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危ない橋を直さない理由

 26日付の朝日新聞朝刊トップに「橋老朽化 通行規制2500カ所」「8年前の2・6倍 国交省調査」という記事があった。全国の自治体が管理している橋の老朽化が進み危険なところでは通行止めや片側通行規制にしていること、財政上の理由で改修が進んでいないことを明らかにした記事だ。道路やトンネル、河川、港湾、上下水道などの社会資本を巡っては、高度成長期に整備したものが次次と老朽化を迎え、この更新をどうするかは以前から問題になってきた。笹子トンネルの崩落事故があらわしたように、劣化を放置すれば人命すら失いかねない重要な問題だからだ。ところが、危険なものを撤去するなり、新しいものに更新するという根本的な解決には向かわず、「通行止め」にする、すなわち問題を先送りにする対応にとどまっていることをこの記事は教えている。その理由は自治体に財源がないから--というものだ。

 

 読み終えて真っ先に思い浮かんだのは、安倍晋三が外遊の度にばらまいてくる資金を国内に回せばどうにでもなるではないかということだった。トランプに約束したアメリカのインフラ投資につぎ込もうとしている51兆円を自国のインフラ整備に回せばよいではないかと。国内のインフラがこの有様なのに、どうしてアメリカのインフラの心配をしているのだろうか。

 

 解決しなければならない問題点は明らかなのに、どうして社会資本の整備は進まないのか。それは財源がないからではない。政財界の視線が国内を切り捨てて海外に注がれ、国内のインフラ整備に対する熱量が乏しいことが背景にある。現に大企業が海外進出する先のインフラ整備には巨費を投じているのである。要はどこにカネをかけるかという「選択と集中」の問題なのだ。

 

 国内では都市一極集中が進んでいる。このなかで、統治する側にとって目指すべきはコンパクトシティであり、今さら地方や田舎のインフラにカネをかけるなどムダだと見なしていることは歴然としている。財政支出を絞り、住めなくなった田舎から都市部に囲い込んでいくためにも、放置こそがベストという「選択」なのだろう。

 

 “豊かな先進国”のはずが実は社会資本もボロボロで、とくに自主財源の乏しい地方ほどその傾向は強い。新自由主義改革によって社会資本がだめになったイギリスの後を追うようにして、日本国内もまた劣化の度合いを深めているといえる。

 

 ニュースでは連日のように横綱の品格であるとか、相撲取りのどうでもよい話ばかりがとり上げられている。どうせなら首相の品格を問題にすればよいのにと思いつつ、それらも含めてインフラだけでない何かが日本社会のなかで壊れているような気がしてならない。私たちは既に「危ない橋」を渡っているのかもしれない。しかもこの橋の場合、崩落の危険がありながら通行止めになっていないのである。     吉田充春

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この記事へのコメント

  1. 橋やトンネルや水道管の老朽化、こども食堂、学生ローン・・・
    そんなのを放置して、保守派政治家はなぜアメリカに何百兆円も差し出すのか
    あらゆるメディアがその部分を避けていて全く書かれていません
    1億人が何十年も思考停止状態です
    外国からバカの国と笑われながら日銀破綻を待つだけです

    宗教法人に税務署が入れないので、そこでキックバックを受け取っているとか
    アメリカの岸信介と昭和天皇に関する公文書がまだ公開されてないから
    それで脅されているだろうとか、可能性を語るだけでも話を進めて欲しいものです、

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