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閉じこめられた三時間

  東海村臨界事故を彷彿とさせる事故が茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の研究施設で起き、5人の作業員が被曝した。1人の作業員の肺から検出された2万2000ベクレルのプルトニウム239の危険性について、専門家は「聞いたことがないほど大きな値」なのだと述べ、5人の安否を気遣っている。それほど危険極まりない量の放射能を浴び、内部被曝したのだった。東海村臨界事故で亡くなった大内、篠原両氏と同じく、作業員たちは千葉県にある放医研に緊急搬送された。

 事故の直後、5人は3時間にわたって放射性物質が飛び散った室内にそのまま待たされたという。事故など想定しておらず、急きょ除染場所を設置するために時間を要したからだ。ウランとプルトニウムを容器に封入してから26年間、一度も中身を点検しなかったことも含めて、いかにずさんな体制だったかを示している。被曝することがわかりきった部屋に3時間も待機することを命じられた作業員たちはいったいどんな思いだったろうか。

 東海村臨界事故、福島第一原発の爆発事故に続いて、またも原子力災害はくり返された。犠牲になるのはいつも末端の作業員である。想定外の事が起こり得る、つまり想定すらできない扱いきれない科学領域に手を突っ込んで、後の祭りで福島のような大惨事をひき起こし、今回のように作業員が死すら覚悟しなければならないような事態を招いている。世界的には終わったコンテンツとして撤退の流れが主流であるのに、米国の核戦略の一端を担うためだけに原発を押しつけられ、広島・長崎に原爆を投下された被爆国の国民なり作業員が、同じように何度も被曝しなければならないのである。日本人なり日本社会はモルモットではないと宣言しなければならないはずなのに、日本政府は日米原子力協定に縛られたもとで弱腰である。

 原発で使い終わった使用済み核燃料は2年以上冷却した後に高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)として処理されるが、人間が近づけば20秒で死亡するほど強烈な放射能を放ち、元のウラン鉱石と同レベルまで低下するには10万年もの歳月を要するとされている。今回の事故は10万年どころか26年管理する能力すらないことを暴露した。国内に54基ある原発から出た使用済み核燃料の総量は、六カ所村で一時保管できる容量の八倍にもなる。福島事故で明らかになったように、行き場のない使用済み核燃料を全国の原発で貯蔵プールに眠らせており、その後どのように処分するのかメドすらない。10万年の安全など担保できないことはわかりきっている。再稼働でさらに核のゴミを増やし続けることの無謀さも考えなければならない。     

                              武蔵坊五郎

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