ロシア研究者や国際政治学者などでつくる「憂慮する日本の歴史家の会」が4月29日に開催したオンラインシンポジウム「再論:ウクライナ戦争を一日でも早くとめるために――憂慮する歴史家があらためて訴える」より、青山学院大学名誉教授・羽場久美子氏(国際政治)の講演内容を紹介する。
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アメリカの世界戦略――NATO拡大とロシア弱体化
アメリカの世界戦略は「価値の同盟」――いわゆる民主主義vs.専制主義という流れのなかで、専制主義を弱体化し崩壊させる(民主化する)――ということが、冷戦終焉後の1989年以来継続する非常に長期的な課題であった。
はじめに問題設定として、一連の疑問をのべておきたい。
・なぜアメリカはこれほどまでにウクライナを支援し続けるのか。
・なぜアメリカは強力な破壊兵器を次々にウクライナに送り込むのか。
・なぜアメリカはNATOの拡大を望むのか。
・なぜ欧州でOSCE(全欧安保協力機構)が機能しないのか。
・なぜ欧州の不戦共同体(和解)が機能しないのか(欧州は戦後、ドイツとフランスを中心にに不戦共同体をつくっている)。
・なぜ現在、フィンランド、スウェーデンはNATO加盟を検討するのか(これまで欧州はアメリカとは違う立場をとっていたが、ウクライナ戦争のなかでアメリカの軍事戦略に同調する姿勢が強まっている)。
・なぜアメリカは停戦に反対するのか。
ロシア・ウクライナ戦争は、アメリカを軍事・経済・政治すべてにおいて、有利にしたということができる。だからこそ数年でも、ロシアが崩壊するまでも、戦争を継続することがアメリカの利益であると考えていると思われるが、これを継続すれば、支援対象であるはずのウクライナそのものが国家的に崩れてしまう可能性がある。ロシアも、最新の破壊兵器によってすでに多くの兵士が亡くなっているといわれるが、これが数年続けばロシアの決定的な弱体化も避けられない。
興味深いことに今年3月、ISA(世界国際関係学会)の国際会議でジョセフ・ナイ(元米国防次官補)は次の6つのことに言及した。
①「ロシアのウクライナ侵攻は世界政治の方向を転換させた」。とくにドイツやNATOの政策転換。すなわち紛争地への武器供与を可能にし、抑えていた防衛費を二%に増額し、加盟国外への軍事支援をこれほど多くの国が積極的にうち出した。これは初めてのことだ。これにより軍事化の歯止めがなくなった。
②「主権と領土保全の基本原則には変化はないだろう」。つまり国際法は遵守されるだろう。
③「ロシアのウクライナ侵攻はアメリカと西側世界を結びつけ、それらの世界を著しく有利に変えた」。
④「ロシアは軍事力、経済力、ソフトパワーを失った」。
⑤「中国はソフトパワーを失った。制裁の経済的影響も今後拡大していくことになろう」。
⑥「価値の同盟」(民主主義権威主義)における「権威主義の強力な軸は損なわれた」。つまりロシア、中国、中東、中央アジア、アフリカなどのパワーがこれによって激減した。
このようなナイ発言を踏まえながら、問題を見てみたい。
国連からNATOへシフト 米国の戦略転換
この1世紀の経過を見ると、アメリカは後進の帝国主義として、第一次、第二次世界大戦では、戦争を終わらせるための新たな国際機構を創設してきた。
第一次世界大戦ではウイルソンが参戦するさい「戦争を終わらせるための戦争」を提唱し、14カ条を基礎とする「国際平和機構」としての国際連盟を確立する。だが、ここには大国は入らなかった。その結果、20年をへて第二次世界大戦が始まる。ここでも参戦したルーズベルトは、基本的には第二次世界大戦のさなかから新たな国際機構を模索することになる。ダンバートン・オークス、ヤルタ、サンフランシスコにかけて、スターリン(ソ連)、チャーチル(英国)とともに国際連合を構想する。ここにソ連と中国が入っていたことは重要だ。
