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グアムにおける米軍駐留への抵抗 ー『デモクラシー・ナウ』の放送からー

 アメリカの独立系メディア『デモクラシー・ナウ』は11日の放送で、「グアムで米軍駐留への抵抗拡大」と題して、北朝鮮がアメリカの威嚇に対抗してグアム周辺へのミサイル発射を公言したことを機に、米国領土であるグアムが核戦争の標的となることを拒否し、植民地的な軍事化からの脱却を求める現地先住民の声が高まっていることを伝えた。

 

市民権与えず不沈空母扱い 米軍最大の弾薬庫

 

 グアムはアメリカが準州として位置付けた植民地であり、対外的にはアメリカの領土である。だが、先住民であるチャモロ人にはアメリカ国籍を与えるが、全米各州と対等の市民権は与えられていない。そのもとで、グアムは島民の意志や生命を無視したところで、アメリカ本土を守るための「不沈空母」「ヤリの先端」として扱われてきた。

 


 グアム島の北端には、深いジャングルの中に巨大な空軍基地がある。その滑走路の脇には流線型のB1爆撃機の一群が並び、西岸には攻撃型原子力潜水艦の艦隊が停泊しており、さらに人目につかない米軍施設がある。グアムは「米軍の弾薬とミサイルの最大の貯蔵庫」といわれている。

 

 番組は、アメリカ国防総省(ペンタゴン)がグアム全土の3分の1を管理しており、米軍基地が広大に占拠していること、とりわけ空軍基地は朝鮮半島の上空を飛ぶ米軍のB2爆撃機が発進する場所であることを強調した。また、住民が何十年もの間、彼らの島が米国によって軍事化され、植民地化されることに粘り強く抵抗してきたことを伝えた。さらに、その蓄積のうえに、トランプ政府の北朝鮮に対する核威嚇と、日本をも従えた軍事対決への言葉の応酬のもとで、核戦争の危機の増大とともに、その標的にされることへの抵抗が拡大していることを明らかにした。

 


マリアナ諸島を出撃基地化


 グアムの『パシフィック・デイリー・ニュース』の第1面に「14分!」という見出しが出た。これは、「アメリカと北朝鮮による核戦争の威嚇が深刻化した場合、北朝鮮がミサイルを発射し、西太平洋にあるこの米国の領土に届くまでの時間」である。

 

 番組では、この新聞を発行するグアム平和正義連合代表で脱植民地化に関するグアム委員会委員のリサリンダ・ナティビダド(グアム大学教授)と、『米軍基地がやってきたこと』の著者であるデイビッド・バイン(アメリカン大学准教授)へのインタビューを伝えた。

 

 ナティビダドは2年前、国際女性代表団の一員として北朝鮮を訪問している。彼女は、グアムの知事らが買収されている一方で、「私たちには、軍の存在に対する抵抗を持ちつつ来た数十年にわたる長い歴史がある。だが過去10年間で、島民の抵抗は飛躍的に成長してきた」と強調した。それは、2006年、アメリカと日本政府が沖縄から韓国にいたる8000人の海兵隊をグアムに移転することに同意したことが契機となったとのべた。さらにその理由として、米兵の移駐によって基地が島内で占める比率を45%に増やし、グアムだけでなく近隣のテニアンやサイパンと合わせたマリアナ諸島全域を出撃基地化するということを知ったことをあげた。

 

 彼女は、そのような島民の抵抗を増大させてきた歴史的な根拠として、「第2次世界大戦中にグアムが、日本軍によって占領された3年間に、激しい戦場となった」ことをあげた。アメリカと日本の戦争のためにマリアナ諸島が悲惨な戦禍を強いられた忌まわしい経験が島民の肌身に焼き付き受けつがれていることが大きいと語った。そして、歴史的にグアムが置かれてきた「(スペインからアメリカの支配にいたる)植民地的な地位が、大国同士の戦争の大きな危険にさらされてきたことへの怒りを募らせてきた」ことを強調した。

 

 実際、日本の淡路島ほどの広さで、人口16万3000人のグアムに、米兵とその家族1万9000人がひしめき、基地が島の約半分を占める事態が押しつけられようとしている。チャモロ人は、大統領の選挙で投票することはできず、選出された連邦議会議員は法律の議決に参加する資格は与えられていない。

 

 

植民地脱却を目指す闘いへ


 番組のもう1人の発言者、デイビッド・パインは、「現在、米国は50州とワシントンDCの外に、約800の米軍基地を保有している」が、そのなかで、グアムがアメリカ領土とされているのに、「事実上、それを外国として扱っている」ことの異様さを指摘した。ある将校が記者団に、「私たちは、ここで思い通りにやることができる」と語ったが、実際に「軍はグアムとグアムの人人を何十年もそのように扱ってきた。グアムは植民地だ」と強調した。

 

 さらに、日本政府の対応について、「ワシントンと北朝鮮の言葉のように、マッチョな姿勢が強い」と、対話への道筋で役割を果たすことを求めた。また「韓国と日本の間には、米軍を駐留させる200以上の基地がある。フィリピンその他の地域にも多くの基地が存在する。アメリカの国境の近くに中国や北朝鮮やロシアの基地が1つあればアメリカはどのように感じるか」と問いかけた。

 

 ナティビダドはこれに関連して、グアムのチャモロ人には「アメリカ社会の標準的な失業保険や社会保障などがない」ことをあげた。そして、地政学的な戦争ゲームの新たな標的となることを拒否し、「軍事基地への抵抗とともに、植民地問題に対処し政治的地位の問題を解決する運動」として、たたかいに参加する者が増えていることを明らかにした。

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