沖縄県那覇市の奥武山陸上競技場で11日、「土砂投入を許さない! ジュゴン・サンゴを守り、辺野古新基地建設断念を求める8・11県民大会」(主催/辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議)がおこなわれた。台風14号の直撃で開催が危ぶまれたが、翁長知事の逝去を受けて決行を望む声が高まり、風雨のなか約7万人が集結した。集会では冒頭、沖縄慰霊の日に翁長知事がおこなった「平和宣言」の音声が流され、「辺野古に新基地をつくらせないという私の決意は県民とともにあり、これからも微塵も揺らぐことはない」との遺志を引き継ぎ、島ぐるみのたたかいをさらに強めていく県民の決意を全国に向けて発するものとなった。主な登壇者の発言要旨を紹介する。
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基地造らせぬ遺志継ぐ
県知事職務代理者 副知事 謝花喜一郎
本日の県民大会には翁長知事が直接皆さまの前でご挨拶することを予定していたが、ご承知の通り8月8日、翁長知事は膵臓がん多発がん転移により逝去された。私自身、知事の回復を心から願っていたが、このような結果になり誠に残念でならない。翁長知事のご冥福を心からお祈り申し上げる。
翁長知事は平成26年11月の就任から辺野古新基地建設阻止を県政運営の柱とし、県民のためにみずからをなげうちながらその実現にとりくんできた。知事は政府との会談やワシントン訪問など、機会あるごとに「辺野古に新基地はつくらせない」と訴え、政府による基地政策の理不尽さを県民の立場から真剣に指摘し、沖縄の自治と民主主義を守ろうという強い気持ちを持ち、その実現に努力を続けてこられた。
知事は就任してから辺野古新基地建設問題にとりくみ、前知事がおこなった埋め立て承認は環境保全等多くの疑問があったことからこれをとり消した。その後、和解が成立し、国が埋め立て工事をいったん中止した。そして県は岩礁破砕許可にともなう差し止め訴訟の提起などをおこなった。これらのとりくみにより通常の埋め立て工事に比べ新基地の埋め立て工事の着手は約3年遅れた。
まさにたたかいがこれからというところで志半ばに病に倒れ、本当に無念だっただろうと思う。翁長知事は私と8月4日に面談したさい、一日一日しっかりと公務を着実にこなし、県民からの私への付託に応えていきたいというのは、撤回のことだと話された。
知事の思いを深く受け止め、私たちも辺野古に新基地はつくらせないという公約実現に向けて、全力でとりくんでいきたいと考えている。翁長知事が県民のためにまさに命を削ってまで辺野古新基地反対を貫き通した姿勢は、末永く後世まで語り継がれるものと思う。
これまで新基地建設に反対する県民の民意がくり返し示されているにもかかわらず、民意を無視し、新基地建設を強行する政府に対し、多くの県民が激しい怒りを抱いていることを政府は理解すべきだ。政府は全体の実施設計や環境保全対策を示すこともなく、公有水面埋め立て工事に着工し、またサンゴ類を事前に移植することなく工事をおこなうなど、承認を得ないで環境保全図書の記載等等異なる方法で工事を実施している。
また、独自調査によるC5護岸設計箇所が軟弱地盤で、護岸倒壊等の危険性があることが判明したことや、活断層の存在が専門家から指摘されていること、辺野古新基地が完成したときには国立沖縄高専の校舎などが米国防総省の統一施設基準の高さ制限に抵触するなどさまざまな事実が判明している。
沖縄県は再三にわたり行政指導や照会をおこなっているが、政府は真摯に向きあうことなく工事を続けている。政府はこれまで工事を強行し続けており、8月17日には埋め立て土砂を投入するとしている。これは県民の民意や、美しいサンゴに彩られた辺野古大浦湾の自然環境への配慮を無視したものといわざるを得ず、到底容認できない。
翁長雄志知事は「政府はなりふりかまわず、埋め立て工事の既成事実を作ろうと躍起になっており、県民の無力感、諦め感を誘おうとしているが、県民の権利を守り、新基地の危険を子や孫に背負わせないため、ここで諦めるわけにはいかない」といっておられた。
普天間飛行場の所属機については平成28年12月に名護市安部沖合にオスプレイが墜落し、平成29年10月に東恩高江の牧草地にCH53Eヘリが不時着炎上した。同年12月には子どもたちにとって一番安全であるべき場所の宜野湾市の保育園にCH53Eヘリの部品が落下し、同じ月に普天間第二小にヘリ窓枠の落下事故が起きるなど、まさに県民が危惧していたとおり一歩間違えれば県民の命にかかわりかねない事故が頻発しており、強い怒りと憤りを禁じ得ない。