すべての国が加盟する新国際秩序を、第一次、第二次大戦のときにはアメリカが提唱し、今やアジア、アフリカ、ラテンアメリカのすべての国が参与した。この段階で、これは必ずしもアメリカにとって有利ではないと考えて、アメリカは政策転換する。
最大の誤りは、冷戦終焉後、国家の上にある国際機関の役割を国連からNATOへと移譲させたことだ。1991年にソ連邦が崩壊し、ワルシャワ条約機構も解体した後、実はNATOも解体する予定だった。NATO内部でも話し合いがもたれたが、ローマ宣言でNATOは「危機管理の同盟」として改組されることになる。つまり、テロや地域紛争に介入するための同盟ということで、一挙に領域が世界全体に拡大した。いわゆる「世界の警察」という役割を負っていくことになる。だが、実際には対ソ軍事同盟の役割は変わらず、その拡大は戦争を挑発していくことになる。
資料をたどると、1990年2月9日、当時の米国務長官ジェームズ・ベイカーがソ連のゴルバチョフ書記長に対して、ソ連がドイツ再統一を認めるのであれば、NATOは東側に1インチも進まない、と語っている(ゴルバチョフ・ベーカー会談記録)。
これは言った、言わないの論議があるが、つい最近もゴルバチョフは言及しており、「もし米国がNATOの枠組みでドイツでのプレゼンスを維持するなら、NATOの管轄権もしくは軍事的プレゼンスは一インチたりとも東方に拡大しない。そうした保証を得ることは、ソ連にとってだけでなく他のヨーロッパ諸国にとっても重要なことだ」とのべている。
1998年5月、ジョージ・ケナン(米政治学者)は『ニューヨーク・タイムズ』で「NATOの拡大は、新たな冷戦の始まりを生むだろう。ロシア人は強く反発するだろう。ロシアの政治にも影響を与えるだろう。それは悲劇的な過ちだ」とのべている。それでもNATOの拡大は始まっていく。
NATO拡大とロシア 米と欧州に温度差も
米ソ冷戦の終焉は、一時は米ソの歩み寄り(和解)と見なされたが、米国側は基本的には「民主主義の勝利」「ソ連の敗北」と位置づけた。1991年のソ連解体、ウクライナの独立という流れのなかでその考え方は強まっていく。
そして、東欧の民主化以降、東欧自体がNATO加盟を望み、NATOに急接近していった。NATOは1999年にチェコ、ハンガリー、ポーランドに拡大し、セルビア空爆、コソボ紛争に参加していく。2000に年5月には、ロシアが準加盟国扱いとなり、「NATOロシア理事会」ができた。だが、実際にはロシアは単なるオブザーバーにとどまり、決定や政策化プロセスには参与できない「お客様」扱いだった。
その直後の2004年、東欧7カ国(ブルガリア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、スロバキア、スロベニア)が加盟し、アフガン戦争やイラク戦争に参加する。「NATOは仲良し同盟ではなく、軍事同盟」であることが強調され、加盟は戦争参加を意味するとして、新たな加盟国を次々に戦争に連れ出していく。
さらに2008年4月、ブカレストサミット(NATO首脳会議)宣言で、ウクライナ、ジョージア(グルジア)への拡大が承認されることになる。
その後もNATO拡大は、2009年にアルバニア、クロアチア、2017年にモンテネグロ、2020年には北マケドニアが続き、あっという間に加盟国は30カ国になる。だが将来的に加盟が約束されたジョージアもウクライナもロシアとの戦争へと発展した。
最近、テレビに知識人が出てきては「ジョージアとウクライナへのNATO拡大は誰も約束していない」と発言しているが、それは違う。当時ドイツ、フランスは反対したものの、NATOが公開しているブカレストサミット宣言(2008年4月3日)には、ウクライナ、ジョージアへの拡大が明記されている。
