小泉政府は自衛隊をイラクに派遣し、商業マスメディアも政党もそれが「国際貢献」であり「人道支援」だという宣伝につとめ、批判意見が表に出ないという異常な状態になっている。人人は語っている。「日本の国民をたいせつにしない政府が、よその国に行っていいことをするわけがない」。また大多数の大衆は、ロウソクをたいたり、うたったり踊ったりハダカになったりという「反対」にへきえきしている。
小泉政府は「グローバル化」でアメリカの基準にあわせるのだといって、市場原理、自由競争を宇宙の絶対真理のようにやってきた。それはアメリカ資本が自由に日本市場を食い荒らし、一部の独占大企業が生きのびるために、権力をほしいままにした独裁であり、下下にとっては失業と首つりの自由と自己責任であり、無惨な犯罪社会であった。そして国民の声はメディアにも政党にもとどかないし、立派な戦時中の「大本営発表」がまかりとおっている。まさに日本の国民をさんざんに愚弄し切って捨ててきたものが、それでは飽きたらずによその国に行ってひどいことをするのだろうというのが日本人の普通の感覚である。
イラクへの自衛隊派遣は、世界の常識から見ると、アメリカの石油強盗のために人殺しの手伝いをしに行くのであり、やがてイラクの大衆の怒りのマトとなることは明らかである。イラクの米英占領当局は、現地雇いの軍隊や警察をイラク国民の前に立たせ、自分たちは町を離れたところにたてこもっている。イラク国民をみな敵とみなしており、うらまれている不法占領者だからである。
イラクにたいして、フランスとドイツは米英とは異なった態度をとっている。というのは湾岸戦争からのち、国連を使った経済制裁のあいだ、仏独露各国はイラクとの取引をすすめ、石油利権を持ったほか、フセイン政府側もドルを排除してユーロに切りかえてきたという事情がある。ここにあるのは帝国主義間の鋭い市場の奪いあいである。
アメリカは、大量の破壊兵器でイラクの国土をさんざんに破壊し、復興需要をつくりブッシュ政府の実権者であるチェイニー副大統領らのブレーン企業が法外な利権を手に入れている。そして石油の販売代金を握り、医療費や教育費無料などの社会主義的制度を撤廃し、国営企業を売却し、自己負担・自己責任の「自由と民主主義」制度にして、アメリカ基準で植民地にするというものである。
このイラクが受けている屈辱は、ほかでもなく日本が受けてきた屈辱である。原爆という人類史上もっとも凶悪な兵器を投げつけられ、占領され、アメリカ型の改革をやられ、そしていまやアメリカの国益のための戦争に日本を総動員し、アジアや世界の国国とふたたび対立し孤立するという愚かな道をすすんでいる。イラクは占領にたいして大多数が命をかけてたたかっているが、日本の大勢は従順に従い現在の無惨な結果になった。かわいそうなイラク国民に恵みを与えるという「イラク支援」宣伝は、世界の目から見たら恥ずかしいことである。
戦争を阻止し平和を実現するには、戦争放火者であるアメリカの犯罪についてはっきりと糾弾し、独立を実現するたたかいと結びつけなければならない。日本の独立と平和、民主と繁栄を要求するたたかいが、イラクや各国の民族が独立を求めてたたかうことと連帯することであり、それこそが日本人民の国際貢献である。