沖縄県はこれまで政府に対して普天間飛行場の一日も早い危険性除去のために5年以内の運用停止を求めてきた。県議会でも今年2月、政府が約束した平成31年2月末日を待たずに、直ちに同飛行場の運用停止を求める意見書を全会一致で可決しているが、政府はこれらの求めに対応せず危険性を放置している。
沖縄県は今般、埋立承認を撤回すべき事由があるとの結論にいたり、撤回に向けた手続きとして、沖縄防衛局に対して聴聞をおこない、審理が終了した。現在、聴聞審理の結果がとりまとめられているところだが、埋め立て承認の撤回については主宰者による聴聞の審理状況も踏まえ、県政をお預かりしているわれわれとして「辺野古に新基地はつくらせない」という翁長知事の強く熱い思いを受け止め、そして引き続きしっかり毅然として判断していく。これからも県民一丸となって心を一つにして、ともに頑張っていきましょう。
心一つにして闘うとき
翁長雄志知事次男 翁長雄治
県民の皆様、多くの全国の皆様に父の体のことでご心配をおかけしました。皆様のご期待に添えるように最後まで頑張りましたが、残念な結果となりました。申し訳ございませんでした。
最後の最後までどうやったらこの辺野古新基地建設を止められるのか、一生懸命病室のベッドの上でも資料を読みあさりながら頑張っていました。
今日は登壇をさせていただくのか、お願いをしていいのか、寸前まで迷いましたが、おそらくこれが最後の機会になるのではないかと思い、上がらせていただきました。今日は父が生前よく話していたこと、私に話していたこと、皆様の前で話していたことを改めてお話しさせていただきたいと思います。
沖縄に辺野古に新基地をつくる。どれほどの大義名分があるのでしょうか。そういう説明がしっかりとなされてきたのでしょうか。全国が受け入れないから沖縄に置いておけばいい。今われわれが納得できない、そういうものを将来の子どもたちに残してしまうんでしょうか。県民の皆様、今一度しっかりわれわれの思いを形にしましょう。
父は生前、「沖縄は試練の連続だ。しかし、一度もウチナーンチュとしての誇りを捨てることなくたたかい続けてきた。ウチナーンチュが心を一つにしてたたかうときにはおまえが想像するよりもはるかに大きな力になる」と何度も何度もいっていました。現に今回の県民投票の署名も必要署名数の4倍以上になる10万票を集めることができたのは県民の大きな決意だと思います。
日本全国の皆様、多くの国民が必要であるというその日米安保、米軍基地。この国土の0.6%にすぎない沖縄に70%以上もあるのは、いくらなんでも過重すぎはしませんか。全国的な議論のテーマに挙げていただき、この問題は沖縄の問題ではなく日本国の問題、課題だと認識して議論してもらいたい。
「国の専権事項だから」といって、今責任を持っているわれわれが何もせずに指をくわえているわけにはいきません。
オール沖縄の大きな政治的潮流は、政治家のためにあるのではなく政争の具にするものでもありません。オール沖縄はわれわれウチナーンチュの強い決意です。覚悟です。その民意にわれわれ政治家が突き動かされているのです。
最後まで皆様、諦めずに頑張って、見届けることはできませんでしたが、父に翁長雄志に辺野古新基地建設が止められたと報告できるように頑張りましょう。ありがとうございました。(那覇市議)
子や孫のため平和を守る
金秀興産代表取締役社長 山城敦子
ご挨拶の前に翁長知事のご冥福を心よりお祈りしたい。金秀グループ女性を代表して、連帯の挨拶をのべさせていただく。
沖縄の将来を考える一県民、一主婦として、そして未来に責任を持つ一人として、意見を表明し、微力ながらもその一助になればと思う。
今沖縄の置かれている状態は、非常事態といっても過言ではない。昨年12月には未来を担う子どもたちの学び舎に米軍ヘリの窓の落下事故が発生し、今年6月には嘉手納基地を飛び立ったF15戦闘機が那覇沖に墜落した。これが家族や友人、大切な人の下に起きたら、私は想像しただけで胸が張り裂ける思いだ。本当にあり得ない事故ばかりだ。安全安心を確保する責任と権利は県民一人一人にあるはずだ。私たち市民の安らかな暮らしと、自然を犠牲にしてはならない。