同宣言第23項には、「NATOは、NATOへの加盟を望むウクライナとジョージアの要求を歓迎する。我々は本日、これらの国がNATOの加盟国になることに合意した。両国は同盟の活動に貴重な貢献をしてきた。ウクライナとジョージアの民主的改革を歓迎し、五月のジョージアでの自由で公正な議会選挙を楽しみにしている」とある。
さらに「MAP(加盟のための行動計画)への参加は、ウクライナとジョージアが直接加盟国になるためのステップだ。本日、これらの国のMAP参加を支持することを明確にした。ゆえに我々は今、彼らのMAP参加に関し未解決の問題に対処するため高度な政治的レベルで双方との集中的な関与への移行を開始する。我々は2008年12月の会合で各外相に進捗状況の最初の評価をおこなうよう要請した」と、採点することにまで言及して記されている。これが、ウクライナに対してNATO拡大を認めていないということには、まったくならない。
この4カ月後にロシアは、グルジアに侵攻(5日間戦争)し、南オセチア・アブハジアに「中立地帯」をもうけて、ロシア軍を駐留させて現在に至る。このとき米軍は必ずしも深く関与はしなかったが、これを教訓としてウクライナには続々と資金支援、武器支援をおこなっていく。
ウクライナでは2010年にヤヌコヴィッチ大統領が当選し、再びロシア側にシフトしていくなかで、これに対抗する形で2014年に「マイダン革命」が起きる。これ以降、アメリカ、イギリス、NATOは積極的にウクライナ支援をしていくことになる。これがグルジアとは大きな違いで、グルジアへのそれとは比較にならないほどに関わっていく。
2014年9月11~13日、YES(ヤルタ欧州戦略会議)が、ヤルタ(クリミア内)がロシアに併合されたため、キエフでおこなわれた。これに私も参加したが、欧州中の首脳や外相、アメリカ大使などによるトップ会談となった。ただ、このときすでに欧州とアメリカの温度差が顕在化していた。
欧州議会議長は、「欧州連合欧州議会はウクライナを支援する」としながらも、「危機への軍事的解決はない」「ロシアなしに政治的解決はない」としている(公式HPに記載)。その一方、アメリカとNATOは積極的にウクライナに関与していくことになる。
マイダン革命直後にキッシンジャー(元米国務長官)は、『ワシントンポスト』(2014年3月5日)で、「ウクライナは、二つの異なった部分からなる。ガリツィア(西ウクライナ)が東を支配しようとすれば戦争になる。だからフィンランドのような、戦争の緩衝地帯にすべきである」と提言している。
ミアシャイマー(シカゴ大・国際政治学者)も、「ウクライナへのNATO東方拡大は1962年のキューバへの核ミサイル配備(キューバ危機)と同じだ。ウクライナのような東西のはざまの地域は中立化が望ましい」と、「ロシアの柔らかい下腹」と呼ばれるウクライナに続々とミサイルを配備することがいかに危険であるかを保守の立場から説いている。
にもかかわらず、バイデンはNATO拡大を促進し、武器供与を続けた。ここにバイデンの意図がある。ロシア侵攻前、つまりマイダン革命以降の8年間をかけて米国はウクライナに武器、資金、政治にわたって次々に供与をおこなってきた。
マイダン後の米ウ関係 政治・軍事で密接に
マイダン革命後、ゼレンスキー以前の大統領だったポロシェンコは、バイデンとの密接な関係をつくっていく。当時オバマ政権の副大統領だったバイデンは、ウクライナを何度も訪問している。
2014年6月にポロシェンコ大統領が選ばれると同時にヤツェニュクが首相に就任する。米政権でウクライナ問題を担当していたヌーランド米国務次官補(現・米国務次官)が、マイダン革命前にヤツェニュクを首相候補として指名しており、難色を示したEUについて、彼女は電話で「Fuck the EU(EUくそったれ)!」と悪態をついていたことが盗聴記録の流出によって報道された。彼女がその事実を否定せずにEUに対して謝罪していることからも、新政権にはアメリカが関与していたことがうかがえる。
