いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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首吊りか被曝死かの選択

 福島原発災害をめぐって菅政府は、周辺市町に対して避難指示とか立入禁止などの命令を出している。そして「10年も20年も人は住めない」などと他人事のようにいったり、東電は補償について責任転嫁に終始したりの醜態である。田畑や家畜や漁船などの生活基盤を失い、借金だけ残って生きていく糧を失う。住民は、生活できなくなって餓死するか首をつって死ぬか、それとも放射能に犯されてジワジワ死んでいくかの選択しかない状態である。
 こんな状態におかれたのは、原発が爆発したからであり、東京電力、政府が地震地帯に原発をつくったからである。しかし東電も国も、住民の土地と生活を元に戻す責任があり、復興までの全生活を補償する責任があるという態度すら見せない。住民を早く流民にして分散させ、文句をいわないようにさせて、残るものは数十年にわたる被曝労働で命を削らせるという態度が見え見えである。
 大地震と大津波は宮城県や岩手県など、日本有数の大漁場である三陸地方の漁業も壊滅的な危機に陥れている。家族は奪われ、船や漁具は壊され、家は流され、漁業を立て直すのは容易ではない。漁業は震災の前から圧迫のもとにあり、高齢化がすすむなかで新たに借金をしてめどが立たないところに基本的な問題がある。それは漁業者が生活できなくなるだけではなく、その地域が廃村の危機になるということであり、三陸地方の漁業が壊滅したなら東京をはじめとする日本人が魚を食べることができなくなることを意味する。民族の危機である。
 東北の復興は働ける人が働けるようにし、農漁業、製造業の復興がなければできない。農漁業の危機、中小零細企業の危機、そして地方自治体の機能崩壊もまた、「リストラ」とか「効率化」こそ神様の言葉であるかのようにして、生産現場が搾りに搾られ、ぎりぎりの限界におかれて、われ一人金もうけ一辺倒の輸入商社や流通大手、大企業そして金融機関とアメリカばかりが大もうけしてきたという問題が、大震災からの復興というときの大障害となっている。
 国家というものは、国民の生命、財産を守るものとして機能するのか、アメリカのような外国の利益、東電など個別大企業の利益のために国民を犠牲にするのか。国の抜本的な立て直しを求める国民世論の全国的な大結集が最大の力となる。 
                                             那須三八郎

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