菅政府は、福島原発事故の放射能放出について、はじめは「大したことはない」と連発し、急にレベル7だと発表して、20㌔圏は立入禁止、30㌔圏および40㌔離れた飯舘村なども強制退避の強権発動をしている。
日本人は広島、長崎の原爆の経験を持っている。被爆者は口をそろえて、福島は必ず元に戻すことができると語っている。原爆の放射線量は瞬時に即死するほどの強烈な量であった。人人は放射能とは知らず、放射能をかぶった水を飲み、野菜をかじりながら、多くの人人が死んでいったが、その中で生活をつづけ復興させてきた。いつまでも残留放射能はなかった。政府が被爆者として認定している基準は、2週間以内に爆心地から3・5㌔以内に入市した人である。福島が40㌔でいつまでも放射能汚染がなくならないということは断じてあり得ない。
放射能被曝は厳重に避けなければならない。同時に地域を復興する展望が閉ざされてはならない。現在の強制退避命令はきわめて乱暴であり異常である。避難地域といっても細かく分けて検査すべきであり、基準値以下のところは活動可であり、超えたところは土壌改良をすればよい。また原発からの放出量や風向きはどうかなど細かく知らせなければならない。風下になったら避難するとか、風上になったら外で作業できるとかの対応が可能となる。また年間20㍉シーベルト被曝で20年後に1000人のうち数人ほどがガンになるというなら、残って復興のために働こうという意志のある年輩者を強制退避させてはならない。
汚染土壌は東電の責任で除去させるべきである。コメその他の作物はどんどんつくり、牧草もどんどん植え、また汚染魚もどんどん捕って東電に買い取らせるべきである。それが土地からも海からも放射能を除去することになる。復興のための積極的な行動が求められている。
異常な強制退避命令は、「放射能からの生命の安全」という美名を掲げて、みんながどうして良いかわからない間に、住民をあきらめさせて追い出し、自治体を解体させ、土地を接収しようという原子力勢力の別目的が働いている。住民が散らばれば抵抗がなくなるし、大量の放射性廃棄物の処分場を確保できる。しかも食えなくなった住民を命を削る大量の被曝労働者にできるというものである。
損害賠償問題も、電気料金と税金で国民が背負わされ、いつの間にか「東電救済」に変わってしまう気配である。自分たちが大災害を引き起こしておいて、逆に自分たちのビジネスチャンスにする。アメリカ流儀の強欲金融資本がやっている手法である。イカサマ芝居にだまされて泣き寝入りをしてはならない。
那須三八郎