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「代理戦争」――アメリカの自白

 米国のマルコ・ルビオ国務長官がFOXニュースのインタビューで、ウクライナ紛争について「トランプ大統領はこれを長期にわたる膠着状態の紛争とみている。率直に言ってこれは核保有大国、つまりウクライナを支援する米国とロシアの代理戦争であり、終結させる必要がある」と発言し、それに対してロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官も「代理戦争」と呼称したことについて、「(ルビオ氏の発言に)同意する。それが現状だ。わが国の大統領と外相が繰り返し表明してきた見解と完全に一致する」と述べたことがAFP(時事)などによって報じられた。

 

 かねてより、この戦争はNATO(アメリカを中心にした西側諸国)の東方拡大とロシアとの矛盾を根底にした「代理戦争」にほかならないという指摘が識者によってなされてきたが、両大国が今回あけすけに認めているように「代理戦争」だったということで当事者の認識も一致しており、アメリカ側もロシア側も停戦に向けて歩みを進めるということのようである。これに対してNATOのなかでもフランスやドイツ、イギリスといった国々が反発し、欧州各国と米国との溝について取り沙汰されているものの、そもそもアメリカが武器支援や情報提供をしなければウクライナ側としては戦闘継続もままならないのが現実で、選択肢としては停戦するほかないのである。

 

 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所が2020年から2024年の世界の武器の輸出入量をまとめた報告によると、ウクライナの武器輸入量は紛争前の2015~2019年と比較して約100倍も伸びて世界最大の武器輸入国となった。輸入元としては米国がおよそ半分を占めている。これは紛争を通じていかにネオコン界隈や米軍需産業が荒稼ぎしたかを示している。紛争をいいことに巨額のカネが動いたのだ。こうした紛争や戦争がなくなれば稼ぎを失う連中が停戦や和平を望むわけなどなく、代理人として踊らされるゼレンスキーの背後に控えていることはいうまでもない。罪深いのはこれらの背後勢力である。

 

 緩衝国家を舞台にして、ロシアを刺激するNATOの東方拡大をあえてやり、ドンバス地方ではロシア系住民を迫害・殺戮し、プーチンの堪忍袋の緒がブチ切れたところで「やられたー!」「ロシアがウクライナに攻めてきたー!」と被害者ぶって「ウクライナ可哀想」の大連呼を国際的に煽る――。「侵略者に抗して祖国を守るゼレンスキー」というヒーロー扱いとセットで。出来上がったプロパガンダである。振り返ってみると、日本国内でもまるでウクライナ人になりきってロシア憎しを悲憤慷慨(こうがい)する人たちがいて、停戦を求めて第三者として歴史的経緯や矛盾を紐解いたり、客観的立場をとろうとする人に向かって「親ロシア派」呼ばわりをしていたほどである。この間、トランプが停戦に向けて動き始めてもなお、護憲派を自称する界隈がデモで抗議し、「停戦反対」を叫ぶ「護憲派」という頓珍漢な事態にもなっている有様だ。停戦によってこれ以上ウクライナやロシアで犠牲者が出ないようにするのではなく、「英雄ゼレンスキー」に心酔して「停戦するな」「ロシアをやっつけろ!」という自称平和主義者というのだから、いったいどのような脳味噌の構造になっているのか知りたいくらいである。はっきりいうと、とち狂っているのではないか? と思うのである。

 

 代理戦争であった――。バイデン親子やヌーランドなどウクライナに深く関与してきた人物たちが政権から去ったアメリカ政府が、みずから当事者であったことを認めた。それはすなわちゼレンスキーやウクライナを代理人にして、この紛争をけしかけていたことの自白にほかならない。張本人だったアメリカが手を引いて停戦に持ち込み、これ以上ウクライナ紛争で死者を出さない方向に持っていくというなら、それは急がれることである。ウクライナ国民に苦しみを強いた責任は、第一にロシアとアメリカが負わなければならない。同時に、国土と国民を無惨な戦場にさらした代理人ことゼレンスキーも英雄から一転、今度はアメリカの代理戦争に祖国を誘った人物として裁かれる番になるのだろう。どう代理していたのかの事実解明と共に。

 

武蔵坊五郎               

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