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狙撃兵 二度と返ってこない20歳の命

 どうして散歩していただけで殺されなければならないのか。何の罪もない女性が狂った性欲のはけ口にされた挙げ句、ナイフで刺し殺され、ゴミのようにトランクに詰め込まれて恩納村の山中に捨てられていた。鬼畜米兵は乱暴する相手を「2~3時間」探し回ったうえで犯行に及んでいた。人間の尊厳も何もない。まるで気に入った性奴隷を見つけるように品定めして–。
 彼女の母親が発した「(犯人を)私の手で殺したい。本当に殺したい」の叫びが胸に突き刺さる。失われた我が子の命は二度と返ってはこない。たった20年そこらで、まだまだ生きることのできた愛娘の生命が無残に奪われたのだ。この落とし前は「逮捕」で片付けられるような代物ではない。
 「由美子ちゃん事件」もそうだった。1955年の夏、市のエイサー大会に出かけたわずか6歳の女の子が拉致され、連れ込まれた米軍施設内で何度も強姦され、最後には殺されてゴミ捨て場に捨てられていた。こうした米兵の蛮行は戦後71年間、絶え間なく繰り返されてきた。基地があるが故に、沖縄や岩国で性懲りもなく女子どもが犠牲になってきたのである。しかも、ほとんどが地位協定を盾に無罪放免で本国に送り返され、うやむやにされてきた。こうした羞恥、屈辱をいつまでも繰り返すわけにはいかない。
 沖縄の人人の涙は怒りに燃えて鋭く光っている。沖縄県民を人間とも思わぬ米兵の蛮行に拳を握りしめ、腹の底から怒りに震えている。それに対して中谷防衛相が口にした「怒り」、あるいは米国防長官、在沖米軍司令官の「謝罪」の白々しさは何なのだろうか。いつも見せつけられるのは「僕たち、抗議しましたよ」「謝りましたよ」のポーズだけ。口先だけなら「核廃絶」「チェンジ」と同様、何とでも言える。
 オバマは広島で「核廃絶」のホラ吹き演説をする前に、沖縄までオスプレイでも何でもいいから飛んで行け! そして最高指揮官として謝罪し、核を担いで米軍基地もろともアメリカに持って帰れ!
 「日本を守るため」の欺瞞はいまや沖縄にも日本社会にも通用しない。県民の4人に1人が殺された沖縄戦を経て基地として奪われ、軍事支配が今日まで続いている。中国や朝鮮が攻めてくる以前に、アメリカから71年にわたって占領されっ放しで、またしても「邦人の生命」が虫けらのように奪われた。 
 米軍基地は辺野古に限らず、熨斗(のし)を付けて叩き返すところへきている。民族的な屈辱に、いつまでも辛抱する義理などない。米軍による対日占領、まさに戦後レジームからの脱却が問われている。米国を相手にして安倍晋三が「邦人の生命」に対してどう向き合うのかも曖昧にはできない。                            武蔵坊五郎

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