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<論壇>米国の下請やめさせる事がイラク人民への連帯

 小泉首相は、自衛隊のイラク派遣を「人道復興支援に行くのであって、戦争に行くのではない」と叫んで送り出した。「支援に行っているのに攻撃を受けたら反撃するのは正当防衛だ」といって武力参戦に道を開くものである。だれが見ても米軍の指揮下に入り武力による戦斗のために行くのに、それを堂堂といえないへっぴり腰と、2枚舌の欺まん性および強行ぶりをあらわしたものである。


 イラクの国民は生活に困っている。石油がなく電気がなく職もない。それはアメリカの大量の爆弾によって殺され、破壊されたからであり、戦争につづいて占領され、軍や行政機関を解散させられ、国営企業を売り飛ばされ、アメリカ多国籍企業の荒稼ぎのエサにされているからである。アメリカは戦争の理由をあれこれいってきたが、要するに石油を略奪し、復興需要にまぶりつき、イラクを国ごと植民地にするためであったからである。


 イラク国民を支援することは、困難の原因である米英軍の占領という根本問題に加担する側から、戦争と占領の結果としての生活の困難にたいする「援助」をしてもインチキとしかみなされない。日本の敗戦後の「ギブミー・チョコレート」というわけにはいかないのだ。イラクの国民が、不当な占領に反対し民族主権の回復をめざして身を挺してたたかっているのは、民族として誇りあることである。


 イラクへのほんとうの支援は、アメリカに不正義の占領からの撤退を要求することであり、イラクの国民が自分たちの主権によって復興することを援助すること以外にない。小泉政府の自衛隊派遣は、石油泥棒のアメリカの要請で、その占領軍の指揮下に入って泥棒の下請をするものであって、いくらかの「人道支援」というものはごまかしにしかならない。したがって若い自衛隊員が攻撃対象となるのは当然予想されることである。


 いま多くの戦争体験者のなかでは、日本が占領されたときと比べて、イラク国民のたたかう態度が立派だと語られている。「鬼畜米英」「本土決戦」と叫んでいた支配層が敗戦になると、ころっと態度を変え、マッカーサーにもみ手をして、原爆や空襲などでおびただしい非戦斗員が殺されたことも、命を助けてくれ金もうけさせてくれたといって感謝する流れが支配してきた。その結果が現在の、民族の背骨がぬかれたデタラメ社会であり、アメリカの国益のための戦争に声をはり上げて若者を追い出す総理大臣があらわれるところまできたというものである。


 イラクの支援は、豊かな日本がかわいそうなイラク国民を助けるという問題ではない。アメリカからがんじがらめの縄をかけられ植民地状況をつづけてきて、失業者があふれ自殺者は3万人になり、いまや日本本土をもアメリカのための戦場にして廃虚にしようという、情けない日本の現状をどう誇りある立派なものにするかという問題である。


 日本がアメリカの従属下で植民地的荒廃にまみれることに「しかたがない」と敗北するものはイラクの人人の斗争に冷やかとなるほかない。いかなる困難があっても日本を独立させ自分たちの力で平和で豊かな社会を建設しようというたたかいが、強大な権力を行使するアメリカにたちむかって独立を求めるイラク人民の斗争を支持し連帯する関係であり、戦争を押しとどめる力である。

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