今世界情勢はめまぐるしく変化している。なのに、この沖縄だけはどうだろう。20年以上前にたてられた辺野古への基地移転計画が実行されようとしている。
基地は沖縄の経済発展の最大の阻害要因であるということを皆様も実感していると思う。那覇新都心しかり、北中城のライカムも同様だ。基地よりも、民間による開発の方が、足腰の強い沖縄県作りにつながる。
そして青く輝く美ら海を思い浮かべてほしい。優しく包み込む沖縄の自然との共生は、先祖から受け継がれたすばらしい遺産だ。
私たちは翁長知事の遺志を貫き、しっかりとした軸足をともにし、沖縄県全体でとりくむ平和で豊かな社会づくりに尽力せねばならない。今日本政府は県民のむなしさ、怒りを「諦め」に変えることに躍起になっている。強硬姿勢の安倍政権にも必ず終わりがある。われわれは絶対に諦めない。根負けするのは日本政府とアメリカの方だ。私たちは辺野古新基地建設断念、オスプレイの配備撤回、普天間基地の閉鎖・撤去の実現を日米両政府に求め、断固として辺野古新基地建設を阻止し、違法な土砂投入に反対しようではないか。大切な子や孫のためにも、ともに頑張っていこう。
腹を据えて歴史を拓く
現地闘争部長 山城博治
胸に秘めた悲しみを、続く続くいばらの道を、なぜかくも私たちにこのような試練がのしかかるのか理解ができないが、であれば今一度腹を固めて、団結を強めて、顔を上げて、歴史を拓くのは私たちだという気概で頑張り抜こうではないか。
本来であれば、政府と命を削るように、そして実際にすべての体力と気力を使い果たして撤回表明に及んだ翁長知事の英断決意を讃えて、ここでみんなで翁長さんに感謝と、私たち自身も引き続いて頑張る決意を申し上げる場であったと思う。残念ながらその思いを叶えることはできなかったが、改めて翁長知事の決意をわがものとして忘れずにこれからも立ち向かっていこうではないか。
これまでご支援いただいた県民の皆さん、全国の皆さん、引き続き力を貸してほしい。幸いに現場は九六年から執拗に海に船を出し、カヌーを出し続けて、あの凄まじい海保の暴力に耐えて抗議の声を上げ続けている。14年から続いたゲート前の座り込みも一日も欠かすことなく多くの皆さんが参加している。昨今では本部町の塩川港に船を搬出する抗議にも多くの県民が出向いている。状況は簡単ではないが、私たちの力をもってすれば不可能はないと思う。また、その力で勝つことが翁長さんの思いに応えることだと思い、頑張り続けたいと思う。どうぞ皆さん。腹を据えて頑張っていこう。
撤回の遺志継ぎ行動を 那覇市長 城間幹子
残念ながら翁長雄志県知事がご逝去された。しかし、この大会の様子をしっかりと皆さんとともに見守ってくれていると思う。
私は彼と中学、高校の同期だった。彼の沖縄に対する強い思いをいろいろな形で聞き、まのあたりにしてきた。彼の沖縄に対する思いは少しもぶれることなく、ウチナーンチュの心に寄り添い、それを体現する行動をしてきたと確信している。残念ながら見届けることはできなかったが、私たちにそれが託されていると思う。
私は翁長雄志知事が辺野古新基地建設反対に向けてとりくんだときに、大会のなかで表現した言葉をたどると、「ウチナーンチュ、ウシェーティナイビランドー」(沖縄の人々をないがしろにするな)「チバラナヤータイ、マーケーテーナランドー」(負けずに頑張ろう)と最後にこぶしを振り上げて大きな声で叫んだ姿が目に焼き付いて離れない。皆様も同じ気持ちだろう。あと少しで承認撤回に手が届くところでさぞ無念だったと思う。私たちがそれぞれの立場でその遺志を引き継いでいきたい。翁長雄志知事が安らかに眠れるように、ここ沖縄が平和のなかで県民が安心して暮らせる日がくることを祈りつつ行動しよう。頑張ろう。
怒り含む沖縄の空や海
琉球大学法科大学院教授・オール沖縄共同代表 高良鉄美
この集会は、土砂投入を許さず、ジュゴン、サンゴを守り、新基地建設断念を求める集会であるが、新基地建設に反対し続けて撤回を表明した翁長知事追悼の意味がこもっている。ご子息の雄治さんが翁長知事の残された言葉を話されたが、今日の空は翁長知事の死を悼み、悲しんで泣いているかのようだ。私たちは、それだけでなく怒りを含んでいる。
空だけでなく、沖縄の海も苦しんでいる。土砂を入れてどれだけ痛めつけるのか。沖縄の大地も泣いている。沖縄戦からずっとこの大地が削られ、傷を負ってきた。まだ同じことをやるのか。
