怒濤の勢いだった残りの4週間
「『辺野古』県民投票の会」は7月30日に沖縄県庁で記者会見を開き、県民投票条例の制定を求める署名の総数が29日午後6時現在で10万979筆に達したことを発表した。その後の未集計分も加えると10万1000筆をこえるのは確実と見られている。直接請求に必要な有権者の50分の1を大幅に上回り、わずか2カ月間(5月23日~7月23日)でおよそ10分の1にあたる人人が応じるものとなった。スーパー前など沖縄県内各地の街頭に積極的にくり出し、直接に不特定多数の県民のなかへ飛び込んでいったあたりから怒濤の勢いを見せて広がり、まさに島ぐるみで県民投票を実現しようという機運が高まっていること、県民のなかにしっかりと根を張った運動として期待を集めていることを証明した。
会見のなかで副代表の新垣勉氏(弁護士)は、「5月23日から始まった署名運動は、はじめの3週間は事務的な作業が多く、署名運動に専念できない事情があり、法定数(2万3000筆)にほど遠いものだった。しかし最後の4週間、街頭署名活動を必死の思いで展開した。するとものすごいスピードで10万をこえる署名が集まった。等しく感じたことは、県民のなかに県民投票を求める声が渦巻いていたこと、熱い思いと期待がいかに大きいものであるかということだ。それが10万筆という結果となってあらわれた」とのべた。
基地のない各離島を訪ねて県民投票の意義、協力を訴え、交流してきた元山仁士郎代表(大学院生)は、「県民投票実現のための署名活動をやって本当に良かったと思う。この活動のなかで多くのことを学ぶことができた。老若男女を問わず、離島の人人もみな同じような思いを持っていることがわかった。今後の運動のために共有できるものを残していきたい」とのべた。
その後、「辺野古」県民投票の会としての声明文を読み上げた。
今後は知事に県議会への条例案提出を直接請求し、9月県議会で審議される予定。11月18日投開票の沖縄県知事選の後に県民投票の実施となる見通し。
◆声明
5月23日にはじまった「辺野古」県民投票条例の制定を求める署名運動は徐々に多くの市民の賛同を得て、署名期限である7月23日を終えた。その集計の結果、法定数を大幅に超えて10万979筆を集めた。これは1996年の県民投票(日米地位協定の見直し・米軍基地の整理縮小)の署名数(3万5603筆)を大きく上回るものであり、有権者比では8・72%となるものである。
私たちの署名運動は「住民投票」という直接民主主義の歴史に新たな実績を刻むこととなった。この市民運動は、広く政党、労組、企業、団体、そしてなによりも多くの生活者としての県民の協力の下で大きな成功を遂げた。この成功を祝うとともにご協力を頂いたみなさんに心から御礼を申し上げたい。
私たちは運動の中で、多くの県民が県民投票を強く望んでいることを実感した。また運動の中で、県民投票に対する誤解を解消し、意見の対立を克服するための議論を深めることができた。その意義は大きい。なぜなら、国策に抗する王道は「民意」をより明確に示すことにあるからである。
県民投票運動は署名集めの成功により第1ステージを終え、県議会における県民投票条例制定という第2ステージに移る。県民の代表たる県議会議員が真摯に県民の民意を汲んで県民投票条例案を審議し、同条例が制定されることを期待する。条例制定により、最終ステージとして県民投票に向けての本格的な取り組みが始まる。
政府が「辺野古移設が唯一の選択肢」と表明し、埋立工事を強行する現状は、極めて深刻である。そして、この問題の根源である「軍事的に沖縄である必要はないが、本土の理解が得られないから」と強権を振りかざして国策を強行する政府に抗するためには、私たち沖縄県民が、民主主義の原理に基づき、主権者としてしっかりと「民意」を明確に示すことが重要である。
県民投票は直接民主主義に基づき「民意」を明確に表明する法で認められた手続であるとともに、憲法第95条の趣旨に沿うものである。
私たちは、県民投票に向けて、改めて県民の中でこの問題が沖縄の島々で、そして老若男女を問わず、真剣に論議されることを期待すると同時に、この問題が、この国の安全保障、そして民主主義の在り方を左右する日本全体の問題として、国民的議論により解決すべきことを強く訴え、今後の運動を継続する決意である。
日本政府に対しては、県民投票の重要性を踏まえ、県民投票が実施されるまで辺野古埋立工事を中止するよう強く要請する。
2018年7月30日
「辺野古」県民投票の会
代表 元山 仁士郎