いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

文字サイズ
文字を通常サイズにする文字を大きいサイズにする

吹き飛んでいく年金基金

 年が明けてみると大発会は暴落で始まり、その後も中国上海市場などの動向を反映しながら世界中で同時株安の局面を迎えている。日経平均は大発会以後に4日連続で下げた日には「21年ぶり」と騒がれ、5日連続の日には「戦後初」に昇格し、6日連続で下げると「過去に例がない」と表現がコロコロ変化し、イチローが連続試合安打を伸ばしたときのように「○日連続」のカウント騒ぎをやっている。そして気がついたら1万7000円台前半にまで下がり、ダウも1週間で1000ドル下がるなど、リーマン・ショック以来のメルトダウンが襲ってきそうな気配すら感じさせている。

 

 この間、アベノミクスといって株価釣り上げのために巨額の年金資金や日銀資金を注ぎ込んできたのが安倍政府だった。しかし円安と金融緩和によってつくり上げてきた官製相場はいとも簡単に崩れ去ろうとしている。東京証券市場の最大の大株主は日銀と年金資金といわれるほど株を買い支えてきたが、外資や機関投資家が売り逃げて株価が暴落すれば、これらが膨大な含み損を抱えることにもなる。運用益を出すどころか、まるで売り逃げの資金を提供したような格好だ。昨年の7~9月期だけでも8兆円の損失を出したのが年金基金で、10~12月期はどうだったのか、さらに今年1~3月期はどうなるのか? みなの老後のための資金を焦げ付かせた者の責任追及は避けられない。それこそ安倍晋三なり「黒田バズーカ」などといって浮かれていた連中は、結末如何によってはみなA級戦犯ものの扱いを受けなければならない運命に晒されている。

 

 それにしても、株価が上がったら「アベノミクスのおかげ」で、下がったら「中国のせいだ」といっている光景は見ていて笑えない。いくら中国嫌いでも、その中国に輸出入なり爆買いなり、経済的に依存している関係を抜きにして、なんでもかんでも「中国のせい」というのでは誰も納得しない。株価暴落の一要因であるとしても、年金基金が吹き飛んだ場合、それは中国のせいではなく、突っ込んだ者の責任なのだ。       

    吉田充春

関連する記事

  • 自民党にも解散命令を!自民党にも解散命令を!  東京地裁が25日、統一教会に解散を命じる決定を下した。教団は即時抗告するとみられ、今後は東京高裁、さらに最高裁へと審理が引き継がれることにな […]
  • 「代理戦争」――アメリカの自白「代理戦争」――アメリカの自白  米国のマルコ・ルビオ国務長官がFOXニュースのインタビューで、ウクライナ紛争について「トランプ大統領はこれを長期にわたる膠着状態の紛争とみて […]
  • 「その10万円、わたしにください」「その10万円、わたしにください」  石破茂が衆議院の当選1回生15人を首相官邸に招いて食事会を催した際、お土産代として10万円の商品券を配っていたことが明るみになった。各紙の報 […]
  • 腕まくりする国土交通省腕まくりする国土交通省  米ロが停戦協議を進めているウクライナを巡って、何を張り切っているのか、国土交通省が大手ゼネコンや機械メーカーなどインフラ分野の事業を手がける […]
  • 大学無償化も論議して大学無償化も論議して  新年度の予算成立を巡って、国会で「103万円の壁」と並んで「高校無償化」が取り沙汰されているものの、なぜ大学無償化について誰も触れないのだろ […]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。なお、コメントは承認制です。