◇ 奈良
れいわ新選組の山本太郎代表は東海ツアーに続き、12月1日から関西ツアーに入った。初日のJR奈良駅東口前、2日にはJR和歌山駅前で街頭記者会見をおこない、れいわ新選組の政策を訴えるとともに参加者からの質問や提言に答える対話が白熱した。各地で次期衆院選のたたかい方をめぐる野党共闘についての質問や意見があいつぎ、政治の私物化や切り売りによって地方を疲弊させてきた与野党の旧勢力を退場に追い込む必要性とともに、市民に根ざした新しい政治勢力をいかに最大化していくか ―――という問題意識が渦巻いていることを反映した。
古い政治との決別
奈良駅前では、親子連れ、学生、高齢者など多くの人人が集まり、世代をこえてさまざまな質問が飛んだ。親権をめぐる問題、女性の貧困問題、生活保護の考え方、教育政策、憲法改定、軍備、野党共闘の可能性などの多様な意見や質問に対して、山本代表はれいわ新選組の八つの政策を絡めながら応答し、新しい政治勢力を国会に送り込むため、在野の力を横に広げていくことを呼びかけた。
「山本さんは消費税5%を第一段階の目標にして野党共闘を目指しているが、現在のところは共産党以外の動きが見えない。野党のなかからもれいわ新選組に入ってくる議員はいないのか」との質問に対して、山本代表は「れいわ新選組は消費税廃止を目標にしているが、次の衆院選で野党が政権交代を目指すためには少なくとも5%に下げることを共通政策にしてまとまることが必要だと考える。そうでなければ政権交代などできないし、すぐに廃止できなくても減税によって人人の生活を底上げできる一番の近道になる。ただ他の野党は別会社であり、最終的に乗ってこない可能性がある。だとすれば、私たちは自分たちの議席を増やすことをしなければならず、野党側の候補者にも遠慮することなく候補者を擁立する。私たちは現在2人の極小グループから、選挙を通じて中規模グループにまで拡大してその先に進みたい。野党共闘に乗れば私たちの議席は増えないが、多くの人たちが苦しんでいるなかで消費税5%で一致できるのならその方がいい」とのべた。
ただ「野党共闘についてはまったく進んでいない。消費税5%という最低条件をクリアできるかどうかという簡単な話だ。できないのであれば独自でやる。小沢氏や森裕子氏(元自由党)も今は別会社の人であり、後押しをしてくれるという話はない。それぞれがどうしていくのか戦略を練っている段階だろう」とのべた。
関連して別の男性からは「衆院選は小選挙区で勝たなければいけない。前回衆院選では地元選挙区の馬淵澄夫氏(奈良一区・衆議院議員)が野党共闘の候補者として出馬して8万8000票を取りながら、自民党・小林茂樹氏の9万票に負けた(馬淵氏は比例復活)。一方、共産党は2万票だった。ここで共闘できていたら選挙区で自民党に勝っていた。次の選挙をいかに効果的にたたかうのか」との質問もあった。
山本代表は「今ここで具体的なことは宣言できない。ただ馬淵氏は以前から減税を掲げておられ、私はリスペクトもしている。野党統一候補を勝たせるためには私たちは立候補者を立てられないが、野党が消費税5%に乗らずそれぞれが別別にやるのなら独自候補を立てなければならない。馬淵氏がどのような動きをするのかも現時点ではわからない。最も勝算のある野党の候補者を推すのが最善だと考えるが、消費税減税という争点を横に置いてふんわりと“一緒にやろうぜ”という話にはならない。ここで妥協するのなら私たちは最初から旗揚げなどしない。新しい政治と古い政治とを決別する時期をいつにするか。一度遅らせるか、遅らせないかの話だ。消費税は上げろ、TPP推進という与党と変わらない野党議員には落ちてもらわなければいけない。決別することを決めた以上は、私たちは独自に比例票を積み上げ、議席を上乗せすることを考える。新政治と旧政治という位置付けをする以外にない」と断言した。
憲法守らぬ詐欺行為
