北朝鮮が核実験をしたと発表した。東北アジアにおいて核戦争をめぐる緊張が激化することはゆゆしいことである。日本や韓国には米軍が大規模な核攻撃態勢をつくり、それに対峙して中国、ロシアに加えて北朝鮮が核武装して対抗する。このようなアジアと日本を廃墟にしかねない核兵器はすべて廃棄させるのが日本とアジアの人民の共通の要求である。
この朝鮮の核実験に対してブッシュ政府とともに安倍政府は、国連における「北朝鮮の制裁」決議をやるといっている。この制裁は正確には、核実験をやったから制裁するのではなく、前から制裁をしてきたが、その制裁をエスカレートするというものである。ブッシュ政府は、ニューヨーク・テロ事件の後に、イランなどとともに朝鮮を、「悪の枢軸」と名指しし、「核の先制攻撃」をも唱え、最近では金融制裁を実施してきた。小泉政府も拉致問題をめぐって経済制裁を実行し、ミサイル発射問題では「敵基地の先制攻撃」などと叫んでいた。
朝鮮が核保有国になろうとするのは、アメリカ軍が日本や韓国、そしてその周辺の海域、空域から圧倒的な核攻撃の態勢をとっているからである。日本の政府は日米同盟オンリーの立場に立ち、米軍再編に3兆円も提供して加担し、核攻撃態勢に前面にたって加担している。自分たちの側は核攻撃の権利を持っているが、攻撃される側には核武装してはならないというのは、言いなりの奴隷になれというヤクザのやり口であり、日本民族としては恥ずかしい主張である。
朝鮮が核保有国になったといっても、その核兵器を使用する時は、自国が核攻撃を受けて壊滅するなかで、自暴自棄になったときだけしかありえない。したがって実際には政治的な駆け引きにしか使えないものである。これをみだりに騒ぎ立てるのは愚かなことである。
朝鮮に核武装をやめさせるには、「日本にある米軍の核基地を撤去させるから朝鮮もやめよ」というのでなければならない。自分の側は攻撃するが、相手は攻撃してはならないという主張は緊張関係を激化させるためのものである。一方的な自己主張だけをして、相手の側にたって考えることもできずに、戦争に突き進むのは愚かなことである。国際的な紛争は、武力に訴えて解決しようとするのではなく、平等互恵の立場で話し合いで解決するのが、第2次大戦の痛ましい経験にもとづく教訓である。