1996年4月、「普天間を5~7年以内に返還をします」と、この上ない笑顔を見せて当時の橋本首相とモンデール駐日大使が記者発表をおこなった。沖縄の人たちは喜んだ。オール沖縄で喜んだ。しかし県内移設、それどころかもっと大きな機能を持つ新基地を作るというではないか。ようやく返還されたと思ったが、建物でいえば10階建ての建物の3階から6階に移るということだ。しかも工事をしているあいだは2つの部屋が占有されている状態だ。
私たち沖縄県民はおかしなことをいっているのか。そうではなく、ただ普通の生活がしたいからそのためにオール沖縄で声を上げている。「恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生活する権利がある」と憲法前文にある。新基地建設をそれでも強行するということは、このささやかな普通の生活をする沖縄の人人の権利を認めないということだ。ダメだという以外のなにものでもない。
そんな上から目線でないがしろにされた状態が続いているのが現状で、民意は無視され続けている。翁長知事が命を削って挑んできたことはなんだったのか。普天間返還声明から22年が経つ。あの頃の子どもたちはパパやママになって、次の世代を育てている人も多いだろう。復帰運動のときに求めたのは、平和のうちに生きる権利であり、そのときに求めていた復帰世代の人人には子ども、孫、ひ孫に負の遺産を残したくないという願いがあったと思う。
翁長知事はよく「ウチナーンチュ、ウシェーティナイビランドー」(沖縄の人人をないがしろにするな)といっていた。まるで制裁を加えるかのような新基地建設は、沖縄をないがしろにする行為だ。私たち沖縄県民はないがしろにされて黙っているような人間ではない。これからも頑張っていこう。
大きな輪さらに強固に
政策集団「にぬふぁぶし」共同代表 金城徹
翁長雄志さんはもともと自民党所属の県会議員だった。那覇市長になって自民党の籍は外したが、一貫して保守の立場で政治をおこなってきた。しかしながら、辺野古に新基地を建設していくという政府の強い意志の前に、「保守」の立場のわれわれが「革新」のみなさんに歩み寄り、腹八分、腹六部でオール沖縄の理念のもとに新基地建設を断念させなければ沖縄は一つになれないという固い決意のもとに県民の先頭に立って新基地建設阻止の大きな形になって立ちはだかった。
4年前の8月の新聞に元嘉手納町長の宮城篤実氏の「弱い立場のものが分裂して勝てるわけがない」との言葉が載った。日本政府の力からすれば、沖縄県も市町村も市民一人一人も弱い立場にあるが、その弱い立場が一つになって政府に対して辺野古に新基地を作らせない思いをぶつけ、翁長さんの思いをわれわれが引き継ぎ、新基地建設断念の大きな輪をさらに強固にしていこう。ともに頑張ろう。
未来見据え意志示そう
「辺野古」県民投票の会 元山仁士郎
5月23日から始まった2カ月間の署名期間が終わり、10万筆を越える署名が集まった。署名を頂いた方、署名を集めていただいた方方に心からお礼を申し上げたい。
集めた署名は早ければ8月末、あと3週間後に翁長雄志知事に手渡す予定だった。翁長知事に手渡したかった! 言葉を交わしたかった! 沖縄戦、魂魄の塔の話、沖縄保守とは何か、ウチナーグチ(沖縄語)への思い、直接話をしたかった。しかし、もう翁長知事に署名を手渡すことができなくなった。私たちに翁長知事の思いをもっと伝えてほしかった。本当に残念でならない。
私自身、4月に大学院を一年間休学することを決断し、辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票に向けた動きを担っている。話そう基地のこと、決めよう沖縄の未来――この小さな島で、さまざまな関係から話しづらい基地のことを話してみよう、沖縄の未来を見据えて、県民の意思を示そうというテーマで県民投票実施まで頑張ろうと思っている。
日本の国土面積の約0.6%に過ぎないこの沖縄に、米軍専用施設面積の70.3%が存在し続けている。沖縄は基地の面積が減ればいいという話をしているのではない。普天間地域の危険性だけを除去してほしいと言っているのではない。沖縄の人人全体の安全、普通に当たり前に生きる権利を保証してほしい。私たちは過去の悲しみをもとに、それぞれの島がどうあるべきなのか、どういう未来を望むのか。私たちの子や孫はこれからもこの島でそれぞれの島で生きて行くのだ。未来の世代に人権が守られ、尊厳が尊重され、沖縄に誇りを持てる世界を手渡して行こう。それぞれの生活を大事にしながら、できることをやっていこう。命ある限り頑張って行こう!