憲法問題をめぐっては、「私は憲法を変えることを拒絶する立場ではないが、現政権は憲法を変えずに解釈の変更で平和安全保障法制なる法律をつくり、自衛隊を米軍の二軍として危険な補給作業をさせるようにした。そのように憲法を守らない詐欺師的な人たちが憲法改正をすること自体がありえない。変えるのなら、そのような詐欺行為を禁じる憲法にすべきだ」とのべ、貧困化を進めて憲法で定める「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を剥奪し、消費税を上げて法人減税を穴埋めすることで大企業を優遇し、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない」(憲法一五条)に反して、お友達優遇の特区制度、金融分離課税、米国いいなりの武器購入や貿易協定など「一部の奉仕者」となった政治を覆すために権力を取り戻すことを訴えると強い拍手に包まれた。
「日本が自立するためにいかに軍備を確保するのか?」という質問に対しては、「2018年で日本の軍事力指数は世界8位だ。どこまで広げたら満足なのか。それは軍拡競争にしかならない。核ミサイルを持てという人がいるが、日本の沿岸には50基以上の原発があるなかで、一発撃ち込まれたら広範な地域が壊滅する。中国が! 韓国が! 北朝鮮が! という人ほど原発の即時撤廃を政府に求めるべきではないか。事実、米国は無人爆撃機でモスクや結婚式場まで狙って無差別殺戮をしている。日本が恨みを買って敵国をつくれば、莫大な被害を与えうる原発は当然標的として狙われる。それならば“保守”と呼ばれる人ほど原発の即時撤廃を叫ぶべきだと思う。世界的に見れば日本は国連の敵国条項による保護観察の身分であり、米国のポンコツ兵器を高値で買わされて実験場にされているのが現状だ。専守防衛に撤し、必要なもの以外は買わないのが筋だ」とのべた。
また、消費税廃止のための財源としての国債発行とかかわって、「政府の借金=国民の資産」の仕組みや、税制とは「予算(支出)を組む」ためのものではなく、不景気のときには引き下げて需要を喚起し、景気が需要をこえて加熱したときには引き上げて悪性インフレを防ぐビルト・イン・スタビライザー(景気安定装置)としての役割があることを時間を割いて説明し、消費税廃止によって困窮する社会全体を底上げしようと訴えた。
◇ 和歌山
JR和歌山駅前では、参加者から在日外国人の待遇、低投票率選挙を乗りこえる方法、奨学金徳政令、和歌山県内で進むメガソーラーや風力などの大規模再エネ開発、懸念される中間貯蔵施設計画などの質問・意見が出された。
「政策で統一できなくても野党と結束して安倍政治と対峙するつもりはないのか」との意見もあり、山本代表は「言葉だけの野党共闘に意味はない。消費税を必要として今後は上げていくべきと考えている人たちと、消費税廃止を目指す私たちとでは描く将来のデザインがまるで真逆だ。どちらを選ぶのかを有権者に問わねばならない」とのべた。
続けて「5割が投票権を捨てるなかで、与党がわずか3割の得票で支配しているのに、野党でありながら与党側にいるかのような貴族のようなたたかい方では政権交代はできないし、壊れていくこの国と人人の生活を立て直すことはできない」と強調した。聴衆からは大きな拍手が沸いた。
「地方に対して札束で頬を叩くような」原発立地と同じやり方で大規模発電施設が押しつけられていることについても「再エネといえば聞こえはいいが、巨大な発電設備で地域や環境を破壊し、その恩恵は都市部が享受する。そのため地方への交付金を削って干上がらせて国策を押しつけるものになっている。小規模発電を地域ごとに確保する発電方法にこそ投資が必要だ」とのべた。
献身するボランティア
各会場で献身するボランティアや参加者たちは、みずからの境遇を重ねた切実な思いを抱きながら、各地域の緩やかなネットワークを横に広げている。