ポロシェンコは、ウクライナ憲法にNATO・EU加盟を目指すことを明記し、NATO加盟を推進した。当時、ハンター・バイデン(バイデン大統領の次男)は、ウクライナの国営天然ガス会社「ブリスマ」に年間100万㌦のコンサルタントとして入社している。マイダン革命直後の14年4月、副大統領である父親がウクライナを訪問し、ブリスマの幹部と面談した11カ月後のことだ。
アメリカの関与は、資金支援から武器供与へとシフトしていく。2014年9月19日、ポロシェンコは訪米して武器支援を要請。ホワイトハウスで「毛布では勝てない」と訴えた。オバマ米政府は同日、これまでウクライナに支援した2億9100万㌦(約310億円)の援助に加え、5300万㌦(約57億円)の追加支援を発表した。国際支援組織に人道面で資金提供するほか、軍事物資を提供することを表明した。
ベトナムメディア『VOV World』によればこの日、アメリカ政府はウクライナ軍に対する4600万㌦(約50億円)規模の支援を表明し、さらに軍事援助を含む3億5000万㌦(宇約380億円)の追加支援を約束した。合計すると3億9600万㌦(約430億円)という規模だ。
ポロシェンコは、その支援を受けてウクライナ東部(ドンバス)で内戦を始める。1万人近い人々が、ウクライナ軍とドンバス民兵団の双方で亡くなったといわれる。これに対して当時のドイツのメルケル首相、フランスのオランド大統領が仲介し、さらにOSCE(全欧安保協力機構)の監督の下で、ミンスク議定書(2014年11月)につづく、「ミンスク合意2」(2015年2月)が承認される。
「ミンスク合意2」の内容は現在でも極めて重要だ。すなわち、①戦闘の停止、②前線からの重火器の撤去、③ウクライナ法に基づいた地方選挙、④恩赦と捕虜の釈放、⑤人道援助と社会保障、⑥外国軍と傭兵の撤退、⑦非集権化憲法の改正だ。ただし緩衝地帯の設置を実現できず、合意は守られなかった。緩衝地帯に国連軍などの中立軍をいかに入れていくかが重要だと思われる。
強まる米国の武器支援 ゼレンスキー登場後
2019年5月、東の一部住民(12%)を除く大統領選挙で、ゼレンスキーが勝利するとアメリカの戦略的関与はさらに積極化する。当初、ゼレンスキーはロシアと融和を図ろうとしたが、オリガルヒの親ロシア派を国家反逆罪で逮捕し、ロシアへの対抗姿勢を強めていく。
2021年に米政権に就いたバイデンは「価値の同盟」を説き、新しい国際機関をつくるのではく、国連は役に立たないから専制主義に対する民主主義の同盟をつくるという新冷戦型の分断をG7および欧州に持ち込んだ。
2021年9月、ゼレンスキー政権に6000万㌦(約66億円)相当の対戦車ミサイルを支援し、12月からはより積極的に武器援助をしていく。アメリカのウクライナ軍事援助は25億㌦(約3000億円)相当に及ぶとされ、さらに1000億円をこえる援助がその後もおこなわれている。一方でアメリカはウクライナにおける戦争に参加しないことを明言した。これをロシアがどう捉えたかはわからないが、結果的に2月24日のロシアのウクライナ侵攻が始まる。
それ以降、アメリカはウクライナに37億㌦相当の武器支援をしている。携行式地対空ミサイル「スティンガー」1400発以上、携行式多目的ミサイル「ジャベリン」5000発以上を含む対戦車ミサイル1万2000発以上、さらに自爆型無人ドローンが送られている。戦闘地域では双方の攻撃が入り乱れるため、これによって破壊されるのはロシア戦車やロシア兵だけでなく、ウクライナの街や建物、ウクライナ兵や市民も犠牲になっている。それでもアメリカは最新の破壊兵器をウクライナに送りつつ、みずからは戦わないという方針をとっており、まさに米露の代理戦争がアメリカの支援を受けるウクライナの地でおこなわれているというのが非常に大きな矛盾だ。
