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中尾市長の複式簿記観念

 下関市中尾市長が「市職員以外見せてはならない」、本紙に漏れたら犯人探しという秘密の「市長通信」で、またまた本紙の記事をめぐってエキサイトしている。頭に来ているのは「中尾市長の複式簿記」問題。「市は行政管理体から行政経営体に変えるのだ」とか、「利益を追求する企業と公共の福祉を目指す市では、組織の目的が違うという主張は間違っている」とか、「偏見的思想の新聞だ」とムキになっている。
 今度の臨時議会では、中尾市長が出した、高潮で冠水したことのある埋め立て地に消防署を建てるための土地取得予算を可決した。災害が来たら消防が真っ先にマヒしたというのではなんのために消防があるのか、まさに目的もクソもないと普通人は考える。ところが複式簿記は、すべてを商品の値段に還元してその価値を表現する。その商品がどんな役に立つか、消防や市立大学や市立病院は、そして市役所はなんのためにあるか、という目的、使用価値はそこには表現されない。消防がいざというときに役に立つかどうか頭になく、人のいうことを聞く耳なく突っ走るのは、中尾流複式簿記観念という強固な「理論」的確信をバックにしているようだ。
 しかしいくら複式簿記といっても経営は、だれも収入と支出のバランスを考える。市の予算書も収入と支出の欄で成り立っている。中尾市長は「今後歳入は大幅に減少します」ので「厳しい行政経営をやる」ために「複式簿記が必要」という。市の収入を増やす、つまり市民が税金を払えるように仕事や雇用があるようにするのが市長の仕事という、市民が市長を選んだ目的は頭にない。予算を使うことしか考えてなく、しかも公民館や支所、福祉施設などは「効果的」「効率的」に資産売りとばしなどし、市庁舎建て替え、駅前再開発などのハコモノ利権では大きな金を使うという「理論」である。
 中尾市長の「経営者理論」の効果は、経営にかかわった唐戸魚市やハートフーズの経営が証明することになる。「偏見的思想の経営者視点」突っ走りで、下関市役所まで倒産させられたのでは、市民はたまったものではない。   那須三八郎

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