何も調べぬ環境監視等委員会
琉球大学名誉教授 東清二(メッセージ)
私は2014年4月から、沖縄防衛局が設置した環境監視等委員会の副委員長を務めていたが、今年4月に正式に辞職が認められた。
最初は環境監視等委員会で、ちゃんとした監視ができると期待していた。それで、埋め立て区域も含めてウミガメの産卵場所、ジュゴンの食草であるアマモなど海藻の分布と密度、ジュゴンが何頭いるのか、どれくらいの頻度で来ているのか、などの調査を依頼したが、全然返事が来ない。なにも調べていないのだ。
委員会での発言の確認も第1回目の後はあった。しかし、その後は議事録ができてくる度に全然違う。発言をしても、こちらの要求などは書いていない。委員会で藻場の問題も話したが、それは議事録には載らない。防衛省は自分たちの都合の悪いことは議事録に載せないのだ。委員の意見を聞いて、それを守るのが防衛省のはずなのに、自分らに都合の悪いことは一切書かないで、都合のいいことだけ書いて、それを守っていくだけなのだ。そんな委員は意味がない。
県外からの委員には、沖縄のことはわからない。沖縄に来て初めてサンゴを見た人もいたのではないか。
とにかく、委員会でなにをいっても響かない。開発一点張りで、サンゴのことだけは答えるが、それ以外のことはまともに答えない。海草藻場のことなどは見ないことにしよう、聞かないことにしようと。工事ありきで、他の意見は聞かないという態度だ。環境監視といいながら、工事を進捗させるため、なんらかの了解を得るための委員会だと防衛省は思っているようだ。工事を進捗させることに関係ないことには、耳を貸さないという態度だ。それではなんの意味もない、なんのための委員会かということで、私は2015年3月に辞めると事務局に伝えた。沖縄防衛局からはこの件で取材があれば、事務局に聞いてくれと答えなさいといわれた。
辺野古、大浦湾の環境は優れている。特に藻場はすごい。あんなに広い藻場は他にない。それを埋め立てるのは自然破壊そのものだ。沖縄本島の山を崩して埋め土を持って来るのも、自然破壊だ。辺野古、大浦湾の埋め立ては、やめさせることだ。中止すべきだ。沖縄にはもうこれ以上、軍用基地はいらない。
慰霊の日の翁長知事の発言には本当に感激した。私は、翁長知事の埋め立て承認の撤回を支持する。
【8・11県民大会決議】
国は、8月17日からの辺野古地先への埋め立て土砂投入を沖縄県へ通知した。現在おこなわれている環境アセスを無視したかずかずの違法工事は、仲井真前知事が退任の4日前に承認した追加申請によるものである。沖縄県は、沖縄防衛局に対し、再三にわたり工事実施前の事前協議をおこなうことを求めてきたが、沖縄防衛局はこれを無視し十分な説明をおこなうことなく、沖縄県民の民意を踏みにじり、環境破壊につながる違法工事を強行し続けている。
7月27日、翁長沖縄県知事は「埋め立て承認撤回」を表明し、8月9日に聴聞を開始した。ただちに国は埋め立て工事を中止し、新基地建設計画を断念すべきである。
私たちは安倍政権と沖縄防衛局に対し強い怒りを持って抗議する。私たちは豊かな生物多様性を誇る辺野古・大浦湾の美ら海に新たな基地を造らせない。沖縄県民の命とくらし、沖縄の地方自治と日本の民主主義と平和を守るためこの不条理に対し全力で抗い続ける。
この県民大会において、以下、決議し、日米両政府に対し、強く抗議し要求する。
記
一、ジュゴンやウミガメなどの生きていくための豊かな海草藻場や希少なサンゴ類の生息環境を破壊する土砂投入計画を直ちに撤回すること。
二、大浦湾側には活断層の疑いがあり、その付近の海底には、超軟弱地盤が存在する。辺野古新基地の立地条件は成り立っていない。建設計画を直ちに白紙撤回すること。
三、沖縄高専、久辺小中学校、集落は、米国の安全基準である高さ制限に抵触している。児童生徒と住民の生命と財産を脅かす新基地建設を直ちに断念すること。
四、欠陥機オスプレイ配備を撤回し、米軍普天間基地を即時閉鎖・撤去すること。
五、欠陥機オスプレイの国内における飛行を直ちに全面禁止すること。
宛先 内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣、沖縄及び北方対策担当大臣、米国大統領、駐日米国大使
2018年8月11日
辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議