さらに経済制裁として、①ロシアの石油、天然ガスのパイプライン拒否、②国際金融決済SWIFTからの締め出し、③プーチン、ラブロフの個人資産凍結、家族資産の凍結をおこなった。
冒頭にのべたように、ジョセフ・ナイは「これらがアメリカ経済を潤した」といっているわけだが、ロシア産原油を止めたことでアメリカのシェールガスの輸出量は2倍にはね上がったといわれている。だが、制裁だけではロシアの軍事侵攻を止めることはできないので、武器が次々と送られている。必要なことは、ウクライナでこれ以上の戦争被害を出さないために戦争を止めることだ。
そのなかで武器供与もしていたトルコのエルドアンが停戦提案として6項目を示した。これは非常にリーズナブルなもので、①ウクライナの中立化、②非武装化、安全保障、③非ナチ化、④ロシア語の使用制限の解除、⑤東部ドンバス地方の(一部)ロシア帰属、⑥クリミア半島のロシア帰属だ。ゼレンスキーが⑤、⑥以外は認める方向に傾いた直後にブチャの集団殺戮事件が表沙汰になる。これが、まさに「ちゃぶ台返し」となり、トルコの停戦提案による交渉を中断させることになった。ロシアとウクライナは停戦交渉を継続するといっていたにもかかわらず、アメリカは「戦争は継続される」「数年続くだろう」と明言しており、停戦を希望せず、戦争継続をよしとする方向性を示している。
停戦交渉の促進が急務 アジアから声を
今日はアメリカの関与を見たが、ウクライナ問題とは、アメリカの長期的軍事戦略の一環であるといえる。「専制国家の弱体化」が主要目的だ。それはロシアのみならず、中国や他の専制国家も標的になっており、中国への見せしめという要素も非常に強い。「価値の同盟」とアメリカがいっているため、欧州はこれに反対できない。民主主義、自由主義、市場経済を守ることを掲げ、中国の新疆ウイグルや香港での人権侵害を問題視し、ロシアと一体化させて扱うことで、トランプによって地に落ちたアメリカの失地回復を狙っているともとれる。ただ経済的に成長した中国、インドやインドネシアなどの「沈黙」にも着目しなければならず、20世紀末のようにアメリカ一強支配が再興できるわけではない。
ロシア軍による主権国家ウクライナへの侵入(主権と領土の侵害、国際法の蹂躙)は、国際社会としては許すことはできない。ロシアは渡ってはならない橋を渡ってしまった。しかし、これ以上破壊兵器をウクライナに送って戦争を長期化させれば、ウクライナそのものの弱体化が進み、最貧国から立ち上がれなくなる可能性も出てくる。軍事力ではなく、あくまで対話と外交交渉による問題解決が必要だ。
アメリカにとっては、ウクライナへの資金供与・武器供与とNATO拡大を非難されないために、ロシアのウクライナ侵攻が必要であったと思われる。
何がロシアを、キエフ、西ウクライナにまで侵攻させたのか? を考えると、ロシアにとってのウクライナの重要性に加え、NATO拡大の脅威があり、とくに西側国境からの武器流入を阻止したいという危機感があった。ロシアの侵攻は非難されるべきだが、すでにアメリカから大量の武器が入り、ポーランドなどでくり返し軍事演習がおこなわれていたことも看過できない。現段階では死者は圧倒的にロシア兵の方が多いといわれる。
これに対して中国、インド、ブラジルなどは先進国とは違う行動をとっている。まずは模様眺めで、制裁決議を棄権・投票拒否しており、平和と安定、主権尊重、即時停戦に共感的だ。最近では国連事務総長が停戦の働きかけを始め、トルコによる停戦協議がおこなわれるなかで、停戦を前に進め、緩衝地帯への国連中立軍派兵を検討することが重要といえる。
ウクライナ、ロシア双方に武器を置くよう戦争停止要求することとともに、アメリカや欧州の軍事力や武器供与を停止させ、平和と安定、主権尊重、国際法規遵守、外交交渉による解決を求めることが望ましい。国家レベルで難しいのであれば、メディア、知識人、市民の側から求めて行くことが必要だ。