旧植民地時代の主従関係に基づく「戦後賠償」の欺瞞
日韓関係の悪化をめぐり、韓国の衛星放送JTBCが、日本からの経済援助8億㌦の使途について検証した特集番組を連日放送して反響を呼んでいる。8億㌦の経済援助は、1965年に「日韓条約」とともに結んだ「請求権・経済協力協定」によって韓国側に与えられたもので、安倍政府はこれをもって戦時中の徴用工をめぐる請求権も「完全に解決している」としている。番組では、その内実が、現在のODAと重なる途上国政府を迂回させた日本の財閥の利権事業であったことを暴露している。
番組では、日本が1965年の韓日請求権協定の後に韓国に与えた無償協力基金3億㌦、有償借款2億㌦、産業借款3億㌦の合計8億㌦が、どこで、どのように使われたのかを具体的に追跡。とくに日本の外務省が「日本の援助による繁栄」の象徴的事業としているソウル首都圏地下鉄事業と浦項製鉄所(現在のPOSCO)の建設事業を中心にとりあげた。
1971年に着工したソウル地下鉄の建設資金は、日本から借りた8000万㌦を充てたが、年率4%もの高金利のうえ「日本企業が作った車両と部品のみを使用する」という条件付きであった。受注したのは、三菱と丸紅が主導する合弁企業。当時、韓国の経済政策を統括していた経済企画院の内部資料によると、当初、国務会議での報告で約84億円だった客車(186両)の値段は、約1年後には物価上昇を理由に40%上乗せされ、約118億円(1台あたり6500万円)に膨れあがった。同時期に東京の地下鉄に納品した客車は1台あたり3500万円であり、韓国への納品額はその2倍であった。
同じ頃、米国議会に使われた韓国政府のロビー資金が、三菱の口座などを通じて流れていたことが暴露され、米国で問題になる。さらに1977年の国会聴聞会(日本)で、ソウル地下鉄の納品代金を日本企業が横領し、一部を韓国の軍事独裁政権に賄賂として使ったことが明らかになる。三菱が横領した金額だけで22億円にのぼり、高額な客車予算の4分の1にあたる金額だった。
また、1972年に日韓政府が交わしたソウル地下鉄建設のための借款契約書には、「借款は日本の物資と用役のために使う」と記された。当初は公開競争入札としたが、鉄鋼財等は三菱との随意契約となった。「技術用役に韓国企業が参加できる」とした技術移転に関する契約も、後に言葉を変え、韓国企業の参加は基礎的な下請事業に限定された。借款の金利は4・125%で、2年後の米国の借款(金利2%)よりも高く、化学材料とプラスチックなど16件の核心品目は日本から買うことを条件付けた。化学材料、鉱物、プラスチック、非金属などは、いまだに日本への輸入依存度が90%をこえている。
無償協力基金の3億㌦が最も多く投入されたのが、韓国最大の鉄鋼メーカーである浦項総合製鉄(POSCO)であった。1969年、それまで無償協力基金の使途を農業分野に限定していた日本政府が、突然、浦項製鉄建設に合意し、1億1948万㌦を投入する協約を結ぶ。この建設事業も、新日本製鐵と三菱商社などが受注した。日本企業から購入した設備金額だけで1億7765万㌦であり、支援資金を48%上回った。
番組では、1970年の日韓協力委員会総会で、日本側が鉄鋼、アルミ工業等の土地使用に関して「公害対策に協力できるか」と韓国側に問うていることをあげ、50~60年代に日本では重金属汚染病であるイタイイタイ病や水俣病が社会問題化したことを背景に、公害を生む工場を韓国に移転する意図があったことを指摘した。
これら8億㌦の支援金の使途をめぐっては、日韓政府による閣僚会議とは別に、政財界関係者による日韓協力委員会(韓日協力委員会)が置かれた。日韓協力委員会には、満州国総務庁次長でありA級戦犯だった岸信介が初代会長に就き、満州軍(元日本軍将校)だった朴正煕大統領との格別の親交のもとで取引が進行した。同委員には椎名悦三郎元外相(元満州国鉱物公社社長)、事務総長には田中龍夫元通産大臣(満鉄出身)、常任委員には三菱商事社長、三井物産社長、三菱電機代表理事など21の戦犯企業が含まれた。
このとき岸信介の右腕である矢次一夫が出した長期経済協力案(矢次試案)は「韓国は重化学のような日本と競合する産業を育成してはならない」とし、日本との協力経済圏を作るため、韓国で関税を免除する保税地域と自由港を増やし、日本製品を加工する合弁会社をつくるという計画だった。「日本の技術力と韓国の労働力を統合させるべき」と強調し、アジア版欧州経済共同体がつくれるというバラ色の展望を示しながら、1970年代から韓国の安い労働力を使って日本企業の下請化を進めていった。
