東京都千代田区永田町にある国会議事堂周辺で24日、18時30分から20時にかけて、「とめよう! 戦争法 集まろう! 国会へ 6・24国会包囲行動」がおこなわれた。安倍政府が強行する安全保障関連法案反対世論が全国各地で急速に広がるなか、現地には3万人が結集した。団体動員以外にも多くの一般市民が全国各地から参加していたのが特徴で、熱気あふれる行動となった。
当日夕方五時過ぎになると、国会議事堂周辺の地下鉄駅からはあふれるように人人が次から次へとあらわれ、行動に加わった。周辺の歩道にもうけられた抗議ブースはあっという間に埋め尽くされ、参加者の隊列が国会をとり囲んでいった。
行動が始まると、国会正門前の舞台から国会議員や知識人が演説をおこなった。学者が「国会会期を95日も延長するのは暴挙だが、延長に追い込んだのは国民の力だ。延長された残りの3カ月もたたかい続けよう。相手が勝つか、われわれが勝つかだ。安保法制廃案を勝ちとろう」と呼びかけた。他の演説者も「世論はわれわれの味方だ。圧倒的な多数派は戦争に反対する国民なのだ。みんなの世論を固めて安倍首相にぶつけるのがこの行動であり、われわれの使命だ」と呼びかけた。演説を聴く参加者は、ところどころで「いいぞ」「そうだ」と声を上げ、何度も拍手がわき起こり、一体感に包まれた。演説が終わると、主催者のかけ声のもと、「戦争法案絶対反対!」「安倍政権は今すぐ退陣!」「みんなの力で暴走止めよう!」「戦争する国絶対反対!」などのコールをみなでおこなった。会場周辺の歩道にはどこにいても音声が聞こえるようスピーカーが配置され、みなが一斉に声を合わせて戦争政治に怒りをぶつけた。
会場の熱気の高まりとあわせて、行動への飛び入り参加も増えていった。鞄を手にした会社帰りと見られる人人の姿も多く、年配者から学生までが次次と隊列に加わり、配布された「九条壊すな」「戦争させない」とのメッセージ入りのボードを掲げて声を上げた。
国会議事堂周辺の一部では、抗議ブースに入りきれなくなった人人が道を埋め尽くし、人が通る隙間もないほどに立ち並んだ場所も数カ所あった。
参加者の怒りの声 米国の戦争に日本人使うな
神奈川県から来た60代の女性は、新聞にこのたびの行動のことが書いてあったのを見たといい、「安倍首相は、国会での答弁でも時間ばっかり使うが、きちんとした説明をせず、質問に対してまともに答えようという気がまったくないことに本当に腹が立つ。アメリカに行って国会でも決まっていないことを勝手に約束してきておいて、それを無理矢理にでも今回の国会で通そうという魂胆だ。アメリカでは今、オバマも落ち目だから安倍にいうことを聞かせてアメリカの戦争に日本人を使うことで、オバマもアメリカで権力者たちの機嫌取りをしているのだろうと思う。一部の偉い人たちによるカネのため、権力のための戦争は、絶対にさせてはならない」と強い口調で語った。
「いてもたってもいられなくなった」と滋賀県から1人で夜行バスに乗って来た50代の男性は「父親が戦争体験者で、戦地での体験は、幼い頃から聞いてきた。集団的自衛権の論議が始まった頃から安倍首相の言動に疑問を抱いていた。このままいけば当然戦争に巻き込まれるし一番恐ろしいのはアメリカの戦争に加担する国として世界中に認知されることだと思う。今国民が声を上げて反対しなければ、歯止めがきかなくなり大変なことになる」と危機感を持って語った。
新宿から来た50代の女性も父親が戦争体験者であることを語り、「父は、“昔は戦争になってもおかしいとは感じなかった。今度戦争になろうとしたら絶対に反対する”といっていた。安倍首相には、“国民には、一滴たりとも血は流させない”と国民にはっきり約束してほしい」といった。
また、行動の開催を知った全国各地の学生がそれぞれ仲間と誘い合って参加していた。
関東の大学に通っており、地元・仙台の友人数人と一緒に参加した法学部専攻の男子学生は、「大学でも法律について勉強するし、ゼミでは憲法について先生や友人ともよく論議をする。安倍首相は机上の空論しかいっていないと思う。憲法はこれまでも民意で支えられてきたし、この行動でみんなの声こそ民意だと感じた」と語った。
都内の看護学生は友人と2人で参加し、「集まった人たちの声が国民の意見を代表していると思う。これだけの人が集まってぶつけた声も、首相は無視しようとしているのかと思うと腹が立った」と怒りを込めて語った。
中国人の男子留学生は「中国ではデモはほとんどなく、初めてデモに参加した。ものすごい熱気で驚いたが、これで安保法案がどれだけ危険なものなのかを肌で感じた。中国との対立を煽る報道には前から疑問を持っていた。戦争なんてしたくないのは中国人も同じだ」と思いを語った。
8時に行動は終わったが、舞台からのコールは続き、参加者もみな拳を上げるなどしてコールしながら帰路につき、熱気冷めやらぬなかでの散会となった。
なお、腕章を巻いて取材する本紙記者に対して、「今の中央メディアはあてにならない。地方の新聞社が頑張って」「よく取材してしっかり報道してよ」と声をかける参加者もおり、「自衛どころか自爆の道」の本紙宣伝紙を手渡すと、周辺から何人もの人が手をのばし宣伝紙を求めた。