奈良市で街宣ボランティアに参加した子ども連れの母親(20代)は、「福島原発事故後に東京で放射能から子どもを守る会に入って活動していた。だが陳情しても議会で議員は居眠りをしていた。子どもの甲状腺検査をすると半分くらい異常が見つかり、もう限界だと思って地元奈良に帰ってきた。それまで私も選挙に行かない人間だったが、当事者の声を代弁する山本太郎さんと出会って政治に意識を持った。ただ旧来の野党のように“アベ政治を許さない”というだけの自己主張では若い人には響かない。選挙に無関心な人たちの生活の実情や思いに分け入って、その人たちに丁寧に語りかけることが大切だと思う」と話した。
奈良市のポスター行動に参加した女性(50代)は、「れいわ新選組から参院選に立候補した渡辺照子さん(元派遣社員)の経歴が自分と重なるものがあって支援するようになった」という。
「夫が48歳で仕事中にくも膜下出血で倒れ、8年間意思の疎通もできない植物状態のまま3年前に亡くなった。会社の方はとても気を遣ってくれたので恨む気持ちはないが、植物状態にもかかわらず病院からは3~6カ月で出される。在宅介護は不可能なのに、転院先は自分で探さなければならない。夫も亡くなるまでに2回転院した。しかも、植物状態になると介護をする手間が減るという理由で要介護度4に落とされた。今の医療や介護制度はどうなっているのか……という壁に直面した。夫の死後、私は長年パートで勤めていたスーパーのレジの仕事を辞めて今は派遣会社に勤めている。それでも3年で辞めなければならないが、50歳すぎの女性が働ける場所は限られている。求人があってもフルタイムで働けず、社会保障に加入できなければ生きていけないのに年金や健康保険も入れてもらえない。そんな女性たちの思いを当事者として発するれいわ新選組の登場に救われた思いがして、ポスター貼りの行動を始めた。消費税を廃止して雇用を増やすこと、それによって私たちのような人間も安心して働いていける社会にしたい」と意気込みを語った。
和歌山でも参加者から「地元には自民党の二階幹事長、世耕弘成(元経産相)、石田真敏(元総務相)、竹中平蔵などが政財界におり、国民民主党の議員も原発もカジノも推進だ。有権者にとっては与野党ともに選択肢がなく、新勢力を立ててほしいという要求が強い」「県南部は過疎が進み、過去に4回も原発誘致計画(白紙撤回)があり、今もその土地を関西電力が保有し、今度は核ゴミの処分場にする動きもある。山にも海にも外資系の風力やメガソーラーが誘致され、まるでゴミ捨て場のようにされている」と語られ、地元を食い物にしてきた既存勢力とたたかう県民の思いをれいわ新選組を基点に形にしていくことを求める声が強く語られた。
奈良街宣、地元でしたので参加してきました。
ヤラセ、とかネットで書いている人もいますが正真正銘ガチでやってますよ(^^)
秘書さんのあざやかなパネル検索や太郎さんとのやりとりも手に取るように見ることができました。
終盤、どちらかといえば裕福な層の頭の固い御年寄を煮詰めたようなキャラのおじいさんがスタッフさんに何度か止められながらも最前列に入ってきて、中国の消費税は日本よりもっと高い、あんたはアホとか、あんたらこんなん応援しとったら終わりでっせ、と一方的にわめいて帰られましたが、好きなことを言うだけ言ってその後は後腐れもなく帰られました。
YouTubeでは感じ取ることが出来なかった、現場での太郎さんやスタッフの方の対応を見て感心した次第です。
時々現れる、昨日の年輩者のような感じの視聴者の方への、山本太郎さんのご対応は、ホントにいつもながら、感心、感激させらます、素晴らしいです、尊敬します、
写真速報ありがとうございます。聴衆が多いことにびっくりします。参加された方のコメントにもとても楽しい気分になりました。最後のおじいさんのトンデモ発言も、おおらかに笑って見ている様子のれいわファンの皆さまに、拝読して心がほっこりしました。
いよいよ今週木曜日は私の住む大阪です。「山本太郎が来る!」というビラまき、頑張ります。