安倍政府が「賠償問題の解決」の根拠と主張する経済援助金は、このような満州人脈で構成された日韓協力委員会によって一方的に使途が決定され、朴軍事政権を迂回して日本企業の手に渡り、実際の被害者への賠償はおろか、韓国経済を日本の大企業の下請に組み込み搾取する体制づくりのために浪費されたことが広く明らかになっている。
これは日韓関係悪化を契機にして、日本の植民地支配と絡んだ自国の歴史について掘り下げて再検討する韓国の国民的論議を反映したものであり、安倍政府が植民地意識をムキ出しにして恫喝すればするほど、その論議はさらに深いものとなる趨勢にある。日本国内の報道が嫌韓を丸出しにした趣に終始しているなかで、韓国では植民地支配とその後も引き続いた新植民地主義の欺瞞に光を当て、誰が「戦後賠償」で潤ったのかまで解明する動きが広がっている。
なお、安倍首相の実兄は、それこそ8億㌦の経済援助をむさぼった三菱財閥・三菱商事の重役である。
連日、日韓問題の詳細記事掲載ありがとうございます。
知らないことばかりで、大手マスコミ、テレビでは報道されない
真実を知ることができ、たいへん興奮しています。
下記もお薦めです。ご参考にしてください。
日韓関係を中心とした朝鮮半島情勢
https://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2019/1150.html
韓国と日本、真の和解は可能か
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190729-00033997-hankyoreh-kr
いつも貴重で有益なな情報ありがとうございます。アメリカの大統領は誰になろうと、結局アメリカは支配者たちの思惑で動いています。少し前、ジョセフナイの記事が出ていたので転載します。基本的にこの考えは変わらないのだと感じます。
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中国、韓国、自衛隊による「日本海のパレスチナ化」を by ジョセフナイ
アベシンゾー、日本会議、小泉進次郎らが師と仰ぐ、CIA ハーバード大学学長ジョセフナイ(CIA幹部 )の「対日超党派報告書」
― Bipartisan report concerning Japan ―
この米国政府の戦略文書は、かつてCIAを統括する米国大統領直属の国家安全保障会議NSCの議長で、同時に東アジア担当者であり(クリントン政権)、後に安全保障担当の国防次官補であったジョセフ・ナイが、米国上院下院の200名以上の国会議員を集め作成した、対日本への戦略会議の報告書である。
ナイは現在、米国の政治家養成スクール、高級官僚養成スクールであるハーバード大学ケネディ行政大学院の院長であり、そこから輩出された無数の政治家・行政マンの司令塔となっている人物である。この人物が「事実上」、米国の政策を起草している。
その内容は以下の通り。
1、東シナ海、日本海近辺には未開発の石油・天然ガスが眠っており、その総量は世界最大の産油国サウジアラビアを凌駕する分量である。米国は何としてもその東シナ海のエネルギー資源を入手しなければならない。
2、そのチャンスは台湾と中国が軍事衝突を起こした時である。当初、米軍は台湾側に立ち中国と戦闘を開始する。日米安保条約に基づき、日本の自衛隊もその戦闘に参加させる。中国軍は、米・日軍の補給基地である日本の米軍基地、自衛隊基地を「本土攻撃」するであろう。本土を攻撃された日本人は逆上し、本格的な日中戦争が開始される。
3、米軍は戦争が進行するに従い、徐々に戦争から手を引き、日本の自衛隊と中国軍との戦争が中心となるように誘導する。
4、日中戦争が激化したところで米国が和平交渉に介入し、東シナ海、日本海でのPKO(平和維持活動)を米軍が中心となって行う。
5、東シナ海と日本海での軍事的・政治的主導権を米国が入手する事で、この地域での資源開発に圧倒的に米国エネルギー産業が開発の優位権を入手する事が出来る。
6、この戦略の前提として、日本の自衛隊が自由に海外で「軍事活動」が出来るような状況を形成しておく事が必要である。
以上のように、米国は日本海の「パレスチナ化」計画を策定しており、米国は日本を使い捨てにする計画である。そして、この計画の下に自衛隊の海外活動が「自由化」され始めている。
この利権のために日本軍と中国軍に「*****を行わせる」、これが米国政権中枢の戦略文書に明確に書かれている」。この考えは変わらない。