して多くの人たちの生活が地盤沈下している状態がこのまま続けば、国に生きる人たちは疲弊するしかない。この状況を変えるためには大胆に人人に投資して、死にたくなるような世の中を変えるのは政治しかない。それを本気でやっていく政治勢力をみんなの手でつくっていきたい。その政治を選べるのはこの国に生きる一人一人であり、みなさんこそがこの国の最高権力者だ」と熱を込めて呼びかけた。
ぶっちゃけあの駅のあの場所で政治活動であれだけの人数を集められるってハンパないですよ。普段歩いてる人達を眺めればいかに凄いことが実感すると思いますよ。消費税5%!!
名古屋でも長周新聞さん取材されてました。
名古屋も、人・人・人・・・でした。