フランスのマクロン大統領が10日、全土で続く政府の退陣を求める大規模な抗議行動を受けて国民向けに演説をおこない、最低賃金を来年から引き上げることなどを発表した。抗議行動の直接要因となった燃料増税の廃止発表に続くものだ。
マクロンは政府退陣を求めるデモについて、「怒りは深く、多くの点で正当なものだ」と認め、最低賃金を月額100ユーロ(約1万3000円)引き上げるとのべた。フランスの今年の最低賃金は、税引き前で月1498ユーロ(約19万3000円)、税引き後で1185ユーロ(約15万2000円)だった。また、自身が導入し批判を集めた定年退職者に対する増税策の大部分を撤回するとともに、残業代は非課税とすることなど、低所得者向けの支援策を発表した。
「貧困や格差の解消」を約束しながら国民を裏切り続ける社会党出身のマクロン政府への怒りが、「黄色いベスト運動」への連鎖反応を呼び込み、多くの国民を行動に駆り立ててきた。燃料増税廃止発表後も、ホームレスゼロや「富裕税」の復活、最低賃金の引き上げ、年金増額、公共サービスの充実、緊縮政策の中止、正規雇用の拡大など、グローバル化で破壊された社会機能回復の要求を含んで一層盛り上がっている。