いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

文字サイズ
文字を通常サイズにする文字を大きいサイズにする

非を詫びたタックル選手

 日大のタックル選手は二十歳にして公衆の面前に出てきて、しっかりと非を詫びた。相手選手や関西学院大学のチームに対しては当然だろうが、それを公開リンチみたくテレビ中継までして顔を映し出し、騒ぎ立てる必要があるのだろうか…と思いつつ、彼が監督やコーチに睨まれることを覚悟の上でみずからの誤りを認め、謝罪した潔さに純粋なものを感じた。大人たちの打算的な振る舞いとは裏腹に、真っ直ぐにケジメをつけたのだ。

 

 同時に、そうでもしなければトカゲの尻尾がすべての責任を転嫁され、「アイツが勝手にやったこと」として処理されかねない構造を思った。森友学園の籠池がそうだったように、黙っていたら悪役を一手に引き受けさせられ、場合によっては財務省職員のように自殺に追い込まれるケースすらある。そのなかで、潔く謝る事が相手への謝罪であると同時に、自分を守るための所作でもあったのだろう。そして、アメフトはもうしないと別れを宣言したのだった。あのタックルは素人目にも危険で、悪質だったことは疑いない。それを指示したとされる監督やコーチは、相手選手を壊すだけでなく、結果的に自分たちが教育を委ねられていた学生をつぶしたのだ。

 

 若者の潔さと比較して、どうしても脳裏に浮かんでくるのが、嘘や隠蔽、問題のはぐらかしをくり返して逃げ回っている者のことだ。今度は愛媛県から新公文書が出てきたそうで、獣医学部を建設した加計学園の理事長が2015年2月に首相と面会し、獣医学部の構想を伝えたうえで「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と言われたとする文書が国会に提出された。これまで首相が獣医学部設置を知ったのは「2017年1月」としてきたが、加計疑惑の辻褄を根底から覆す記録が出てきたのである。首相も学園側も即座に否定しているものの、柳瀬首相秘書官の記憶喪失と同じく、また振り出しから「会った」「会ってない」「記憶にない」「記録にはある」の堂々巡りが始まるのかと思うと、ほんとうにいい加減にしてもらいたいと思うものがある。

 

 5年経ってわかったのは、「美しい国」ではなく「恥ずかしい国」にしてしまった現実だろう。こうしてモリカケ、セクハラ、タックルと日替わりで騒動をくり広げている裏側で、国会はTPP11の承認案を可決し、働き方改革やカジノ法案などをまともな審議もなく強行しようとしている。

 

 ボロボロに傷ついた対米従属国家は延々と漂流し、米国からの対日要求だけはきっちりと実行するゾンビ政権が続いている。その状態はいまや膿レベルという範疇にはおさまらず、腐って壊死しているかのようだ。        武蔵坊五郎

関連する記事

  • 米大統領選 民主党惨敗の根拠は?米大統領選 民主党惨敗の根拠は?  米大統領選について商業メディアは「もしトラ(もしもトランプが再選したら…)」などと騒いだり心配していたが、バイデン民主党への批判がよほど強烈 […]
  • お色直しからの猫だましお色直しからの猫だまし  不意打ちで早期解散、10月27日投開票――という政治日程は、おそらく総裁選の過程で各候補者が何をいおうとはじめから決まっていたのだろう。当初 […]
  • お布施、持って行ったのか?お布施、持って行ったのか?  7日に「自民党山口県連が杉田水脈を比例単独で本部に公認申請」「吉田真次は意思確認がとれておらず見送り」との報道がなされて、山口県内でもとりわ […]
  • 「ヘナチョコ」たちの総裁選「ヘナチョコ」たちの総裁選  自民党の総裁選ったらまあひどいもので、政界の“破れ口”こと田中眞紀子曰く「次から次へと勘違いしたヘナチョコが出てきて、この際出ておかなきゃと […]
  • 能登半島を見殺しにするな能登半島を見殺しにするな  元日に巨大地震に見舞われ、9カ月ものあいだまともな復興措置がとられず放置され続けてきた能登半島を、今度は台風由来の集中豪雨が襲った。前代未聞 […]

この記事へのコメント

  1. 全く、おっしゃる通りです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。なお、コメントは承認制です。