野田政府が内閣改造をした。岡田克也を副総理にして消費税増税をなにがなんでもやる態勢だという。衆議院選挙の公約をみな破棄して、TPPにせよ、普天間移設にせよ自民党ができなかったことをやるというのだ。アメリカとそれに隷属して国益などクソ食らえの日本の財界のために、国民がダメだということを無理矢理やるのが政治家なのだと、ふてくされたブタのような顔をして息巻いている。
この国では選挙というものが意味をなさなくなった。主権在民も議会制民主主義も色あせて、実際には国民の意志とは関係なく動く専制国家、官僚統制の独裁国家の姿である。イラクにせよ北朝鮮にせよ、よその国を「独裁国家」と非難し、「自由と民主の理念を共有する世界をつくる」などといってアメリカの戦争を応援してきたが、日本こそ民主主義国家ではないのだ。「自由と民主の理念を共有する」のなら、野田政府は専制政府である野田政府を倒さなければつじつまが合わない。
TPPもやるのだといって、国内の農漁業は壊滅の危機にさらしたうえに、大企業は海外移転で国内の工業をつぶして大もうけをたくらみ、何百万の労働者とその家族何千万人を路頭に迷わせる。そのうえに貧乏人から消費税でむしりとり、法人税や富裕層の減税を続ける。アメリカにいわれたら安住財務大臣が呆けた顔をして「イラン制裁をやる」と叫ぶ。ホルムズ海峡を封鎖されたら石油輸入の80%がストップして、制裁の羽目にあうのは日本であるが、そんなバカげたことを日本の政府がやる。権力を欲しいままにする連中は、今や日本の国をぶっつぶしてはばからない。働く者が食っていけず、利ざや稼ぎをする連中が暴利をむさぼる世の中が続くわけがない。
どこの国の政府かわからない野田政府の強権的暴走政治であるが、それは国民を説得し動員する力のない空中遊泳の無力な政治である。すべての議会政党はあてにならないなかで、働く大衆が全国的に結びついて、安保斗争のような大政治斗争をやる機運が確実に強まっている。世界では、欧州でもアメリカでもアラブでも大衆の政治行動が活性化している。 那須三八郎